SDGsと外務省-日本のSDGs達成度や取り組み事例4個を紹介

#持続可能 2021.08.16

この記事をSNSでシェア!

 

【更新日:2023年5月11日 by 大竹礼二

近年SDGsが注目されると共に、外務省の役割も増えてきています。

世界中の国と協力をして課題を解決していくためにも外務省は欠かせない存在です。そんな外務省はSDGsに対してどのような取り組みを行っているのでしょうか。

今回は、日本のSDGs達成度、外務省の役割、外務省がSDGsへどのような取り組みを行っているのか紹介します。

【この記事でわかること】

SDGsとは

SDGsは「Sustainable Development Goals」の略称です。日本語では「持続可能な開発目標」と言います。

2015年9月の国連サミットで採択されたSDGsは、2016年から2030年までの15年で達成すべき17のゴールと169のターゲットで構成されています。

SDGsでは経済や環境、社会の課題が幅広く取り上げられ、持続可能な社会を築き上げるために、国連が主導してさまざまな取り組みが広がっています。

▼SDGsについて詳しくはこちら

日本のSDGs達成度

国際連合の研究組織「持続可能な開発ソリューション・ネットワーク」が各国のSDGs達成度を発表しました。

「持続可能な開発レポート2022」では、国別のSDGs目標の達成度の順位とスコアが公表されています。

スコア
1位:フィンランド 86.5
2位:デンマーク 85.6
3位:スウェーデン 85.2
4位:ノルウェー 82.3
19位:日本 79.6

日本は去年から順位が1つ下がり19位となっています。

上記の表の色は、SDGs目標の達成度を示しています。

緑色は、2030年までに目標達成している項目を表しています。黄色は目標達成に近いが課題が残っている項目を表しています。オレンジ色は、重要な課題が残っている項目を表しています。赤色は、スコアが下がり特に重要な課題である項目を表しています。

さらに上向きの矢印は、去年から比べて目標達成に向けて順調に進んでいることを表しています。右斜め上向きの矢印は、順調にスコアを達成しているが必要なスコアには達していない項目を表しています。右向きの矢印はスコアの進捗ペースが停滞している項目を表しています。下向きの矢印は、スコアが下がり取り組みが悪い方向に向かっている項目を表しています。

2022年の日本のSDGs達成度は赤色が多く、順調に進んでいない目標が多いです。

しかし、上向きの矢印が多く順調には進んでいないものの、取り組み状況は悪くないです。

今後もSDGsの取り組みが増え、全ての項目が目標達成できるように取り組むことが大事です。

外務省とSDGsの関係性

外務省が取り組んでいる課題には、核兵器・テロ・感染症・環境問題・世界経済の発展などが挙げられ、各国が協力して取り組むべきものが多くあります。

仮に1つの国がSDGsの全ての目標の達成を目指したとしても、世界が共通して持つ気候変動や、科学技術の管理・発展、経済成長などの課題を1つの国で解決することは不可能です。

よって、私たちが抱える課題と国際協力は切っても切れない関係にあり、その「国際協力」を円滑に進めるために外務省の存在が大きな役割を担うようになります。

外務省とは-キッズ外務省で外務省の仕事を知る

「外務省」とは、国の利益を守るための外交・交渉を担う行政組織です。

江戸時代の終わりごろ、黒船が来航した際にアメリカのペリー提督によって開国を迫られ、日本にとって不利益な日米和親条約を締結してしまったことは、ご存じの方も多いかと思います。

この経験から日本は国益を守る重要性を学び、明治時代に入ってすぐの1869年に「外務省」が設立されました。

しかし、外務省では具体的にどのような仕事を行っているのでしょうか。

「キッズ外務省」では、外務省の仕事や世界の国々について分かりやすく紹介されています。ここでは、外務省の仕事や役割を紹介していきます。

▼キッズ外務省はこちら
キッズ外務省|外務省

外務省の仕事

外務省の仕事は、文化や言語の違う世界各国の中で、国と国民の利益を守ることです。

東京にある「外務本省」では世界中の情報を分析し、日本と各国がどう付き合っていくのか決定します。そして、海外にある「在外公館」が指示を受けて現地でやり取りします。

外務省では、以下の5つの政策に取り組んでいます。

  • 日本と世界の平和のための政策
  • 地球社会のための政策
  • 豊かな世界に向けた政策
  • お互いの理解を深めるための政策
  • 海外にいる日本人のための政策

1.日本と世界の平和のための政策

日本や世界の平和を保つため、国際連合に加盟しています。国際連合は、第二次世界大戦後に作られ世界中で平和や経済発展のために協力しています。

日本は1956年に国際連合に加盟し、各国と国際協力を行っています。

日本と世界の平和を保つ取り組みとして、日米安全保障体制や防衛協力の関係を築いています。そのため、米軍が日本に駐在し軍事面の協力を得ています。

2.地球社会のための政策

世界中には、貧困・干ばつ・海面上昇や感染症など多大な影響を与える災害があります。

特に問題になっているのが気候変動です。気候変動は自然災害を起こすだけでなく、水不足や生態系の崩壊を引き起こします。そのため、世界中が気候変動の原因の一つである温室効果ガスの削減に取り組むことを決定しました。それが「持続可能な開発目標(SDGs)」です。

「SDGs」では、よりよい地球の未来のため17の目標と169のターゲットが定められています。

さらに、災害や環境問題によって困っている人を助ける「政府開発援助(ODA)」というものがあります。お金や物資の援助、技術の協力を行っています。

これまで日本は190か国以上の国や地域にODAの支援を行っています。

3.豊かな世界に向けた政策

日本の食料は輸入に頼っているものが多くあります。2021年の米の食料自給率は38%で、日本の食料自給率は年々低くなっています。

日本は半分以上輸入に頼っているため、食料や資源を確保することが重要になっています。そのため国同士で輸入のルールを作ったり、国際的な話し合いを行っています。

4.お互いの理解を深めるための政策

日本について理解してもらうため、海外で日本の伝統文化やアニメや漫画のキャラクターを紹介する事業の開催を行っています。

世界中の子どもたちとの交流やウェブサイトで日本の紹介も行っており、日本の文化や認知度は上がっています。

5.海外にいる日本人のための政策

2022年時点で、海外に住んでいる日本人は130万人を超えています。これだけたくさんの日本人をサポートするのも外務省の役割です。

海外で生活や留学をする人に向けた安全情報を提供する「たびレジ」という窓口があります。海外で生活する際の支援や安否確認、緊急の連絡を行うことができます。

▼たびレジはこちら
海外へ渡航される皆様へ たびレジ|外務省

外務省のSDGsに関する取り組み

ここでは、外務省が関連しているSDGsの取り組みをいくつか紹介します。

SDGsアクションプラン2023

SDGsアクションプランは、2019年9月に行われた国連SDGsサミットで、2030年までの期間をSDGs達成に向けた取り組みを拡大・加速するための「行動の10年」と定められました。

SDGsが達成された、しなやかで強靭な経済と環境の好循環のある時代のためには、社会全体の行動変容が不可欠です。

このような考えに基づき、「SDGsアクションプラン2023」には、2023年に実施する政府の具体的な取り組みの重点事項が盛り込まれています。SDGsの達成に向けて国内実施・国際協力を加速化し、国際社会に日本の取り組みを共有・展開していくとともに、広報・啓発にも引き続き取り組み、あらゆる関係者の行動を呼びかけていくとされています。

外務省はこの中で特に「国際協力」「日本の取り組みの共有・広報」の分野でなくてはならない存在であり、今後日本がどこまで国際社会のSDGs達成に大きな役割を果たすのかのカギを握っています。

SDGsアクションプランにはSDGsに取り組むうえでの重点事項が5つ明記されています。

1.人間:多様性のある包摂社会の実現とウィズ・コロナの下での取組

女性活躍や「男女共同参画の重点方針2022」に基づき、あらゆる分野での女性の活躍を推進することを示しています。

さらに、子どもの貧困対策や持続可能な開発のための教育を推進し、次世代を育てる人への投資を行います。

SDGsアクションプラン2023では次なる危機に備え感染症の検査体制の構築や保健所の機能強化、ユニバーサル・ヘルス・カバレッジの達成に向けた取り組みに力を入れることを宣言しています。

ユニバーサル・ヘルス・カバレッジ
すべての人が、適切な予防、治療、リハビリ等の保健医療サービスを、支払い可能な費用で受けられる状態。

2.繁栄:成長と分配の好循環

日本では、「デジタル田園都市国家構想」の実現を通じ持続可能な経済社会の実現に取り組んでいきます。デジタル田園都市国家構想とは、デジタル技術を急速に発展させ、地方の社会課題や地方の活性化を加速していくことです。

さらに、「SDGs未来都市」に加え新たな地方団体と連携して行う、脱炭素化やデジタル化にも力を入れていくことを宣言しています。

また科学技術イノベーションを加速させ、農林水産業などの生産性向上と、それを通じた経済成長の実現を推進しています。

3.地球:地球の未来への貢献

持続可能な目標を通じ、2050年を待つことなく前倒しでカーボンニュートラル達成を実現すると決定しました。そのため、脱炭素先行地域を2030年度までに、100か所創出することを宣言しています。

さらに、食品ロス量を2030年までに489万トンまでに減少することを目標にしています。現時点で2022年度の食品ロス量は、年間522万トンです。

4.平和:普遍的価値の遵守

子どもに対する暴力を無くすため、地方公共団体におけるいじめ問題の対応を支援することを決定しています。さらに、国際交流の円滑化に向けて日本法令の外国語翻訳や、国際取引、司法アクセスの確保を図っていきます。

5.パートナーシップ:絆の力を呼び起こす

SDGsサミットや持続化可能な開発のために国連ハイレベル政治フォーラムへの議論に積極的に参加します。さらに、2023年のSDGs実施方針をSDGs推進円卓会議を中心に、海外にも発信していきます。

▼関連記事
SDGsアクションプラン2022の概要-特徴・変更点や取り組みを紹介

《必見》SDGs未来都市一覧|未来都市に選ばれた都市の取り組みも紹介!

ジャパン・プラットフォーム

ジャパン・プラットフォーム(JPF)は2000年に発足した緊急人道支援の仕組みです。

NGO、経済界、政府が対等なパートナーシップのもとに協働して運営されています。

多様な人々の強みや資源を生かして連携できるプラットフォーム(土台)として機能し、国内外の自然災害による被災者、 紛争による難民・国内避難民に、迅速で効果的な日本からの支援を届けています。

災害が発生した場合などは、政府からの支援金や企業・個人の方々からの寄付により、初動活動資金がNGOへと迅速に提供できるため、NGOは直ちに現地に出動、援助活動を開始できる仕組みを構築しています。活動中のプログラムはこちらです。

1.トルコ南東部地震被害者支援2023

ジャパン・プラットフォームは、トルコ南東部で発生した大規模地震の被災者への緊急支援のため、2021年4月8日に出動を決定しました。

今回の地震は、トルコ・シリアで被害が大きく両国で合わせて5万人を超える人が被害に遭いました。

当初「トルコ南東部地震被害者支援2023」は、支援期間は6ヵ月、活動資金は3000万円を予定していました。しかし、外務省によって公表された「トルコ及びシリアにおける地震被害に対する緊急無償資金協力等」によって支援期間が1年、活動資金は9億円にのぼりました。

現在も支援は続いており、日本の企業からもたくさんの支援が集まっています。

2.ウクライナ人道危機

2022年2月24日以降、ウクライナ各地で戦闘が激化し、現在も周囲の国の市民や他国に避難する人や多くの死傷者が報告され、深刻な人道危機が起こっています。

ジャパン・プラットフォームでは支援金を募り、総額約40億円の支援をウクライナとその周辺国に実施してきました。

しかし、現在も避難生活を強いられている人が多く、支援のニーズが高まってきています。

ジャパンSDGsアワード

ジャパンSDGsアワードとは、外務大臣が副本部長を務めるSDGs推進本部は、2017年から「ジャパンSDGsアワード」として、SDGs達成に貢献する優れた取組を行っている企業・団体などを表彰する取り組みを始めています。

これは、SDGs推進のために、国内の取り組みを「見える化」し、より多くの行動を促進する観点から行われます。

このアワードでは、普遍性・包括性・参画性・統合性・透明性と説明責任という項目で評価が行われます。企業のみならず、NGOやNPO、教育機関、地方自治体などが表彰されており、幅広い層の人々がSDGsを主導していることを物語っています。

ジャパンSDGsアワードの受賞団体を見ると、ひとつひとつの団体の創意工夫が日本のSDGs達成を促進する大きな原動力となっていることがわかります。

ここでは、第6回ジャパンSDGsアワードでSDGs推進本部長(内閣総理大臣)賞を受賞した取り組みを紹介します。

今回、SDGs推進本部長(内閣総理大臣)賞を受賞したのは児童労働撤廃と予防に取り組む国際協力NGO(ACE)です。

ACEは児童労働問題を含む、SDGs目標8「働きがいも経済成長も」のターゲット7「2025年までにすべての形態の児童労働を撤廃する」に取り組んでいます。

特に、インドのコットン生産地やガーナのカカオ生産地で危険な労働をしている子供たちを守り、日本でも児童労働の啓発運動を行っています。

▼関連記事
《完全網羅》ジャパンSDGsアワード|全受賞団体の概要から申込み方法まで徹底網羅

大阪ブルー・オーシャン・ビジョン

「大阪ブルー・オーシャン・ビジョン」は、2019年のG20サミットで共有された取り組みです。

2030年までに新たな汚染をゼロにすることを目標に現在、87の国と地域がビジョンの共有を行っています。

2021年から2030年の約10年間で大阪湾に流入するプラスチックごみの量を半減することを目標としています。さらに、海の水質基準を今後も維持していくことが決定されています。

目標達成のため、5つの柱が設定され取り組みを行っています。

  • プラスチック製品の使用抑制と環境への流出の削減
  • プラスチックの資源循環に向けた地域活性化のシステム推進
  • 海洋プラスチックごみ削減のための国際協力
  • 良好な水環境の構造
  • あらゆるステークホルダーとの連携

▼関連記事
《徹底解説》気候変動サミット2021まとめ|概要から各国の削減目標まで解説

まとめ

今回は、外務省がSDGsに対してどのような取り組みを行っているのか紹介しました。

何度も繰り返してしまいますが、SDGsの達成には各国の国際協力が欠かせません。外交を担う外務省の取り組みにアンテナをしっかりと張ってみると面白い取り組みに出会えるのではないかと思います。

みなさんがこの記事を読んで、外務省、そして政府の取り組みに関心を持ち、SDGsをより深く理解していただけるきっかけとなれば幸いです。

この記事をSNSでシェア!

  • ランキング

    新着記事

    アシックスの新しいランニングシューズNIMBUS MIRAI(ニンバスミライ)

    SDGsの基礎知識

    食品ロスとは?原因や日本と世界の現状、家庭でできる対策を紹介

    もっとみる

    おすすめ

    《知らなきゃ損》SDGsのおすすめ書籍12選|大人向け・学生向け・児童向けを年代別に紹介

    SDGsバッジをつける4つの意味-購入方法や意味がないと感じる理由も併せて紹介