IT分野でリスキリングしたいと考えている人は年々増えているのではないでしょうか。
現代の急速なデジタル化によって、ITスキルを身に付けることが求められています。特に、IT技術は新しくなるスピードが速く、労働者は常に学ぶことが求められています。
今回は、IT分野のリスキリングの現状や政府の取り組み、取るべき資格についても紹介します。
【この記事でわかること】 |
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リスキリングとは
リスキリングとは、現在の仕事に必要なスキルに加えて、新たなスキルや知識を身につけることを指します。スキルアップやキャリアアップを目的として行われるもので、自己啓発や企業研修、資格取得など、さまざまな方法があります。
例えば、出版業で働く人がAIの導入によって従来の仕事内容が大きく変わった場合、新たなスキルを身につけて新しい仕事に就く必要があります。この際にリスキリングが必要になるのです。
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IT分野でリスキリングが求められている理由3選
IT分野でリスキリングが求められている理由を3つ紹介します。
IT人材が不足しているため
近年のデジタル技術の急速な進展に伴い、IT人材の需要が急増しています。しかし、IT人材の供給が追い付いておらず、深刻な人材不足が懸念されています。
経済産業省の調査によると、2030年には最大でIT人材が約79万人不足すると見込まれています。このままではDXの推進やイノベーションの創出が阻害され、日本の経済成長にも大きな影響を与える可能性があります。
このような状況を打開するために、IT人材の育成・確保が重要です。その一つの手段として、既存のIT人材のスキルアップやキャリアチェンジを促す「リスキリング」が注目されています。
進化し続けるIT技術に追いつくため
近年、IT技術は絶えず進化し続け、新たな技術やツールが次々と登場しています。そのため、常に知識やスキルをアップデートする必要があるのです。
例えば、AIやビッグデータ解析、クラウドコンピューティングなど、新たな技術の導入は企業の競争力を大きく左右します。これらの分野を理解し、適切に活用できる人材が必要なのです。
このように、リスキリングは進化するIT技術に対応し、自己の価値を高める有効な手段と言えます。
企業のDX化に対応するため
企業のDX化に対応するため、リスキリングが求められています。まず、DX(デジタルトランスフォーメーション)とは、デジタル技術を活用した企業活動全体の変革を指します。
近年、IT技術の進歩によって業務プロセスの高度化や効率化が求められています。それに伴い、最新のITスキルを習得したDX人材が不可欠となっています。
リスキリングによって従業員は最新のITスキルを習得し、企業のDX推進に貢献できます。これにより、企業は競争力を保つことができます。また、従業員は価値の高いスキルを取得することで、キャリアアップを実現できます。
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国によるリスキリング支援策とは-助成金も紹介
国が主導するリスキリングの支援策について紹介します。また、助成金についても詳しく紹介します。
経済産業省主催のリスキリング講座
経済産業省は、急速なIT化やデジタルトランスフォーメーションの進展に対応するため、ITリスキリングを推進しています。その一環として、様々な講座を開催し、ITスキルの習得を支援しています。
これらの講座は、大きく分けて「基礎講座」と「実践講座」の2つに分類されます。基礎講座では、ITの基礎知識や最新のIT技術の概要を学ぶことができます。実践講座では、プログラミングやデータサイエンスなど、特定のITスキルを習得することができます。
講座はオンラインやオフラインで開催されており、企業の従業員やフリーランス、学生など、幅広い層が対象です。
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「5年で1兆円」にも及ぶ支援策
政府は、2021年からの5年間、リスキリング支援策として1兆円の予算を計上しています。この予算は、IT分野への転職を希望する人が必要なスキルの習得や訓練を支援する目的で設定されました。
具体的には、以下のような支援が行われます。
内容 | 詳細 |
教育訓練 | ITスキルを身につけるためのプログラミングスクールやセミナーなどに参加する費用を助成 |
資格取得 | IT関連資格を取得するための試験料や学習費用の一部を補助 |
このように、政府はIT人材の強化を目指して大規模な支援策を展開しています。リスキリングを考えている人はこの機会を活用し、自身のスキルを高めていきましょう。
人材開発支援助成金-政府による助成金
人材開発支援助成金は、企業が従業員のスキルアップを支援するために政府から提供される制度です。
具体的には、次のような取り組みに対して最大で3分の2の金額が助成されます。
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この助成金を活用することで、IT分野のリスキリングに必要なコストを軽減できます。ただし、申請には一定の条件があるため、労働局のウェブサイトや窓口での確認が必要です。
リスキリングにおすすめなIT資格5選-プログラミングに関する資格も紹介
リスキリングにおすすめなIT資格を5つ紹介します。
ITパスポート
ITパスポートは、情報処理推進機構(IPA)が実施する国家試験です。ITに関する基礎的な知識と技能を問う試験で、ITの初級者から中級者を対象としています。
ITパスポートでは、ITの基礎知識と技能が幅広く問われます。そのため、ITに関する知識を体系的に身につけることができます。
また、ITパスポートはIT業界で働くための登竜門となる資格です。ITパスポートを取得することで、IT業界への就職や転職の際に有利になります。
DX検定
DX検定は、デジタルトランスフォーメーション(DX)に関する知識や技能を証明するための資格試験です。試験範囲はデジタル技術の基礎知識、DXの戦略立案や実行に必要な能力、さらにはデータ分析やAIの活用方法など、幅広い範囲となっています。
DX検定を取得することで、デジタルトランスフォーメーションに関する基礎的な知識やスキルを身につけることができます。
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これらのスキルを身に付けることで、DX人材としてのスキルを証明することができ、就職や転職が有利になる可能性があります。
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基本情報技術者試験
基本情報技術者試験は、IT分野の基礎的な知識を問う国家試験です。ITのあらゆる分野をカバーしており、IT分野で働く人にとって必須の資格として位置づけられています。
基本情報技術者試験の内容は以下の通りです。
分野 | 主な内容 |
ソフトウェア | プログラミング基礎、データベース理論 |
ハードウェア | PCの構造、OSの基本 |
マネジメント | プロジェクトマネジメント、ITガバナンス |
ネットワーク | TCP/IP、セキュリティ基礎 |
この資格を取得することは、IT分野のリスキリングにおいて最初のステップです。また、一般的に企業での採用や昇進の際に有利とされており、将来的なキャリアアップを見据える人にもおすすめの資格です。
Python3エンジニア認定試験
Python3エンジニア認定試験は、Pythonのスキルを証明する資格試験です。
この試験はPythonを使用するプログラマーやエンジニアだけでなく、データサイエンスや機械学習の分野でキャリアを築くことを目指す人々にもおすすめです。
試験に合格することで、以下のメリットがあります。
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Pythonは、現在最も人気のあるプログラミング言語のひとつです。Pythonのスキルを身につけることで、活躍の可能性が広がります。
G検定
G検定は、AI(人工知能)に関する幅広い知識を有する人材を認定する国内唯一の資格です。
G検定は、AIの基礎から応用まで、幅広い知識が問われます。そのため、資格を取得することで、AIの知識やスキルを証明することができ、企業からの信頼を得やすくなります。
また、G検定の資格取得には、オンラインで学べる講座が用意されています。そのため、本業や家事をしながら、自分のペースで学習を進めることができます。
リスキリング(学び直し)を検討している方は、ぜひG検定を取得候補の一つに加えてみてはいかがでしょうか。
まとめ
今回は、IT分野でのリスキリングについて、政府の取り組みやおすすめな資格を中心に紹介しました。リスキリングの必要性はIT人材の不足や、技術の急速な進化、企業のDX化が進む中で高まっており、多彩な支援策が展開されています。
ITに関する資格を取得することで自分のITスキルを証明することができます。今回はその一例として、5つの資格を紹介しました。特に、IT分野で転職を考えている人は、これらの資格の取得を検討してみてはいかがでしょうか。
また、これらの資格取得には多くの助成金が存在し、金銭的な負担を軽減することもできます。リスキリングは自身のスキルを高める大切なプロセスです。どのようなスキルが自分に必要か、一度考えてみてはいかがでしょうか。
大学では国際デザイン経営学科に所属し、解決が困難な問題をあらゆる角度から解決できるようにするため、日々勉学に努めている。