SDGsの5つのPとは?考え方と5つのP実現に向けた取り組みを解説

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【更新日:2022年5月11日 by 大川 智也

SDGsには多岐にわたる17の目標や169のターゲットがありますが、「5つのP」を知ることでSDGsが目指す世界がとてもわかりやすくイメージすることができます。

なぜなら、SDGs17の目標は「5つのP」を具体化したものであり、各目標を分類したのが「5つのP」であるためです。

そこで今回は、SDGsの基本概念である「5つのP」を解説し、あわせて「5つのP」実現に向けた取り組みを紹介します。

▼SDGsについて詳しくはこちら

SDGsが目指す世界を説明する『5つのP』とは?

2030年が刻一刻と近づくなかSDGsが大きく関心を集めていますが、目標や課題だけを意識してはいけません。SDGsの目標は世界規模で人類が今まで積み重ねてきてできた課題を扱っているため解決が容易ではありません。そのためどれほど目標達成まで進展しているのかをはかるためにSDGsの基本概念である『5つのP』に注目されています。

【SDGsの5つのP】

  • People:人間
  • Prosperity:繁栄
  • Planet:地球
  • Peace:平和
  • Partnership:パートナーシップ

 

5つのPのイメージ図SDGs全17目標は別々に孤立しているわけではありません。この5つのPに分類できます。

この5つのPはSDGsの基本概念であるとされ、目標に向けてバランスのよい進展が必要とされています。

関連記事:《徹底解説》SDGsの目的とは|日本企業がSDGsに取り組む目的も解説

「5つのP」は基本概念『No one will be left behind』が根底にある

“No one will be left behind(誰ひとり取り残さない)”というスローガンのもと、5つのPでは経済・社会・環境のバランスの取れた持続可能な開発を目標としています。
人間や地球の豊かさ、また平和という目標はそれぞれが互いに作用し維持されるものです。そのためSDGs17の目標とする5つのPは“誰ひとり取り残さない”という言葉の通り、パートナーシップを通したバランスの良い進展を目指しています。
環境問題、社会格差や暴力といった様々な課題に向き合うために5つのPではどのような言葉が掲げられているのでしょうか。
次章からは「5つのP」の所以である5つの言葉について、一つずつ順に解説していきます。

(参考:SDGsの考え方 - SDGs 持続可能な開発目標 | 日本ユニセフ協会
関連記事:《コラム》国連とSDGs|採択の経緯から国連の役割まで

1. People 【人間】

1つ目の『P』はPeople【人間】のPです。人間の立場からSDGsを考え、全ての人権を尊重し、飢餓の防止、教育や福祉などを平等に受けられる環境づくりが大切というフレームです。

例えば約30年前まで1日1.9ドル以下で生活する人が世界の36%を記録した極貧時代が続いていました。2019年にはその割合が8%以下にまで減少しており、世界の貧しさは軽減したかに思われます。しかし一部貧困地域の貧しさが悪化している報告や、収益は増えたものの教育環境や綺麗な水が飲めないなどのさらなる課題がのしかかっています。

このように全ての人が平等に生きるためには根本的な課題である紛争や経済の脆弱性から生まれる課題を解決する必要があります。その具体的な解決策として

▼People【人間】に関係するSDGs目標

2. Prosperity【繁栄】

2つ目の『P』はProsperity【繁栄】のPです。

経済活動の観点から私たちが安心して暮らせるようにしようとするフレームです。

近年では洋上風力発電などの再生可能エネルギーの推進を用いた自然と経済の調和が求められたり、MeTooや#TimesUpのように市民が社会での男女平等を訴えるようになっています。

このように国や地域の経済格差、職場での平等性や満足のいく収入とやりがいを感じれるような社会繁栄をすることがSDGsで求められています。

▼ Prosperity【繁栄】に関係するSDGs目標

3. Planet【地球】

3つ目の『P』はPlanet【地球】のPです。地球温暖化や気候変動などの環境問題は経済だけでなく日常生活にも大きな脅威をもたらします。このような危機に対して地球規模で物事を認識し、地球の環境保護を進めていこうとするフレームです。

例えば2030年までにアメリカが50%、EUが55%の二酸化炭素排出量削減を目標に掲げる中、日本は46%の削減目標を2021年4月に設定しました。この目標を達成するためには官民一体となり、二酸化炭素排出を抑えた経済活動が必要です。

加えてこれまでの人間活動で破壊した自然保護することも持続可能な地球環境の構築も求められます。

▼Planet【地球】に関係するSDGs目標

4. Peace【平和】

4つ目の『P』はPeace【平和】のPです。

平和の観点から争いのない世界をつくろうとするフレームワークです。『持続可能な開発なくして平和はなく、平和なくして持続可能な開発はない』と指摘しています。平和に関心を持ち、身近な行動に移す事が必要です。

▼Peace【平和】に関係するSDGs目標

5. Partnership【パートナーシップ】

5つ目の『P』Partnership【パートナーシップ】のPです。

SDGsは世界各国、地域の全ての人たちの明るい未来のための目標です。目標達成にはグローバル規模の連帯が必要です。しかし5つのPの中でも進展の早いフレームや課題に悩まされているフレームまであり、アンバランスな状況に陥っています。

▼Partnership【パートナーシップ】に関係するSDGs目標

SDGsと「5つのP」との関わり

SDGs17のゴールは「5つのP」をより具体化したもの

人間社会と自然環境、双方の課題から挙げられた「5つのP」ですが、各項目を軸として置くとSDGs17のゴールは5つのテーマに分類できます。

最初のPであるPeople【人間】では人々の尊厳、健康、平等性を目指すといった意味からSDGsの目標1から6が該当しました。
SDGs17のゴールは、5つのPの具体的な内容を示すものとして位置付けることができます。

SDGs達成のための8つの優先課題は「5つのP」に基づいている

SDGsの推進に伴い、日本では“優先課題”として尽力する8つの課題を設けました。

これらの課題は5つのPに基づいて制定されたものであり、また8つの課題はそれぞれ日本の社会課題を反映したものとなっています。

People【人間】 1. あらゆる人々が活躍する社会・ジェンダー平等の実現
2. 健康・長寿の達成
Prosperity【繁栄】 3. 成長市場の創出、地域活性化、科学技術イノベーション
4. 持続可能で強靱な国土と質の高いインフラの整備
Planet【地球】 5. 省・再生可能エネルギー、防災・気候変動対策、循環型社会
6. 生物多様性、森林、海洋等の環境の保全
Peace【平和】 7. 平和と安全・安心社会の実現
Partnership【パートナーシップ】 8. SDGs実施推進の体制と手段

 

5つのP実現に向けた5つの取り組み

People:残さず食べる

朝ご飯をしっかりと食べること、夜ご飯を残さないこと。

日常に馴染む些細な行動1つでも5つのPに貢献することができます。しっかりと栄養をとることで健康な生活を、そして食べ残しをなくすことでフードロスの削減を、それぞれSDGsの目標3と目標2に該当する行動に繋がります。

関連記事:SDGs目標2達成するための取り組み|世界と日本の取り組みや個人でできる取り組みも紹介

Prosperity:節水・節電

使わない電気をこまめに消し、蛇口の流しっ放しを控えましょう。不必要な消費を抑えることでSDGsの目標7に取り組むことができます。

エネルギーというものは無限ではありません。豊かな生活と住みやすいまちを目指すためにも、エネルギー消費に向き合い、行動を重ねてみましょう。

関連記事:サステナブルとSDGs|サステナブルな暮らしの送り方を徹底解説

Planet:最後まで使う

我々が排出するごみが地球環境を脅かす存在とならないよう、ものを最後まで使い切ることを心がけましょう。

無駄な廃棄は環境を汚染する要因になりうるだけでなく、処分1つをとってもコストがかかります。そのためSDGsの目標12、“つくる責任とつかう責任”を意識した行動が求められています。

関連記事:SDGs目標12「つくる責任 つかう責任」|個人でできるリサイクル事例を紹介

Peace:ニュースを見る

“平和“という言葉は規模が大きいように感じるかもしれません。

自分にできることは何か、その具体的な行動を想像することが難しく、紛争の起こっている地域が遠い世界のように思っていませんか?
先ずは知りましょう。ネットやニュースを通して世界の動きを把握しておくことがSDGsの目標16達成への第一歩です。

関連記事:《完全版》 日本のSDGsの現状|政府の取り組みから企業事例まで

Partnership:SDGsを知る・広める

ひとつの企業、ひとつの国でSDGsを達成することはできません。大小さまざまな規模での取り組みと協力がSDGs達成の条件となっています。
1人の関心が行動に、そして一人の行動が社会へと、世界を繋ぐ数多のパートナーシップの活性化がSDGsの目標17に繋がります。

関連記事:《徹底解説》SGDsの世界の取り組み|17の目標別に世界の事例を網羅

 

その他SDGsの取り組み関する詳細はこちら▼

関連記事:SDGsの取り組み事例51選|企業と個人の事例を17のゴール別に徹底網羅
関連記事:《意外と知らない》日常生活でできるSDGs|具体的な取り組み〜日常生活編〜

 

国連広報センターが作成した「虎の巻」を読んでSDGsについて考えよう

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32枚のパワーポイントスライドではSDGsの各目標、「5つのP」などSDGsに関する幅広い情報がまとまっています。加えて、ノートには解説が記載されているためSDGsを広める・紹介する際に有用です。

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まとめ

本記事では5つのPについて解説しました。
SDGsの目標が17あると些か数が多く感じるかもしれませんが、今回紹介した5つのPに当てはめると整理がつきやすいかと思います。

また5つのPはSDGsの基本概念として捉えることができるため、5つのPを深く知ることはSDGsの理解をより深めることにもなります。SDGsに関する新しい視点での解釈をもって、明日誰かに説明してみると新しい解釈に出会えるかもしれませんね。

そうしてSDGsを広げる第一歩を踏み出したとき、目標17の輪郭を掴むことができるでしょう。

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