《SDGs事例集》地域とともにサステナブルな世界をつくる|株式会社ファミリーマート

#再利用#気候変動#食品ロス 2021.08.17

この記事をSNSでシェア!

 

【更新日:2022年7月13日 by 三浦莉奈

株式会社ファミリーマート(以下、ファミリーマート)は「あなたと、コンビに、ファミリーマート」でおなじみの国内有数のコンビニエンスストアチェーンです。

2021年9月に創立40周年を迎えるファミリーマートは、長年に渡り地域社会に密着したコンビニを目指してきました。

40周年にちなんだ「40のいいこと!?」キャンペーンでは、スプーンのデザインを変更することでプラスチックの使用量を約12%削減するなど環境に配慮した取り組みも積極的に行っています。

この記事では、ファミリーマートの事業内容からSDGsの戦略や活動まで幅広く紹介していきます。

ファミリーマートのビジョン/事業

ファミリーマートの概要

ファミリーマートは1981年に前身となる(株)ジョナスが(株)西友ストアーから営業と資産の譲渡を受け、商号を(株)ファミリーマートに変更したことから事業を開始しました。

2021年5月31日現在では、国内店舗数16,637店舗、海外店舗数8,313店舗を誇る大規模なコンビニチェーンとなっています。

2006年に誕生し、ファミリーマートの看板商品となっている「ファミチキ」は2020年6月に累計販売15億個を突破しています。

また、お惣菜や冷凍食品を中心に展開する社内ブランド、「お母さん食堂」など毎日の生活に密着するお惣菜の販売に力を入れています。

さらに、コロナ禍における「巣ごもり」での顧客ニーズの変化に伴い、2021年3月から普段着としての利用を狙った「コンビニエンスウェア」を販売するなど、時代の変化に合わせた商品を展開しています。

【引用】Convenience Wear コンビニエンス ウェア|キャンペーン|ファミリーマートfamily.co.jp

設立年月日 1981年9月1日
資本金 16,659百万円
事業 フランチャイズシステムによるコンビニエンスストア事業
従業員数 13,070名(連結、2021年2月末)
店舗数 24,962店(国内外エリアフランチャイズ含む)(2021年2月末)
チェーン全店売上高 2,764,356百万円(2021年2月期)

ファミリーマートの基本理念

ファミリーマートはテレビCMでもおなじみの「あなたと、コンビに、ファミリーマート」をコーポレートメッセージにしています。

「地域に寄り添う」「お客さま一人ひとりに」「家族のように」の3つを大切に、地域社会に密着した一軒の小さな商店として、ファミリーマートを利用するすべての人の幸せに貢献することを目指しています。

【引用】ファミリーマート基本理念|会社案内|ファミリーマート

ファミリーマートのSDGs戦略

コンビニエンスストアは現代においてなくてはならない社会・生活インフラとなりました。

常に世の中に新しい価値を提供し続け、お客さまから信頼される存在になるべく、ステークホルダーと協働して持続可能な社会の形成を目指し、以下のサステナビリティ基本方針を掲げています。

1.地域社会の発展につながる活動に関わり、地域の皆さまのより良い生活に貢献します。
2.安全・安心・健康に配慮した商品・サービスを提供し、取引先との公正な事業慣行に則ったサプライチェーンを構築します。
3.地球環境や自然、生物多様性への配慮と地球温暖化防止、循環型社会の形成に努めます。
4.未来を担うこどもたちが、健全で明るく育つよう地域社会とともに次世代の育成支援に努めます。
5.人種、国籍、宗教、性別などに関わらず、人とその権利を尊重し、事業に関わるすべての人たちが活躍し、働き甲斐のある事業活動を推進します。
6.国際規範および事業を展開する国や地域の法・規範を遵守し、誠実な事業活動を行います。

そのことを踏まえ、ファミリーマートは2020年2月、中長期的な環境目標「ファミマecoビジョン2050」を公表しました。

特に、事業活動が影響を与える、「温室効果ガス削減」「プラスチック対策」「食品ロス削減」の3つのテーマについて、優先的に取り組むべきと考え、数値目標を定めています。

【引用】2030年及び2050年に向けた環境面での中長期目標 「ファミマecoビジョン2050」を策定! ~TCFDへの賛同も表明(気候関連財務情報開示タスクフォース)~

環境目標の設定だけではなく、サプライチェーンCSR行動規範や環境方針をそれぞれ設定しており、環境問題、社会課題への対応を成長のための大きなチャンスと捉えています。

ファミリーマートのSDGs戦略について詳しくはこちら

ファミリーマートのSDGsの取り組み

ファミリーマートの5つの重要課題

ファミリーマートは「サステナビリティ報告書2020」においてサステナビリティ活動を推進していく上での考え方や体制、具体的な取り組みを発表しています。

【引用】報告書ダウンロード|サステナビリティ|ファミリーマート

この報告書において、ファミリーマートは会社にとって特に重要な5つのテーマを特定・分類し、具体的な取り組みを示しています。

5つの重要課題
①環境配慮を通じた「地域と地球の未来」への貢献
②人に寄り添う地域活性化拠点としての進化
③「便利で豊かな生活」を実現する安全・安心な商品・サービスの創出
④お取引先とともに持続可能なサプライチェーンを追求
⑤働きがいのある組織風土・人づくり

ここではファミリーマートのSDGsへの取組事例を一部ご紹介します。

①環境配慮を通じた「地域と地球の未来」への貢献
(対応するSDGs目標:6,7,11,12,13)

【引用】重要課題への取り組み|サステナビリティ|ファミリーマート

ファミリーマートはサプライチェーン全体で環境配慮への取り組みを進めています。

取り組みの1つが植物由来のバイオマスプラスチック容器の使用です。

ファミリーマートでは、2007年からCO₂排出の削減につながるバイオマスプラスチック(PLA)容器の使用を、サラダの定番商品を中心に導入しました。

【引用】気候変動の緩和と適応|サステナビリティ|ファミリーマート

現在では、バイオマスプラスチック容器の国内流通量の約2割をファミリーマートが占めており、小売業で最も高い使用実績となっています。

試算では、石油系プラスチック(A-PET容器)と比較して1年間で約2400tのCO₂を抑制できることになり、CO₂排出の削減に貢献しています。

その他バイオプラスチックや再生PETなども含めた環境に配慮した素材を使用した商品の拡大に今後も取り組んでいきます。

物流においても環境に配慮した取り組みを推進しています。

配送車両の低公害化を目指し、1998年度にCNG(圧縮天然ガス)車、2003年度からハイブリッド車といった環境対応車両を導入してきました。

現在は車両の環境性能が大幅に向上したことから、燃費性能が良く、最新の排出ガス規制をクリアしたクリーンディーゼル車を全面的に採用・導入し、2025年には配送車をクリーンディーゼル車両に入れ替える計画を進めています。

また、1台で2種類の異なる温度帯の商品を輸送することができる「2室式冷蔵車」を併用することで配送効率の向上と車両数の削減を実現しています。

【引用】気候変動の緩和と適応|サステナビリティ|ファミリーマート

ファミリーマートは小売業として食品ロスの削減にも努めています。

冬のコンビニといえば、レジ横で販売しているおでん。しかし、ファミリーマートでは2020年1月から、注文を受けてから電子レンジで温めて提供する新しい方式に変更しています。

【引用】食品ロスの削減|サステナビリティ|ファミリーマート

新方式では具材がパック詰めされており、180日間の長期保存が可能になったため、食品ロス削減への大きな効果が見込まれています。

同様に、食品廃棄物を再生利用する取り組みも推進しています。

ファミリーマートでは店舗で発生する食品廃棄物を生ごみ回収リサイクルシステムにより飼料や肥料、メタン等に再資源化して再利用しています。

この取り組みによって、食品リサイクル法で定められている食品小売業のリサイクル率目標55%を達成しています。

②人に寄り添う地域活性化拠点としての進化
(対応するSDGs目標:4,9,11,16,17)

【引用】重要課題への取り組み|サステナビリティ|ファミリーマート

ファミリーマートは主に中高生を対象として、社員が学校に赴いて行う出前授業や、学生のの企業訪問の受け入れを行っています。

学校や生徒のニーズに合わせたコンビニエンスストアならではの商品・サービスや環境に関する授業のほか、SDGsについて店舗の具体例を交えて紹介しています。

【引用】出前授業・企業訪問|サステナビリティ|ファミリーマート

③「便利で豊かな生活」を実現する安全・安心な商品・サービスの創出
(対応するSDGs目標:2,3,9)

【引用】重要課題への取り組み|サステナビリティ|ファミリーマート

ファミリーマートは独自の「ON/OFF」という考え方に基づき、健康をサポートする中食商品の開発を強化しています。

【引用】高付加価値商品の提供|サステナビリティ|ファミリーマート

「ON」とは、野菜や乳酸菌、食物繊維などを体にON(プラス)する商品のことで、ミネラルや食物繊維が豊富なスーパー大麦や全粒粉を使用した商品が販売されています。

ファミリーマートは消費者の健康ニーズに応えるため、2017年8月に大手コンビニエンスストアでいち早くスーパー大麦をおむすびに取り入れました。

【引用】高付加価値商品の提供|サステナビリティ|ファミリーマート

スーパー大麦は、寿司や調理パン、トルティーヤなどにも使用を拡大しており、バラエティ豊かな商品ラインナップを展開しています。

一方「OFF」は、低糖質や減塩などの商品で、既存商品の味わいを損ねることなく特定の成分をOFF(省く)する考え方です。

「OFF」商品は、おいしさと両立するための高度な技術開発が求められるため、特に注力して開発に取り組んでいます。

特に、管理栄養士監修の弁当は、手軽に購入できて体に優しく健康にも配慮した商品として人気があります。

④お取引先とともに持続可能なサプライチェーンを追求
(対応するSDGs:1,7,8,12,13,14,15,16,17)

【引用】重要課題への取り組み|サステナビリティ|ファミリーマート

ファミリーマートは責任あるサプライチェーンマネジメントの構築を目指し、2018 年2月に「サステナビリティ調達原則」と「サプライ チェーンCSR行動規範」を制定しました。

エネルギー使用の削減を通じたGHGの排出削減による気候変動対策や、水をはじめとした各種資源の使用削減、生物多様性への配慮、環境汚染の予防などの項目が守られているかを確認しています。

さらに、業界として課題となっている食品廃棄物の削減に対する取り組みや、児童労働の有無、従業員の安全衛生、健康のほか、長時間労働の削減による労働時間の適正化等の項目についても遵守状況を確認しています。

ファミリーマートは持続可能な原材料調達にも積極的に取り組んでいます。

調達先を分散させたり、植物工場からの調達を拡大することで気候・気象の変化に左右されない原材料の供給体制を整備しています。

⑤働きがいのある組織風土・人づくり
(対応するSDGs:4,5,8,10)

【引用】重要課題への取り組み|サステナビリティ|ファミリーマート

ファミリーマートはダイバーシティ推進に向けた取り組みも積極的に行っています。

ダイバーシティマネジメント研修や、「多様性を活かし」「新たな価値を生み」「成果を残した」 取り組みを公募し、優秀チームを聴講者の投票で決定 する「ダイバーシティ・アワード」を年に1回開催して社内のダイバーシティ推進を図っています。

ここで紹介しきれなかったファミリーマートのSDGsへの取り組みはこちら

外部からの評価

ファミリーマートはコンビニエンスストア業界で初めてSBTイニシアティブの認定を取得しました。

【引用】気候変動の緩和と適応|サステナビリティ|ファミリーマート

「SBTイニシアチブ」は、国際NGOのCDP、国連グローバル・コンパクト、WRI(世界資源研究所)、WFF(世界自然保護基金)による共同イニシアチブです。

ファミリーマートのSBT目標は、店舗運営にて排出される温室効果ガスのみならず、サプライヤーが調達、製造する商品も対象範囲に含めたものとなっています。

2020年9月には環境省による「令和2年度SBT達成に向けたCO₂削減計画策定支援モデル事業」への参加が確定し、SBT目標の達成に向けた具体的な削減行動計画を検討しています。

まとめ

ファミリーマートは小売業として関わりの深い環境問題や食品ロス問題の解決に向けて、責任を持って取り組みを進めていることがわかりました。

「あなたと、コンビに、ファミリーマート」というメッセージからも伝わるように、様々な方法で人との繋がりを育み、守っていくという思いが感じられました。

私達の生活に欠かせないコンビニをこれから先も利用できるように、ファミリーマートの取り組みを応援したいですね。

この記事をSNSでシェア!

  • ランキング

    新着記事

    アシックスの新しいランニングシューズNIMBUS MIRAI(ニンバスミライ)

    SDGsの基礎知識

    食品ロスとは?原因や日本と世界の現状、家庭でできる対策を紹介

    もっとみる

    おすすめ

    【SDGs事例集】日本におけるオキアミのパイオニア|広松久水産株式会社