《SDGs事例集》 服のチカラで世界を変えていく。 株式会社ファーストリテイリング

#SDGs目標1#SDGs目標17#SDGs目標3#SDGs目標8 2021.06.01

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【更新日:2021年9月15日 by 三浦莉奈

株式会社ファーストリテイリング(以下、ファーストリテイリング)は、カジュアルな衣料品を展開する株式会社ユニクロや株式会社ジーユーなどの衣料品会社を傘下に持つ企業です。

ファーストリテイリングという社名は、英語で「素早く(提供する)」を意味する “Fast” と 「小売業」を意味する “Retailing” を組み合わせた造語です。この社名は、ファストフード的に素早く商品を提供できる小売業(ファストファッション)を目指して名付けられたものです。

ファーストリテイリングはサスティナブルな活動の一部として、「全商品リサイクル活動」として服の回収や、避難民キャンプへの訪問と衣料寄贈などを行っています。

このページでは、ファーストリテイリングの事業内容や製品・サービスをはじめ、SDGs戦略や活動まで、幅広く紹介していきます。

ファーストリテイリングのビジョン/事業

ファーストリテイリングの概要

ファーストリテイリングは、1949年3月山口県宇部市でメンズショップ小郡商事として創業されました。その後、1984年6月にユニクロ第1号店である袋町店を広島市に出店しました。(1991年閉店)

1998年10月には、ユニクロがフリースを1,900円という価格で販売し、話題になりました。

さらに、2003年10月に行われた「カシミヤキャンペーン」が注目を浴びるなどして、品質とコストパフォーマンスの良さが知れ渡りました。

*ユニクロ袋町店

ファーストリテイリングのグループ事業は、国内ではファーストリテイリングの中核とも言える「ユニクロ」「ジーユー」のブランド事業です。

これに加えて、アメリカのアフォーダブルラグジュアリーブランドである「セオリー」やセレクトショップブランドの「プラステ」などのブランドも展開しています。

また、海外のグループ事業においては、フランスのカジュアル衣料品ブランドであるコントワー・デ・コトニエ、フランスのランジェリーメーカーのプリンセスタムタムなどがあります。

上記のグループ事業は、国内外ともに数多くの拠点を持っており、店舗も広く展開されています。

海外拠点の一例としては、中国、台湾、韓国、シンガポール、マレーシア、タイランド、インドネシアなどのアジア地域や米国、カナダ、英国などの北米地域やフランス、ドイツ、イタリア、デンマーク、スウェーデンなどのヨーロッパ地域などの広範囲に及びます。

設立年 1963年5月1日
資本金 102億7,395万円
従業員数 57,727名
主な事業 ①ユニクロ事業②ジーユー事業③グローバルブランド事業

*2020年8月31日現在

ファーストリテイリングのビジョン

ファーストリテイリングは、グループ全体において、「FAST RETAILING WAY」という企業理念を設定しています。

そして、「服を変え、常識を変え、世界を変えていく」をステートメントとして掲げ、世界中のあらゆる人々に、良い服を着る喜び、幸せ、満足を提供することをめざしています。

それと同時に、独自の企業活動を通じて人々の暮らしの充実に貢献し、社会との調和ある発展を目指しています。これこそ、ファーストリテイリンググループのミッションであると考えられていて、その実現に向けて、SDGsをひとつの指標とし、社会への貢献と事業に取り組んでいます。

また、各国・各地域の顧客の生活ニーズに合った商品構成を構築することで、生活に寄り添うブランドであり続けることを目指しています。

ユニクロが新設した、さまざまな要素を併せ持った衣類の新ジャンル&コンセプトである「LifeWear」を定着させ、世界的に認知されることも目標にしています。

さらに、「LifeWear」コンセプトを浸透させると同時に、より良い立地、収益性の高い店舗への変革も試みています。

ファーストリテイリングの主な事業

ファーストリテイリングの主な事業は、①国内ユニクロ事業 ②海外ユニクロ事業 ③ジーユー事業④グローバルブランド事業に分けられます。

①国内ユニクロ事業

国内ユニクロ事業は、2020年8月時点で売上収益が8,068億円に上りました。この売上収益額はファーストリテイリング全体の収益の約40%になります。

商品の構成はウィメンズ、メンズ、キッズ・ベビー、靴などの小物などに分けられます。

国内の事業戦略では、顧客の生活の変化に合った商品開発を進めると同時に、需要予測・販売計画の精度を高めることを目標としています。さらに、売れ筋商品の欠品や過剰在庫を抑制することで、収益性を高めることも重要視しています。

また、タイムリーな増産、物流の効率化、店舗業務の効率化などサプライチェーン全体の改革も進めています。

*ユニクロ原宿店

*UNIQLO TOKYO(グローバル旗艦店)

②海外ユニクロ事業

海外ユニクロ事業においては、2020年8月時点で8,439億円の売上収益の実績を持ちます。この売上収益額はファーストリテイリング全体の約42%に値します。

この結果は海外ユニクロ事業が国内ユニクロ事業と変わらない実績をあげていることを表しています。

海外における店舗数も拡大しており、現在では1,439店舗が世界各国に展開されています。また、2019年から約60店舗も新店舗をオープンしています。

今後の海外ユニクロ事業の戦略としては、圧倒的なブランドポジションを確立している大きな中華圏、アジア・オセアニア地区などにおいて、引き続き成長していくことを目標としています。

さらに、グレーターチャイナは年間100店舗、アジア・オセアニア地区は、年間40店舗の出店を計画しています。

*中国:ユニクロ上海店(グローバル旗艦店)

*オーストラリア:エンポリアム メルボルン店

ユニクロ事業は国内・海外ともに日々変化し、多様化するライフスタイルに対応するために、幅広い製品・サービスを用意しています。

②ジーユー事業

ジーユー事業では、2020年8月時点で売上収益が2,460億円に上ります。

ファーストリテイリング全体では約12%の売上収益額となります。

ジーユー事業は低価格で幅広く衣類を購入できることを強みとしています。そのため、ジーユー事業のテーマである「ファッションと低価格」をより強化することを計画しています。

 

*ジーユーダイエー南行徳店(ジーユー1号店)

*ジーユー心斎橋店(旗艦店)

ジーユー事業では、流行を取り入れたファッションを追求しつつ、着心地のよい製品を生産しています。

これからも低価格でファッションを楽しみたいというニーズに答え続けます。

③グローバルブランド事業

グローバルブランド事業では、セオリー事業、プラステ事業、コントワー・デ・コトニエ事業、プリンセス タム・タム事業、J Brand事業など多岐にわたってさまざまなグループ事業を展開しています。

上記のブランドはユニクロやジーユーのようなカジュアルな製品とは異なる雰囲気の衣類を販売しています。シンプルでありながらも、モダンなデザインを多く取り揃えています。

これらのグループ事業の2020年8月時点での売上収益は1,096億円です。

この売上収益額はファーストリテイリング全体の売り上げの約5%になります。

グローバルブランド事業の今後の事業戦略は、以下のようにそれぞれの事業で分けられています。

セオリー事業は、顧客のライフスタイルの変化に合わせた商品構成を拡大することで、安定成長を目指しています。

プラステ事業は、よりリーズナブルな価格帯のブランドとして、日本でも事業の拡大を図っています。

コントワー・デ・コトニエ事業、プリンセス タム・タム事業は、内部構造改革を進めるなどして収益改善を目指しています。

*Theory日本:青山店(旗艦店)

【引用】https://www.fastretailing.com/jp/about/photolibrary/globalbrands.html

*COMPTOIR DES COTONNIERS フランス:ヴォージュ広場店

ファーストリテイリングとSDGs

直接関係するSDGs

ファーストリテイリングのSDGs戦略

ファーストリテイリングは、SDGsの以下の目標を主軸として戦略を立てています、

目標1「貧困をなくそう」
目標3「すべての人に健康と福祉を」
目標8「働きがいも経済成長も」
目標17「パートナーシップで目標を達成しよう」

これらのSDGs目標と、ファーストリテイリングが理想とするサスティナブルな社会づくりをつなげていくことが重要だと考えています。

 コミュニティ

難民やホームレスの人々の生活を支援し、貧困から脱するための手助をする様々な取組みを展開しています。

 

 環境

生産に使用される化学物質の使用、排出、安全管理を行っています。 

2020年までに危険化学物質排出をゼロにすることを目指しています。

 

 生産

安全で公正な労働環境を実現するうえで、FLAが強調するコードオンダクト要件を充たすことを目指しています。

人材
障がい者や難民の雇用機会を拡大しています。

                               教育機会の提供などを継続的に推進しています。

グローバルなパートナーシップ
SACなど多くのステークホルダーと協働してノウハウを共有しています。
国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)とのグローバルパートナーシップ
を強化しています。

ファーストリテイリングのSDGsの取り組み

ファーストリテイリングはSDGs達成に向けてさまざまな活動を行っています。

一部ではありますが、取り組み事例をいくつか紹介します。

取り組み事例①:ジーユー事業における「3つのコネクト宣言」

ジーユー事業はいい服といい未来をつくるために、生活者生産者地球の3つとつながる「3つのコネクト宣言」を発表しました。

1つ目は、生活者の声を聞き、ジーユーというブランドならではのファッションと実用性を兼ね備えた服を開発するというものです。

2つ目は、生産工場と課題を共有し、新たな技術革新を起こすことで、高い品質と消費者にとってうれしい価格の商品を誕生させるというものです。

3つ目は、需要を正確に把握し、生産・運搬・販売のために徹底的に知恵を絞ることで、無駄のないサプライチェーンを実現するというものです。

これらに加えて、環境負荷の小さい素材の導入、リサイクル活動を推進し、サステナブルな事業の構築を目指しています。

取り組み事例②:全商品リサイクル活動

全商品リサイクル活動では、たくさんの顧客のもとで不要になった服を店舗で回収し、服を必要としている国内・海外の多くの人々に届けています。

また、着られない服は廃棄物固形燃料として再利用しており、資源を無駄にしない方法を選択しています。

ファーストリテイリングでは、服の価値を最後まで活かす活動を通じ、つくる責任をもって社会に貢献しています。

この全商品リサイクル活動は2006年から行われており、服を再利用する取り組みは世界中に広がっています。

外部からの評価

ファーストリテイリングのサステナブルな取り組みは外部からも評価されています。

「SASTAINA ESG AWARDS」小売部門にてゴールド獲得

ファーストリテイリングは、2020年度のESG-CSRの日本調査評価会社による
「SASTAINA ESG AWARDS」の小売部門でゴールドを獲得しました。

「SASTAINA ESG AWARDS」とは、ESGに積極的に取り組む企業を称える表彰制度です。

ファーストリテイリングは、以前からサプライチェーンの人権問題など人に重点を置いており、さらに最近では気候変動などの環境問題にも注力したことが評価されたと考えられます。

まとめ
衣類は、「衣食住」というように生きてく上で柱になる存在です。

わたしたちの生活を守るものでもあり、より豊かにしてくれるものでもあります。

誰もが毎日使用するものだからこそ、サスティナブルに生きることへの足掛けとなることに気づかされます。

今着ている服はどこからきて、どこへいくのか、持続可能な社会をつくるために考えていきたいですね。

 

 

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