CSR報告書とは|CSR報告書を作成するメリットや注意点まで網羅

#信頼できる#持続可能#経営#説明責任 2022.03.02

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最近、多くの企業がCSR報告書を公開しています。

今回は、CSR報告書を作るメリットとCSR報告書を作るにあたっての注意点をまとめています。

そもそもCSR報告書とは何かがわからない、今後CSR報告書を作る予定のある方はぜひご覧ください!

CSR報告書とは

CSRとは

「CSR」とはCorporate social responsibilityの略で、企業の社会的責任のことです。

企業が社会に存在し、活動することは環境、社会、経済に何かしらの影響を与えています。

企業は自社が与える影響に対して責任を持ち、地球環境や社会環境に配慮しながら経営・事業活動をする必要があります。さらに、自社の利益だけを追求するのではなく、社会、そして消費者や投資家などステークホルダーからの要求に対して適切に意思決定していかなくてはなりません。

これがCSRの基本となる考え方です。

CSRについて詳しくはこちら▼

CSR報告書の概要

CSR報告書とは、企業のCSRの考え方や具体的な活動について、ステークホルダーに情報開示するためのツールです。

企業は、自社が社会に与える影響を正しく測り、マイナスの影響は最小限に、そしてプラスの影響は増大させることがCSR活動で求められます。

CSR報告書では、企業のCSR活動の方針を明確に示し、自社にとって都合が良い情報だけではなく、時にはマイナスの情報も正しく開示しなければなりません。

CSR報告書は、企業の宣伝・広告ツールとは異なります。企業の良いことも悪いことも含め、ステークホルダーや社会が企業を評価するための情報が載った報告書です。また、役員・社員が、その企業の一員として行動し意思決定する際の道しるべとしての役割もあります。

ただし、CSR報告書は公開を義務付けられているものではありません。

 

CSR報告書を公開する2つの役割

企業のブランド力向上

前提として、CSR報告書を公開することで直接的にブランド力が向上するわけではありません。

しかし、「自分たちは何者で、社会のために何ができるのか」というCSRの根本概念を突き詰めることとブランディングすることは同じプロセスをたどります

また、役員・社員が、その企業の一員として行動し意思決定をする際の道しるべとしての役割もあります。「CSRでブランディングを!」ではなく、ブランディング戦略そのものがCSRであるべきです。

長期的な目で見るとCSR報告書を公開することでブランド力向上に貢献するのです。

ステークホルダーとのミスマッチを防ぐ

CSR報告書は、消費者や投資家などステークホルダーに情報開示するものです。

したがって、企業が多様なステークホルダーのニーズ、期待及び懸念を理解し、戦略に反映できている必要があります。ステークホルダーの視点を的確に反映して報告書を作成することによって、統合報告書の読み手の納得感や信頼を得ることにつながります。

これがうまく反映できなければ、企業側と利害関係者側のニーズのミスマッチが発生したり、効果の低いCSR活動をする可能性が高まります。

CSR報告書作成にあたっての3つの注意点

CSR報告書を作成するにあたっての注意点を3つまとめました。

①推奨される内容をきちんと把握する

CSR報告書は法律で定められたものではないので、明確なルールがありません。
しかし、次第に読み手からは「情報を比較できない」という声が上がり、企業からも「基準がないと作りにくい」と声が上がるようになりました。そこで、CSR報告書に盛り込む内容や推奨される基準を示したガイドラインが誕生しました。

世界中の企業が使っている基準として最も知られているのが、GRIガイドラインと呼ばれるものです。経済面、環境面、社会面に関する情報について、「何をどのようにやったか」を数値や文章で報告する方法が細かく載っています。世の中の動きに合わせ、数年ごとにバージョンアップしているのも特徴です。

こういったガイドラインを使うことで、企業のCSR報告書は初期に比べ格段と読みやすく、内容も充実し、理解しやすいものとなります。

CSR報告書のガイドラインはこちらから▼
GRI Standards Japanese Translations

②ターゲットは誰なのかを頭に置いて作成する

先ほど、CSR報告書はステークホルダーに向けて作成すると述べましたが、内容がステークホルダー全体に向けてとなると無難なものになってしまい、Webコンテンツを含む全てのCSR報告書を手に取ってくれるであろう人の情報ニーズを満たさずに終わってしまう場合があります。

ステークホルダーの中でも、株主・投資家、従業員、顧客、地域社会・自治体、取引先、NPO/NGO、とさまざまなジャンルの方がいるはずなので、どの人たちにどういう目的で読んでもらいたいのかを決めることが大切です。

③比較されることを前提に作成する

最近では多くの企業がCSR報告書を公開しているので、CSR報告書はステークホルダーにとって企業を比較する材料となります。また、同業他社が差別化を図るために参考にする可能性があります。

オリジナリティのあるものは目に留まりやすく、他の企業と差別化を図れます。
そのためには自社の存在意義と社会的責任を認識した上で長期的戦略目標を設定することが大切です。

CSR評価が向上した企業のCSR報告書|3選

2020年度と2021年度の東洋経済CSR企業ランキングで、順位が大幅に上がった企業3つのCSR報告書をまとめました。CSR報告書を作成する予定のある方はぜひご覧ください。

①サントリーホールディングス

サントリーホールディングスの2020年度は53位、2021年度は7位と順位を大幅に上げています。

サントリーホールディングスのCSR報告書はこちら

②中外製薬

中外製薬の2020年は75位、2021年は25位と大幅に順位を上げています。
中外製薬では、アニュアルレポート(統合報告書)のなかにCSR内容が含まれています。

中外製薬のアニュアルレポートはこちら

③資生堂

資生堂の2020年度は106位、2021年は41位と大幅に順位を上げています。
資生堂も中外製薬と同じく、統合レポートの中にCSRの内容が含まれています。

資生堂の統合レポートはこちら

まとめ

今回は、CSR報告書の役割、CSR報告書を作成するときの注意点、企業が実際に作成しているCSR報告書の例をまとめました。

CSRは、企業が社会に対して奉仕することではなく、企業の経営方針や事業内容を含め、企業の社会に対する向き合い方を示すものです。そしてCSRレポートはステークホルダーにとって企業を評価するための貴重なツールです。

CSR報告書の読み手の方は、報告書の内容とビジネスの現場との間にギャップがないかをチェックし、「買う/買わない」といった行動を通じて企業を評価していくことで、より良い社会を作っていくことにつながります。

CSR報告書を今後作成する方は、CSRを発信することでステークホルダーと良好な関係を築き、更に自社のことをよく理解してくれている「ファン」を増やしていきませんか。

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