SDGs目標7の企業の取り組み11選|業種別に紹介

2023.03.08

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【更新日:2023年3月8日 by 鈴木 智絵

私たちの暮らしにも大きな繋がりのあるSDGs目標7「エネルギーをみんなに、そしてクリーンに」。

SDGs目標7に貢献するために、日本企業はどのような取り組みを行っているのでしょうか。

今回は、SDGs目標7の概要から現状、そして業種別に取り組み事例を紹介していきます。

 

SDGs目標7とは

SDGs目標7の概要

私たちの生活に必要不可欠なエネルギー。そんなエネルギーをきれいに、そして世界中の人たちに平等にいきわたるようにするために、SDGs目標7「エネルギーをみんなに、そしてクリーンに」があります。

関連記事:https://sdgs-connect.com/archives/441

SDGs目標7の現状

世界では電気を使えない人が8億人

世界では約8億人もの人が電力を利用できていません。そのため、薪や石炭・動物の糞などを燃やし、それらをエネルギーに変換して生活している国や地域もあります。

それらを燃やして、エネルギーにすることは一見エコと思うかもいるかもしれませんが、薪や石炭、動物の糞などを燃やすことにより発生する煙は空気を汚し、身体へ悪影響を及ぼします。

再生可能エネルギーは意外と使われていない

最近、太陽光発電や風力発電、水力発電などの言葉をよく耳にすると思います。これらは、自然を利用したエネルギーのため、半永久的になくなることはありません。

しかし、世界で使われているエネルギーのうち、再生可能エネルギーは17.5%ほどしか使われていません。私たちは未だに有限な化石燃料に依存してしまっているのです。

日本のSDGs目標7の現状は化石燃料に頼った発電をしている

2020年に自然エネルギーが使われた割合は全体の20.8%です。また、全体の内訳は、太陽光発電が8.5%、水力が7.9%、バイオマス発電3.2%、風力発電0.86%、地熱0.25%と、一番数値の高い太陽光発電でも10%を切っていることがわかります。

日本では、未だに発電のうち7割以上が、化石燃料によって行われています。そのため、再生可能エネルギーを広めるための取り組みがされており、資源エネルギー庁や経済産業庁が、再生可能エネルギーの導入を検討している企業や自治体に事業支援を行っています。

それだけでなく、各企業もSDGs目標7を実現するために様々な取り組みを行っています。

【業界別に紹介】SDGs目標7の企業の取り組み事例

輸送|ANAホールディングス株式会社CO2排出量ゼロへの取り組み

ANAホールディングス株式会社では、SAF(Sustainable Aviation Fuel)という持続可能な航空機用の燃料を活用し、CO2排出量をゼロにするための取り組みが行われています。

CO2についての説明

(引用:https://www.ana.co.jp/ja/jp/topics/ana-future-promise/co2-reduction/2021-12-10-01/)

 

SAFの原材料は基本的に、地表上のものをリサイクルをして作られています。化石燃料は、地表上に炭素を掘り出す必要があり、その過程でCO₂濃度を上昇させてしまいます。一方で、SAFは大気中のCO₂濃度上昇を抑える効果があり、CO₂排出量が平均約80%程度抑制されるといわれています。

メリットが多いように感じるSAFですが、国産のSAFは安定的な供給が難しいとされています。そのため、ANAは、当面の安定的な供給確保に向けて、フィンランドに本社を置くSAFの製造会社「NESTE」と調達に関する覚書を締結しました。それだけではなく、ANAは、経済産業省、国土交通省、定期航空協会、石油連盟、NEDO(国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構)、空港内給油事業者とともに、国産SAFを安定供給できるように取り組みを行っています。

参考:ANA Future promise CO₂排出量削減 航空機の運航で発生するCO₂排出量実質ゼロを目指して~SAFの活用~

建設・不動産|トヨタホーム株式会社はCO2排出量低減に取り組む

トヨタホーム株式会社では、CO₂排出量低減対策に取り組んでいます。電着ボイラー廃熱回収生産変動に対応した電着塗装設備の寄せ止めや乾燥設備の温度最適化、LEDに積極的に切り替えるなど様々な対策を行いました。

そのような対策を行ったため、2020年度は2019年度に比べて、CO₂排出総量を8.9%減らすことに成功しました。
参考:環境への取り組み

流通・小売|株式会社ユニクロ温室効果ガス排出量削減への取り組み

国内ユニクロでは、エネルギー使用量と温室効果ガス排出量を削減するために、2014年度から店舗照明にLEDを導入しています。2020年8月時点では、国内ユニクロ全店舗813店のうち763店にLEDを導入しました。また、国内のユニクロ店舗では、2020年末に温室効果ガス排出量を約38.7%*削減を達成しました。

ユニクロのソーラーパネル

(引用:https://www.fastretailing.com/jp/sustainability/environment/climatechange.html)

また、株式会社ユニクロでは、再生可能エネルギーの導入を進めています。

UNIQLOでは、使用電力における再生可能エネルギーの割合を2030年度までに100%とする目標を掲げています。2020年には、山口本社および欧州9カ国のすべてのユニクロ店舗で、100%再生可能エネルギー導入を達成できています。

参考:ユニクロとSDGs

機械・金属|トヨタ自動車株式会社による「電動車フルラインナップ」

トヨタ自動車では、それぞれの地域にあった脱炭素対策のためにも、電気自動車だけでなく、BEV、HEV、PHEV、FCEVなどの電動車のフルナインナップを用意しています。

 

このことについて、豊田社長は「今、私たちは、多様化した世界で、何が正解か分からない時代を生きております。その中では、1つの選択肢だけですべての人を幸せにすることは難しいと思います。だからこそ、トヨタは、世界中のお客様に、できるだけ多くの選択肢を準備したいと思っております」と話しています。
参考:BEV戦略強化 スピーチ全文

ソフトウェア・通信|KDDI株式会社auでんき「ecoプラン」

auでんきとは、KDDIがau・UQ mobileユーザーに提供している電力サービスになります。私たちでも簡単に環境に貢献できる「ecoプラン」は2021年9月から始まりました。

このプランは、電気料金は今までと変わらずに、再生可能エネルギー比率が実質100%、CO₂の排出量が実質ゼロになる電気を使用できるシステムです。それだけでなく、電気料金の2%は環境保全活動に寄付されます。また、このプランは自宅にソーラーパネルなどがついていなくても、再生可能エネルギーを利用でき、簡単にSDGs目標7に貢献することができます。

また、すでに「auでんき」の一般家庭向けの「でんきMプラン」に加入していて「ecoプラン」に切り替えても、新たに「auでんき」に加入して「ecoプラン」を選んでも、電気料金はこれまでの料金と変わらないという一石二鳥なプランです。
参考:auでんき「ecoプラン」で環境保全に貢献!その仕組みやメリットを紹介

飲料|アサヒ食品グループ包装仕様の見直し

アサヒ食品グループでは、包装仕様の見直しを図り、環境負荷低減だけでなく輸送時の負担も減らし、の削減を目指しています。

例を挙げると、2018年、アマノフーズの人気商品「うちのおみそ汁」シリーズは、包装資材の内箱を廃止し、外箱のダンボールもより薄いものに変更しました。

また、2020年8月には、「1本満足バー」や「クリーム玄米ブラン」などの人気シリーズの外箱段ボールの仕様を変更しました。

参考:環境へのバトン

エネルギー|東京電力による電圧集中制御システムの開発

東京電力では、電圧集中制御システムを開発し、季節や気象などで発電出力が変化しやすい太陽光発電などへの対策をとっています。このシステムを利用することにより、さらに、再生可能エネルギーの利用拡大が可能となります。

具体的にどのようなシステムになっているかというと、配電線路上の各点に設置されたセンサー内蔵自動開閉器にて得られる計測情報から配電線全体の系統電圧をリアルタイムに把握できるようになりました。そのため、系統全体がそれぞれに適応した電圧分布となるように電圧調整器を直接的に制御出来るようになります。

この制御は、不安定になりやすい太陽光を上手く発動させられるようになり、私たちがより再生可能エネルギーを利用しやすい環境を整えてくれます。

中小企業のSDGs目標7の取り組み

株式会社茨城製作所の軽水力発電機

株式会社茨城製作所では、「Cappa+++」や「kingyo」(成人2名で運搬可能で、川や水路などの水流にそのまま入れるだけで発電が開始されるシステム)といった自然エネルギーを生かした軽水水流にそのまま入れるだけで発電が開始されるシステム)といった自然エネルギーを生かした軽水力発電機を開発・製造しています。これらの機械を使用することにより、再生可能エネルギーを簡単に発生させることができます。

これらを使用することにより、ネパールの電力不足・無電化地帯でガラス窓がない土壁の学校に電気による明かりを提供することに成功しました。また、慣習的に奨励されていない女児就学促進や女性グループの夜間学習のため、学校でランタンの充電を行う仕組みも提供するなど、電気が平等にいきわたるような活動をしています。

またこのような支援を続けた結果、クラウドファンディングでの支援募集をした際には、219名から総額800万円を超える支援金が集まりました。 この金額は、電気がいきわたらない地域の子供のために使われ、彼らの学習環境の改善にもつながりました。
参考:GOOD DESIGN|グッドデザイン・ものづくりデザイン賞

有限会社タケイ電器のソーラーシェアリング

有限会社タケイ電器では、再生可能エネルギーを使用するだけでなく、普及させることも理念に置き、永久持続可能な消費と再生のサイクルを作り出すことを目標に掲げています。

そのため、2012年7月1日に施行したFIT法(固定価格買い取り制度)が始まってすぐに再生可能エネルギーである産業用太陽光発電事業の取り組みを始めました。その結果、農地に太陽光発電設備を設置し、発電事業と営農を両立するソーラーシェアリングを可能にしました。

また省エネ設備を積極的に提案し、電力の使用効率を上げ、低酸素社会にも貢献しています。
参考:タケイ電器のSDGs(持続可能な開発目標)に取り組みについて

株式会社太陽住建おひさまおすそわけプロジェクト

株式会社太陽住建では、2015年から本業である太陽光発電設備の設置と障がい者の方々への就労支援に同時に取り組んでいます。

具体的には、自治体が設置する「福祉避難所」に災害時に強い太陽光発電設備を導入してもらうというものです。その際の、設備設置工事員は障がい者の方々が従事しています。

そのため再生エネルギーを広める、活用するだけでなく、障がい者の就労支援や災害に強いまちづくりなどの複数の課題の解決につながっています。

参考:太陽住建 SDGsレポート

さいごに

今回は、SDGs目標7「エネルギーをみんなに、そしてクリーンに」に積極的に取り組んでいる企業を紹介しました。世界では、未だに使用率が低い再生可能エネルギーですが、日本ではかなりの企業が様々な種類の取り組みを行っていることがわかりました。

SDGsの目標を達成するためにはこれら企業だけではなく、私たち個人も取り組みを行っていくことが大切です。今回紹介した企業を参考に、取り組みをはじめてみましょう。

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