水や電力・インターネットなど、私たちの生活に不可欠なインフラは数多く存在します。しかし、世界にはインフラを整える技術や人材が備わっていない地域もたくさんあり、これが貧困問題・世界からの孤立化といった問題にも影響しています。
先端技術が発達していく中、生活の基盤ができておらず技術の普及が遅れている地域を放置してしまえば、先進国との格差は少しずつ広がっていきます。
今回は、SDGs9「産業と技術革新の基盤をつくろう」を達成するために私たちにできることを考えてみましょう。
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SDGs9「産業と技術革新の基盤をつくろう」
はじめに、課題に対して理解を深めるためにSDGs9とはどのような目標なのかを確認しましょう。
SDGs9「産業と技術革新の基盤をつくろう」とは
SDGs9は「強靭なインフラを整備し、包摂的で持続可能な産業化を推進するとともに、技術革新の拡大を図る」ことを目的とし、インフラ・産業・イノベーションの3つの要素から成り立っています。目標達成には、さまざまな先端技術へ容易にアクセスできる環境を整えることが必要です。
「強靱なインフラを整備すること」とは、災害で壊れてしまっても復興の早いシステムを確立することを指します。自然災害が多くとも立て直る力を持つ「レジリエントなインフラ」を整備することが求められています。
またSDGs9に取り組むことで目標8「働きがいも 経済成長も」や目標17「パートナーシップで目標を達成しよう」などの解決にも直結します。
SDGs9について詳しくはこちら▼
SDGs9 の3つの課題
SDGs9には、現代もさまざまな課題が未達成のまま残されています。その中でも代表的なものをいくつかご紹介します。
①インフラの未整備
多くの開発途上国では、道路や情報通信・技術・衛生施設・電力・水といった基礎インフラが未整備となっています。全世界で約23億人が基本的な衛生施設を利用できず、約8億人は安全な水を、苦労なく手に入れることができていない状況にあるといわれています。
(参照:【SDGs 9.産業と技術革新の基盤をつくろう】とは?現状と家庭でできること|みらいい)
②インフラの老朽化
技術先進国ではトンネル・橋・道路の建築などさまざまな建築技術が発達し、早い段階でのインフラ整備が行われてきました。しかし、近年は経済成長期に整備されたインフラの老朽化が心配されています。インフラのメンテナンス問題には、少子高齢化による人手不足などの問題も関わっているため、AIやIoTを導入した対策なども必要になっていくでしょう。
(参照:急がれる社会インフラの老朽化対策。AI や IoT を駆使したインフラメンテナンスとは|wisdom)
③科学技術の偏り
中・高度科学技術を有する企業は2017年に全世界の産業の45%であり、先進国では49%をも占めています。一方で、後発開発途上国では9%しか占めておらず、科学技術の分野でも差が生まれてしまっています。
▼SDGs9の内容や課題について詳しく知りたい方はこちら
SDGs9達成のために私たちにできる4つのこと
SDGs9は、経済発展・雇用など内容を見ると私たちが個人でできることはないように思う方もいるでしょう。しかし、今すぐにでもできる取り組みや、財布のなかの小銭からできる取り組みもあります。ここでは比較的取り組みやすい4つをご紹介します。
①SDGs9の現状を知ろう
普段の生活のなかで、身の回りのインフラを意識することは少ないのではないでしょうか。
インフラは私たちの生活を支える「ライフライン」であり、これらがどんな形で役立っているのか、またどんな問題を抱えているのかを学ぶことが個人でできる取り組みの第一歩となります。
身近なインフラについて学んだあと、隣国や名前を聞いたことがないような途上国のインフラがどんな状況なのかを知るとより詳しく現状を理解できるしょう。
②新しい技術を想像しよう
産業の持続的発展のためには、常に技術革新を拡大していくが必要があります。
そこで、まず私たちにできることは「想像すること」です。
未来にはどのような技術があるのか、何ができたらより豊かな生活ができるのかなどを想像することで、新たな技術の開発につながる発想力を養うことができます。
③災害復旧などに募金しよう
インフラについて学んだら、もう少し外側に目を向けてみましょう。
日本のように普段の生活でインフラ整備を不自由なく使える豊かな国でも、自然災害によってインフラ設備がダメになってしまい、復旧まで機関に不便な生活を強いられる場合が少なからずあります。さらに世界に目を向ければ、インフラ設備が不十分であるがゆえにその不便な生活が日常化している地域があることもわかるでしょう。
このことを理解した上で災害復旧支援などの募金活動に参加すると、意識を高める良いきっかけづくりになります。様々な団体が募金箱の設置やホームページから募金サイトなどを運営しているので、気になる方は調べてみてください。
④SDGsイベントに参加しよう
SDGsについてや持続可能な地球ために具体的にできることについてより深く学びたい、活動をしたいと思った場合は、団体が主催するイベントに参加すると良いでしょう。
SDGsイベントは対面・オンライン共に数多くの団体・企業で開催されています。対象年齢やイベント内容のジャンルは幅広く、自分が興味を持てるイベントも見つかりやすいです。
イベントを探す際は、イベント開催情報をまとめているサイトを見てみたり、対象年齢を絞って探してみると自分に合ったイベントが見つかる確率がぐっとアップするでしょう。
(参照:SDGsイベント特集|こくちーずプロ)
私たちも参加できる!SDGs9達成のための活動事例3選
ここまで、SDGs9達成のために現状の課題の確認や私たちができることをご紹介しました。しかし、「なんとなくは理解できたけど具体的なイメージが掴めない」という方もいらっしゃるかもしれません。
ここからは、私たちが今からでも参加できる具体的な活動の事例をご紹介します。
①プラン・インターナショナル
プラン・インターナショナルは世界70カ国以上で活動を展開する、国連に公認・登録された国際NGOです。子どもの権利を推進し、貧困や差別のない社会を実現するために募金活動やイベントの開催を行っています。
その中の、SDGs9「産業と技術革新の基盤をつくろう」に関係する活動に「災害の緊急・復興支援」を目的とした募金活動があります。
災害や紛争が生じた場合、1番の弱者となってしまう子ども達への救援物資の支給、保護、避難シェルターの設置などの緊急支援を行い、長期的に復興支援を続けるための寄付を募る活動です。少額から募金でき、年間活動レポートを見ることでプロジェクトの進みや現地の子ども達の様子を確認できるシステムになっていて、「SDGsに貢献している」という実感を得ることができます。
(参照:緊急・復興支援|PLAN INTERNATIONAL)
②相模原市 市民通報アプリ「パッ!撮るん。」
市民通報アプリ「パッ!撮るん。」とは、神奈川県相模原市が運営する無料のスマホアプリで、スマートフォンが持つカメラやGPSの機能を利用して、相模原市が管理する施設等の破損状況をメールで通報することができます。
通報から補修までの手順は非常にシンプルな3ステップです。
①利用者が「パッ!撮るん。」で補修してほしい現場の写真を添付して通報
②相模原市が内容を確認して、現場へ行き状況を確認
③補修作業を実施
通報対象は「道路」「公園」「河川」「下水」「放置自転車」となっており、一人ひとりの通報がより美しく、安全で便利なインフラ整備・まちづくりにつながります。
皆さんの住む地域ではどのような活動があるのかもぜひ探してみてください。
(参照:市民通報アプリ「パッ!撮るん。」特設サイト|相模原市ホームページ)
③地球こどもサミット
地球こどもサミットとは、子どもたちを主体として「未来のいのちと100年後の地球を考える」ための活動を行っている団体で、国境や宗教、人種の壁を越えた意見の共有を目的とするサミットを開催しています。
2020年は「大切ないのち」がテーマとなり、「 地球規模で広がっている新型コロナウィルス感染症により、人々の生活はどう変わっていくのか。オンラインで世界のこどもと繋がりながら、皆で一緒に「いのちの大切さ」について、青空の下で考えてみよう。」という活動が行われました。
子どもに未来について考える機会を提供したい、世界の子どもたちとつながる経験をさせてあげたいという保護者の方にも、ぜひチェックして頂きたいイベントです。
(参照:地球こどもサミットホームページ)
終わりに
SDGs9「産業と技術革新の基盤をつくろう」にはいまだに多くの課題が残っています。
私たちにできることは小さなことかもしれませんが、一人ひとりが積み重ねていけば確実に課題解決に近づいていくでしょう。
この記事が皆さんの行動のきっかけになれば幸いです。
SDGsとは
SDGsは「<strong>Sustainable Development Goals」の略称</strong>です。日本語では「持続可能な開発目標」と表されます。
2015年9月の国連サミットで採択されたSDGsは、<strong>2016年から2030年までの15年で達成すべき17のゴールと169のターゲットで構成</strong>されています。
SDGsでは経済や環境、社会の課題が幅広く取り上げられ、持続可能な社会を築き上げるために、国連が主導してさまざまな取り組みが広がっています。
SDGs CONNECTでは、SDGsの各目標ごとに解説記事を公開しています。
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