【更新日:2023年4月23日 by 中安淳平】
株式会社村上農園(以下、村上農園)は「豆苗」や「ブロッコリースーパースプラウト」などに代表される付加価値の高い野菜を主に生産・販売している会社です。
村上農園はおいしく安全で、人々の健康を増進させ選ぶ理由のある野菜づくりに取り組んでいます。
人々の健康を増幅させるブロッコリースーパースプラウトなどの野菜は、一体どのように開発されているのでしょうか。
この記事では村上農園の事業内容からSDGsに関する取り組みの紹介をしていきます。
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村上農園の概要/歴史
株式会社村上農園は1978年に設立され、かいわれ大根の生産を開始しました。
当時かいわれ大根の全国シェアNo,1となっていましたが、1996年に大阪堺で起きたO157事件でかいわれ大根が感染源と疑われたことで大きな打撃を受け、倒産の危機に陥りました。しかしこれを機に前年から生産していた豆苗の全国販売を開始し、現社長の村上清貴を中心に約1年で経営を立て直すことができました。
この豆苗生産から、新商品開発に注力するようになった村上農園は飛躍的に成長することとなり、現在は豆苗の生産の他、ブロッコリースーパースプラウトなど、スプラウト野菜を植物工場で生産する新しい農業を展開しています。
設立年 | 1978年1月 |
資本金 | 1000万 |
売上高 | 89億8300万(2022年12月期) |
従業員数 | 正社員数117名
パートアルバイト224名(8時間換算) ※2022年12月末現在 |
村上農園の事業内容
村上農園は主に豆苗・スプラウトなどの発芽野菜や有用成分を高めた高成分野菜を生産・販売する事業を展開しています。有効成分を高める野菜の開発では、研究開発を通じて「理想の種子」の追及や「新しい価値」のある野菜の創出を意識した開発をしています。
村上農園の経営理念
村上農園は、「私たちは『生命(いのち)を守る農ビジネス』をテーマに、新しい価値を創造します。」をミッションに掲げ、誰もが健やかな生活を送れる社会の実現を目指しています。
村上農園は「食の安定供給」や「健康増進」に貢献することなどサスティナビリティ活動にも力を入れています。2021年2月には最新鋭の設備とデータ管理によるスマート農業を実現させるべく完全人工光型植物工場「スーパースプラウトファクトリー」(山梨県北杜市)を新たに開設しました。
村上農園のSDGs戦略
村上農園は農業分野のSociety5.0(※2)の実現を推進し、一般社団法人 日本経済団体連合会(以下、経団連)に入会しました。
入会目的は、新たな農業の構造改革と輸出産業化、その将来像の実現のために経団連と連携し事業に取り組むためと明記されています。また、栄養的価値を高めた野菜の生産技術などをパッケージ化し、アジア各国を中心にライセンス供与を進め、SDGs達成に寄与させていくとしています。
※2:デジタル革新と多様な人々の想像・創造力の融合によって、社会の課題を解決し、価値を創造する社会
株式会社村上農園のSDGsの取り組み
ここでは村上農園のSDGsへの取り組みをご紹介します。
①食の安定供給を支える取り組み
(対応するSDGs目標:2)
村上農園は天候不順でも安定して高品質の生産が可能な最先端植物工場「スーパースプラウトファクトリー」を活かし、食料安定確保や栄養状態の改善、持続可能な農業の実現を目指しています。スーパースプラウトファクトリーで生産しているブロッコリースーパースプラウトは発芽後わずか3日で収穫することができます。
また、スプラウトなどの野菜は、熱帯や寒帯では育つことが困難であり、そうした国に植物工場技術を提供し、多くの方々にスプラウトの野菜を食べてもらう事も目指しています。昨年、村上農園からライセンス供与を受けた台湾の企業が、台湾でブロッコリースーパースプラウトの生産・販売を開始しました。
②健康増進に向けた高成分野菜の生産
(対応するSDGs目標:3)
アメリカのジョンズ・ポプキンス大学で予防医学を専門にするポール・タラレー博士が、1997年にブロッコリーに含まれるスルフォルファンという成分にがんを予防する効果があると学会で発表しました。スルフォルファンはファイトケミカルの一種で、その作用として抗酸化、解毒、抗炎症、抗糖化、抗ピロリ菌など多くの研究結果が報告されています。ブロッコリースーパースプラウトは、一般的なブロッコリーと比べてスルフォルファンを20倍以上含んでおり、日本では唯一村上農園が生産しています。高濃度スルフォルファンにこだわる生産に取り組み、人々の健康を増進させ選ぶ理由のある野菜をつくることを目指しています。
出典:村上農園
③植物工場のエネルギー消費を抑制
(対応するSDGs目標:7, 13)
村上農園は無駄なエネルギー消費の抑制を目指し、環境の負荷を低減する取り組みをしています。
取り組みとしては、スーパースプラウトファクトリーを土地の傾斜を利用し建設することにより、栽培室部分を地下に埋まらせます。
地下に埋めることにより、外部の影響による室温の変化を防ぎ、空調エネルギー消費を抑制して、環境負荷を低減することができます。
▼この記事で紹介しきれなかった村上農園のSDGsへの取り組みはこちら
まとめ
村上農園はスプラウト野菜を生産する農業として人々が求める「食」を重要視し、選ぶ理由のある野菜を開発をしてきていることが分かりました。
「生命を守る農ビジネスから新しい価値の創造する」という想いから開発されたスプラウト野菜。時代の変化とともに、さらなる野菜の可能性を求める姿勢が村上農園の素晴らしいところであると感じました。
これからの野菜の開発に目が離せなくなりそうです。
東京国際工科専門職大学一期生 IoTシステム開発専攻 ラズパイを使い日々プログラムコードとにらめっこしています。わかりやすい記事を作るのが目標です。