「手触り感」を大切に|社会貢献と企業成長の両立を目指すスパイスファクトリー

2023.12.07

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【更新日:2023年12月7日 by 中安淳平

スパイスファクトリーは「360°デジタル‧インテグレーター」として、⾼度なシステム開発からUIUXデザイン、サービスのグロースを強⼒に推進するマーケティング⽀援を行っています。DXを加速させるアジャイルマインドで企業や行政機関のデジタル‧トランスフォーメーション(DX)を全面的に支援しています。

今回は取締役CSO(最高サステナビリティ責任者)である流郷綾乃さんにSDGsに関する取り組みや取り組みに対する想いについてお話を伺いました。

スパイスファクトリーの指標である「Priority5」

ーー自己紹介をお願いします。

取締役CSOの流郷綾乃です。中小企業の広報を経験した後、フリーランスの広報として独立し、スタートアップなどに対して広報・戦略コンサルティングを提供していました。2017年、生物資源ベンチャーである株式会社ムスカの広報戦略を支援をし、2018年に代表取締役に就任、数々のビジネスコンテストにて最優秀者やSDGs賞を受賞し、経産省J-Startup企業に採択されました。2020年に退職し、2021年にスパイスファクトリーに入社しました。

ーーどのような体制でSDGsを推進していますか?

最初は委員会を立ち上げ、サステナビリティに関してネガティブなインパクトを起こしそうな内容を各部署で洗い出しました。現在は会社としても大事にしている考えの一つに「社会性と経済性を両立」があり、それに共感してくれている方々が社内に多いので、それぞれが考え行動しています。

また「1ピクセルずつ、世界をより良いものにする。」というパーパスのもと、「Priority5」という「教育・医療介護・公共・気候変動・ダイバーシティ」に関連するプロジェクトに優先的に取り組んでいます。

例えば、日本では生体販売が法律的に可能ですが、欧州ではペットショップでの販売や生体販売は法律的に禁止されています。そういった案件が来た時には従業員から声も上がりお断りする文化が既に根付いてきています。

やりたくないことから生まれたサステナビリティ意識

ーー社内でのSDGsの意識について教えてください。

2016年に会社を立ち上げた際、当初は電話を取らない、下請けをしないなど「やりたくないこと」を決めて立ち上げた会社でした。こうした考え方が自分たちの技術が何の案件に役立っていて、どんな社会課題解決に貢献しているのかをきちんと知ることにつながっています。

また、エンジニアが多く、ものづくりの会社でもあるため、社員はプロフェッショナルな思考を持っています。その中で自分たちの仕事に対して、やりがいを重要視してキャリアを形成しているので、男女差がなかったり、グローバルな考え方を持っている方が多かったりと結果としてダイバーシティが浸透しています。また、CSR活動にも力を入れているので入社してくる段階でサステナビリティやダイバーシティに関する意識が高い人が多い印象です。

「働きがいのある会社」ランキング調査アンケート結果のうち、ダイバーシティに関する4つの項目*において、メンバーからの肯定的評価率が90%を超えており、このことからも社員のダイバーシティ意識の高さが分かるかと思います。

具体的には、前年実績にみると女性従業員とボードメンバーの女性比率がほぼイコールというところです。この数字は、管理職に女性でもなれるということを示しています。また従業員の平均年齢とボードメンバーの平均年齢はほぼ同じで、年功序列というよりは経験を基準に人選をしています。

*GPTWのアンケートの中で以下の4点において、従業員の90%以上の肯定的評価の結果となっています。
年齢・人種・性別・セクシュアリティに関係なく正当に扱われていると回答

ーーSDGsに関して具体的な取り組みを教えてください。

まずサステナビティを推進する国際的なプラットフォームである「グローバル・コンパクト・ネットワーク・ジャパン」に加入しています。この団体に所属することで、海外のサステナブルな取り組みなどの非常に新しい情報が入ってきます。ネガティブインパクトの精査をする段階で、指標となる団体に所属しておこうと思い、ここに入らせていただきました。

社会貢献活動としては主に3つ取り組んでいますが、総じて言えるのは「手触り感」を大切にしているということです。

りそな銀行様のSDGs私募債の仕組みを活用し、当社と親和性の高いと考える一般社団法人パラリンアートに寄付したり、ハチドリプロジェクトという当社が指定する「Priority5」に順ずるプロジェクトの売上高の1%を社会貢献団体に寄付するなどの活動を行っています。CSR活動としてNPOやNGOにお金を渡すことは大企業であれば簡単なことですが、そのお金がどのように使われているのかわからないですよね。社員に還元できるかもしれないお金を社会に還元させてもらうので、社会貢献に使う時には社員にも説明する責任があると思っております。何に使われているかわからないのは納得しにくいと思い、今後さらに手触り感を意識して活用を行っていきたいと考えております。

また、フィリピンでの奨学金事業プログラムにも取り組んでいます。2023年2月に当社初の現地法人としてフィリピンへ拠点を設立したことをきっかけに、情報通信系の学科へ就学を望んでいる現地の貧困家庭の子どもたちに向けて就学・生活の支援をする奨学金制度です。

現地の従業員が5名増えるごとに1名をSNS等で募集をかけ、現地のメンバーが面接し、支援しており、現在では3名を支援しています。合格後は4年間の長期的なお付き合いになるので、1ヵ月に1回来てもらい近況報告と本人にその場で修学費をお渡ししています。親御さんに奨学金を渡すとそのお金が就学ではなく家庭の生活費に使われかねないので本人に直接渡すようにしています。

大学卒業後に入社してくれたら嬉しいですが、それよりもちゃんと修学や生活ができるような状況になることを一番に考えています。弊社が成功事例となることで、この取り組みが広がり、より多くの地域の貧困な方へ支援が広がることを目指しています。

ーー従業員を支援する仕組みについて教えてください。

従業員の一人一人が社会人として自己学習し成長していけるような仕組みを柔軟に用意しています。具体的には書籍の購入補助制度や動画学習サービスが見放題であったり、資格取得のための受験料全額補助や高難易度の資格取得時の一時金支給をしています。

補助制度を利用して取得できる資格は数え切れないほどで、それぞれの職種に有益になるものであれば受けることができます。もし、受けたい資格が一覧の中に含まれていなくても、上司に承認を取ることができれば受けられるなど、学びのためであれば積極的に対応しています。今後もより良い制度については考えていきたいと思います。

社会貢献と企業成長は、両立可能である。

ーーこれからの戦略・展望について教えてください。

改めて先日全社員の前で「社会貢献と企業成長は、両立可能である。」という目標を掲げました。この実現不可能といわれがちな2つの両立を、弊社が実現することは、他の会社にも影響を与えることができると思うのでそこを目指しています。

国際経営開発研究所が公表するデジタル競争力ランキングというランキングでは、日本の順位は総合32位と低いですが、高等教育は6位です。つまり教育面では優秀ですがそれが企業に反映されておらず、特に企業の俊敏さのランキング項目では64か国中の64位となっており、企業としての判断や動きが遅いというのが分かります。そのため、クイックに物事を判断して事業を進めていったり、プロジェクトを進めていったりすることが、日本企業にとって重要だと感じています。しかし、そこに対して「仕方がない」と割り切ってしまっている企業も多い状況で、このままでは日本社会が変わっていくことはなく、むしろ衰退してしまいます。

ここ30年で衰退している部分が、今からの30年で同じように戻せるかというと、ITの発達やスピード感が圧倒的に違うので同じ速度で取り戻すことはできないかもしれません。しかし、こういった風潮を次の世代に残すのも罪だと思うので、やれることはなんでもスピード感を持って挑戦と軌道修正を繰り返し、どんどん前に進んでいくアジャイルな姿勢を次世代に見せて行きたいです。

さいごに

フィリピンの子供たちに奨学金を直接手渡しをしていたり、自分たちの技術が何に使われているのか、どんな社会課題に役立っているか把握したりと徹底的に自分たちのしていることが何に生きるかを考え、フットワーク軽く何事にもチャレンジする姿勢に驚いてばかりの取材でした。

今後もスピード感を持って成長を続けていくスパイスファクトリーから目が離せません。

スパイスファクトリー社のSDGsについて詳しくはこちらから

 

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