SDGsがここ数年で広く認知されるようになりました。
しかし、項目ごとの目標やその課題については、理解できていない方が多いのではないでしょうか。
そこで今回は、SDGs15の課題にフォーカスして、解説していきたいと思います。
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SDGs15「陸の豊かさも守ろう」とは
SDGs15の概要
SDGs15では、「陸の豊かさも守ろう」をテーマに掲げ、取り組みを促しています。生態系の保持や生物多様性を守ることを主な目的としており、具体的には、持続可能な森林の管理、土地劣化の防止、生物多様性の損失の阻止を目指しています。
特に、2020年までに陸上の生態系の保全や環境の保護と回復を行い、その目標を達成することが狙いとなっています。
私たちは日々の暮らしの中で、知らず知らずのうちに陸上の生態系からの恩恵を受けており、それが職・食料・燃料・医療品などを担っています。そのため、こうした陸上の生態系を守ることが、私たち人間が生きていくために必要不可欠です。よって、SDGs14の海の豊かさの保持だけでなく、陸上の豊かさもともに守らなければならないのです。
SDGs15の抱える3つの課題
SDGs15を実行する上で現在の課題について解説していきます。
①森林破壊
森林は、地球環境保全機能、土砂災害防止、水質浄化、大気浄化、保養・レクリエーション、生物多様性保全、文化・教育、物質生産という主に8つの役割を担っています。
現状として、世界の森林は たった1分で25ヘクタールが失われています。例えば、アマゾンの森林では、森林伐採と森林火災などの影響によって減少しており、今後、サバンナのような植生になってしまう可能性があります。それは、農業生産の低下、炭素排出量の増加をはじめとした世界全体の諸問題に繋がってしまいます。
②土壌劣化
土壌の質に関しても課題が存在します。
現在世界人口の35%ほどが乾燥地帯で生活していますが、将来、土壌の劣化によって砂漠化し、住むことができなくなってしまう可能性があります。
水質汚染や温室効果ガスの排出などが原因であるとされており、一刻も早い改善が求められています。
③生物多様性の崩壊
現在、世界中で急速に生物多様性が失われています。生物多様性とは、地球上の生き物や植物が海、山、川、森などの自然と関わりを持ちながら生きていることを示します。
生物多様性が失われている原因として、毎年1,300万ヘクタールの森林が失われていること、2万6000種類ほどの野生生物が絶滅の危機に瀕していることなどが挙げられます。この状況が続くと食料や繊維を始め、5万〜7万種の植物由来物質が使用されている医薬品、水質の維持、自然災害からの保護など生態系によってサイクルが維持されているものは、その生態系を構成する生物のどれか1つが絶滅するだけで崩れてしまうことが予想されます。
SDGs15達成に向けた対策3選
上記の課題を解決するために多くの取り組みが行われています。
FSC認証
森林破壊という課題に対する対策としてFSC認証が挙げられます。
これは、1993年に開始した国際的な認証制度で、森林の管理が環境・地域社会に配慮しつつ、適切に行われているかという点を評価基準として認証を行っており、そうした森林による生産品であると証明するものになっています。
FSC認証を受けている製品を使用することで適切な森林管理を支援することになり、世界全体での森林保全を目指すことができます。
国連砂漠化対処条約の締結
国連は、国連砂漠化対処条約(UNCCD)という条約を締結することで、土壌の劣化などの問題に対する対策を行っています。
これは、干ばつや砂漠化に直面しているアフリカ諸国を中心とした地域へ向けての支援を目的としており、砂漠化の原因である過放牧、森林伐採の減少とその代替案への援助といった対策の検討が行われています。
具体的な取り組みとして、日本政府は緑資源機構による砂漠化防止のための調査を行ったり、農村開発プログラムを実施したりしています。
当初は、日本を含む86カ国が署名していましたが、次第に増加し、現在では196カ国にまで拡大しています。
グリーン・コモディティー・プログラム
生物多様性の崩壊に対しては、グリーン・コモディティー・プログラムという対策が行われています。
これは、国連開発計画(UNDP)によって2009年から行われているプログラムで、地球に優しい生産形態の確保を目的としています。
具体的には、農村開発、生産環境改善、気候変動緩和などを目指して現地政府機関の人材育成や農家組織の強化、マイクロクレジットの提供といった取り組みを実施しています。
SDGs15達成に向けて私たちにできること3選
SDGs15の目標を達成するために、私たちが日常生活の中でできることは何でしょうか。
ゴミの削減
ゴミを減らすことは、SDGs15の達成に向けて非常に重要な取り組みです。
ゴミを処理する際に非常に多くの二酸化炭素が発生します。大気中の二酸化炭素は、森林や生態系の破壊へ繋がります。
再利用できるものを中心に使用したり、不要なものの購入をやめたりすることでゴミを削減し、環境保護に努めましょう。
FSCマークのついた製品を選ぶ
1994年にFSCが設立され、森林に関する環境問題の解決に向けた取り組みを行っています。
FSCは、FSCマークを導入しています。このマークは、管理された森林から作られた製品かを審査し、認証したものに付与しています。
消費者である私たちが、マークのついた商品を選ぶことで森林保全に貢献することができます。
貢献している取り組みや事業を知る
上記の通り、様々な企業・団体が課題解決へ向けて取り組みを実施しています。
そのことを知り、消費したり、投資したりすることで自分自身でも間接的に貢献することが可能になります。
また、そのような取り組みに貢献することで、日常生活の中でも意識する機会が増える効果も見込めるため、まずは知ることから始めてみると良いと思います。
まとめ
SDGs15には、まだまだ多くの課題が残っており、完全な改善には至っていません。
しかし、SDGsに注目が集まったことで上記の対策だけでなく、経済的インセンティブの提供や法律の制定といった様々な対策が講じられており、世界全体で好転しているのが現状です。
私たちも日常生活の中で少しでも意識し、行動を見直していくことが重要であり、それが将来の豊かな生活の確保に繋がると思います。
SDGs CONNECTライター。ESGに関する記事を中心に、よりよい社会の実現へ向けて情報をお伝えしていきます。