《解説》経済とSDGsの関係性|経済産業省のSDGsの取り組みについて

#SDGs目標8#働きがい#経済成長 2021.12.27

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皆さんは、SDGsと経済活動の関係性について知っていますか?SDGsと聞くと、環境保護活動や恵まれない子供達を支援するための募金活動など、慈善事業のようなことをイメージしている方もいると思います。

しかし、SDGsの目標8には「働きがいも経済成長も」という目標が設定されているように、SDGsと経済には、深いかかわりが存在します。

今回は、現在の経済産業省の取り組みについて触れながらSDGsと経済の関係性について紹介します。

SDGsと経済の関係性とは

目標8 働きがいも経済成長も

SDGs目標8「働きがいも経済成長も」の概要を紹介します。

目標8は、「包摂的活持続可能な経済成長及びすべての人々の完全かつ生産的な雇用と働きがいのある人間らしい雇用(ディセント・ワーク)を促進する」というテーマのもと、12個のターゲットから構成された目標です。長期的な経済成長を継続するために、「働きがい」と「経済成長」の両方に焦点を当てた目標となっています。

詳しい内容が知りたい方は、以下のURLをご覧ください。

SDGsの経済効果

それでは、SDGsは、日本においてどれほどの市場機会価値をもたらしているのでしょうか。

まず、SDGsの達成は「成長戦略」となりえます。

MURCにて産業連関表を用いた2030年の経済・産業構造の将来予測の試算が行われました。「成長戦略」の目指す成果が実現されるというケースでGDPを試算してみると、2030年の名目GDPは716兆円となり、年平均成長率は、2.0%にのぼる予測がされます。

SDGsの効果を考慮しないベースライン予測では、2030年の名目GDPは620兆円と見込まれており、SDGsの達成に近づくにつれ、100兆円の上振れ効果が見込めます。

また、生産額(=市場規模)も、2015年の1018兆円から2030年には1318兆円と約3割程度の増加が見込まれています。

日本の環境省によると、SDGsが創出する市場機会価値は年間12兆ドル、日本円にするとおよそ1200兆円にもなり、2030年までに創出される雇用は世界で約3億8000万⼈だと推計されています。これは、SDGsに取り組むこと自体が大きなビジネスチャンスにつながることを示唆しています。

出典:https://www.env.go.jp/policy/SDGsguide-honpen.rev.pdf

経済成長へ向けた政府・企業の動き

SDGsを用いた経済成長に向け、各企業や政府の動きが活発化してきています。今回は、成長戦略とグリーン成長戦略について簡単に説明します。

SDGsを取り入れた企業の成長戦略

まず、成長戦略とは、経営学の専門用語で、企業・団体・国家などが持続的成長を達成するために打ち出す方針・計画のことです。新規事業や業務提携、投資活動なども成長戦略にあたります。

現在、環境汚染や災害などが多発し経済活動に影響を与えています。さらに、地球資源の有限性が問題となり、従来のような大量生産・大量消費の経済モデルでは成り立たなくなっています。そこで、SDGsを成長戦略に取り入れることで、持続可能な循環型経済を目指していくことが求められています。

また、近年「ESG投資」が盛んに行われるなど、SDGsを推進している企業を、消費者や投資家は高く評価しています。こうした今、SDGに取り組むことは、単に社会課題を解決し社会貢献につながるだけではなく、企業の価値を高める成長戦略の機械となっているのです。

企業が自らの事業でSDGsを達成しようとすることを「SDGs経営」と言います。SDGsCONNECTでは、「SDGs経営」についての記事を公開しています。合わせてご覧ください。

SDGs経営に関する記事についてこち▼

SDGsに貢献する投資についてはこちら▼

政府が打ち出したグリーン成長戦略

グリーン成長戦略とは、2020年12月25日に採択されたもので、経済産業省が中心となり、関係省庁と連携して、「2050年までにカーボンニュートラルに伴うグリーン成長戦略」を策定しました。これは、菅政権が掲げた「2050年カーボンニュートラル」への挑戦に「経済と環境の好循環」をつなげるための産業政策です。これらの背景には、従来では、温暖化への対応を経済成長の制約やコストとする時代だったが、そのような考えは、なくなってきており、国際的にも成長の機会と捉える時代に突入してきたことです。

簡単に言うと、脱炭素社会を目指して、政府が現時点で考える政策と、これからのエネルギー需要の見通しを2050年までのロードマップとして示しているものです。これから成長が期待される産業(14分野)に対し高い目標が設定されています。

この14分野とSDGsの目標には親和性があり、気候変動の問題やエネルギー問題に注力しています。

14分野の具体例はこちらになっています。

  • (1)養生風力
  • (2)燃料アンモニア
  • (3)水素
  • (4)原子力
  • (5)自動車・蓄電池
  • (6)半導体・情報通信
  • (7)船舶
  • (8)物流・人流・土木インフラ
  • (9)食料・農林水産業
  • (10)航空機
  • (11)カーボンリサイクル
  • (12)住宅・建築物/次世代型太陽光
  • (13)資源循環関連
  • (14)ライフスタイル

引用元:https://www.meti.go.jp/policy/energy_environment/global_warming/ggs/index.html

SDGs経済産業省の取り組み|5選

では、経済産業省はどのような取り組みをしているのでしょうか。

新・ダイバーシティ経営企業100選/100選プライム

ダイバーシティ推進を経営成果に結び付けている企業の先進的な取り組みを広く紹介し、ダイバーシティの推進に取り組む企業の拡大を目指した戦略です。「新・ダイバーシティ経営企業100選」として、経済産業大臣表彰を実施していました。平成24年度から令和2年度までおこなわれた取り組みで、現在は終わってしまいましたが、数多くの企業の取り組みが紹介されています。

ダイバーシティとは、「多様性」を意味しており、ビジネスの分野では国籍・性別・年齢などで区別することなく、多様な人材を積極的に登用する戦略のことです。

以下のURLからご覧いただけますので、興味を持った方はご覧になってみてください。

https://www.meti.go.jp/policy/economy/jinzai/diversity/kigyo100sen/

健康経営の推進

健康経営とは、従業員の健康面を経営的な視点で考えて戦略的に実践することです。従業員の一人が体調を崩すと、仕事に遅れが出てしまう可能性や従業員が健康でいることで、活力向上や生産性の向上などに繋がり、組織の活性化を促します。その結果、業績向上や株価向上に繋がる可能性も期待できます。

また、経済産業省では、健康経営に係る各種顕彰制度として、平成26年度から「健康経営銘柄」の選定を行っています。また、平成28年度には「健康経営優良法人認定制度」を創設しました。狙いとしては、優良な健康経営に取り組んでいる法人を「見える化」することによって、従業員や求職者、各種関係者から「従業員の健康面を経営的な視点で考えており、戦略的に取り組んでいる企業」という社会的評価を受けることができる環境を整備しています。

燃料供給網の強靱化

エネルギーを安定供給するため、海外からの資源確保、海外からの供給途絶時に備えた備蓄政策、災害時でのエネルギーの供給継続、過疎地域での安定供給を含むエネルギー供給を担う国内産業基盤の確保などを行うため、総合的な政策を展開しています。

2013年の12月に「強くしなやかな国民生活の実現を図るための防災・減災等に資する国土強靭化基本法」の公布・施工から、2014年6月に策定された「国土強靭化基本計画」や「国土強靭化アクションプラン2016」に基づき、国内のエネルギーの供給網を強靭化するという推進が開始されました。

気候関連財務情報開示に関するガイダンス(TCFDガイダンス)の策定

2015年12月に採択されたパリ協定を受けて、金融業界を中心として、気候変動が投資融資先の事業活動に与える影響を評価する動きが世界的に広まってきています。

2017年6月に「気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD;TaskForceonClimate-related Financial Disclosures)」の最終報告書(TCFD提言)を公表し、2018年12月にその解説書として「気候関連財務情報開示に関するガイダンス(TCFDガイダンス)」が公表されました。

この公表を契機にTCFD提言への対応に向けた関心が高まり、民間企業が主導になって、2019年5月にTCFDコンソーシアムが設立されました。

企業の効果的な情報開示や開示された情報を金融機関が適切な投資判断につなげるための取り組みを議論しています。

このような議論を踏まえて、TCFDコンソーシアムは、経済産業省作成した「TCFDガイダンス」の改定作業を引き継いで、「TCFDガイダンス2.0」として公表をしました。

「TCFDガイダンス2.0」はどのような箇所が改定されたのかというと、主に3つの点が改定されました。

  • 1.近年のTCFDに関する国内外の知見やデータを踏まえた解説の拡充
  • 2.業種別ガイダンスの追加(食品、銀行、生命保険、損害保険)
  • 3.事例集において、日本企業を中心にTCFD開示事例を拡充

引用元:https://www.meti.go.jp/press/2020/07/20200731002/20200731002-1.pdf

「SDGs経営ガイド」

SDGs経営ガイドとは、経済産業省が2018年11月に立ちあげた、「SDGs経営/ESG投資研究会」の場において、SDGs経営とESG投資について6回に及ぶ議論がされ、その議論を取りまとめたものです。

SDGsに関する現状の認識をさまざまな観点から示し、企業が「SDGs経営」を実践する際に有用な視点で整理された資料です。SDGsを経営に取り込みたい世界中の気魚と国内外の投資家、関係機関あるいは各国の政府に羅針盤としての役割を果たして活用されることを目的として発行されました。

SDGs経営ガイドはこちらから▼

https://www.meti.go.jp/press/2019/05/20190531003/20190531003-1.pdf

最後に

今回は、経済産業省がおこなうSDGsの取り組みについてまとめさせていただきました。

経済産業省は、積極的にSDGsへの取り組みをおこない、目標達成に向けて活動をしています。

今回紹介した経済産業省の取り組みの中で何か気になるものがありましたら、ぜひ詳しくご覧になってみてください。

SDGsとは

SDGsは「<strong>Sustainable Development Goals」の略称</strong>です。日本語では「持続可能な開発目標」と表されます。

2015年9月の国連サミットで採択されたSDGsは、<strong>2016年から2030年までの15年で達成すべき17のゴールと169のターゲットで構成</strong>されています。

SDGsでは経済や環境、社会の課題が幅広く取り上げられ、持続可能な社会を築き上げるために、国連が主導してさまざまな取り組みが広がっています。

SDGs CONNECTでは、SDGsの各目標ごとに解説記事を公開しています。

▼各目標の詳細は以下の画像をクリック

▼SDGsについて詳しくはこちら

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