働きがいを持ちながら仕事ができている人は、世界にどれ程いるかご存知でしょうか。
SDGsでは、自然環境問題だけでなく、労働環境にも目標を掲げています。中でも日本は、先進7カ国で50年連続最下位と、働き方に関する社会問題は山積みです。
そこで今回は、SDGsの目標8での課題を解説し、その課題に対する解決策を紹介します。
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SDGs目標8「働きがいも経済成長も」について
SDGs目標8「働きがいも経済成長も」とは
SDGs8番の目標は、「みんなの生活を良くする安定した経済成長を進め、だれもが人間らしく生産的な仕事ができる社会を作ろう」というテーマのもとに作られた目標です。
SDGsの目標8では、主に「働きがい」と「経済成長」の両立が重要視されています。
さらに詳しく知りたい方は、こちらの記事をご覧ください。
世界の労働環境の課題
では、現在の労働環境はどのような状態にあるのでしょうか。大きな課題を3点ご紹介します。
途上国の労働環境の悪さ
まず、注目すべき課題の1つ目は「途上国の労働環境の悪さ」です。
国際労働機関(ILO)の調べによると、失業者の数は世界で2億人を超え、仕事があっても1日2ドル以下の低賃金で働いている人が世界人口の約半分に及ぶことがわかっています。
また、世界の子どもの10人に1人は、満足に教育を受けることもできずに仕事に従事していると言われており、子どもたちが低賃金・劣悪な労働環境で働いていることを問題視する声が上がっています。
世界で大きく開いている所得格差
注目すべき課題の2つ目は「世界で大きく開いている所得格差」です。
国連の報告書によれば、世界で約3分の2の国で国内の所得格差が顕著になりつつあるとしています。
国内の所得格差が特に大きいのは中国やインドといった新興国で、場所別にみると都市部と農村部での差が大きいと言われています。この格差の理由は、識字率によるものと考えられています。
経済成長の低迷
注目すべき課題の3つ目は「経済成長の低迷」です。
近年の開発途上国の経済成長率に注目してみると、特に発展の遅れが顕著な後発開発途上国と呼ばれる47カ国では2017年の経済成長率は5%にとどまっている状況です。また、SDGsが掲げる年率7%に到達した国はわずか5カ国しかありません。
この背景には、一次産品への依存があると言われています。現在、ほとんどの後発開発途上国が一次産品の輸出による収入に頼っている状況です。
一次産品とは自然から採取されたままの状態で商品を出荷する物のことを指します。米や小麦などといった農産物や、錫や原油などといった資源などがこれに当てはまっています。一次産品は相場の影響を受けやすいため、商品の国際価格が下落すると国家の収入も大きく減ってしまいます。
よって、一次産品以外にも他の産業の育成を進めないと、2030年までに後発開発途上国である47か国すべての経済成長率を7%増加することは難しいと言われています。
失業率の増加
注目すべき課題の4つ目は「失業率の増加」です。
国際労働機関の「世界の失業率国別ランキング」によると、失業率が高い国は以下のようになっています。
1位 | 南アフリカ | 28.74 |
2位 | パレスチナ | 27.35 |
3位 | レソト | 24.65 |
4位 | スワジランド | 23.40 |
5位 | ガボン | 20.47 |
上位5位にランクインしている国の内、4カ国がアフリカにある国です。
この地域の失業率の原因は、不十分な教育制度、若者の比率の大きさ、技能や専門的訓練の不足やコロナウイルスの影響による経済のストップなどがあげられます。
労働環境改善のための解決策
では、これらの問題の解決のためにはどのようなことが必要でしょうか。
政府と個人の取り組みに分けてご紹介します。
政府が提唱していくべきこと
働き方や制度でワーク・ライフ・バランスを実現する
「ワーク・ライフ・バランス」という言葉を聞いたことがある方も多いのではないでしょうか。ワークライフバランスとは、仕事と生活のバランスのことを指します。最近では、子どもが中学校1年生になるまで時短勤務が可能であったり、性別に関わらず育児休暇や介護休暇が取得できるといった制度を取り入れる企業が増えています。
大企業だけでなく、中小企業にも働き方に関する制度を政府は提唱しています。
また、新型コロナウイルスの影響で政府から働き方改革が提唱されるようになりました。これまでテレワークや時差出勤を中々取り入れられない企業が多く存在していたものの、コロナウイルスをきっかけに働き方改革に取り組む企業が多くなりました。
テレワークのような新しい働き方を組み合わせることで、これまで家の事情で勤務が難しくなり退職するしかなかった人たちも、仕事を続けられるようになりました。
コロナウイルス収束後も柔軟な働き方ができるよう、政府としても積極的に働き方改革を呼びかけていく事や推奨することが求められています。
人種や民族、国籍、性別などの違いを認め合い、能力・知識・経験を生かしながら仕事をすることは「ダイバーシティ経営」と呼ばれ、自分らしい働き方によって新しいアイデアが生まれるとされています。新規事業や社会のさまざまなニーズへの対応に繋がるなど、ダイバーシティ経営は企業にとっても多くのメリットを生み出しています。
個人的な取り組み
① 地産地消で地元の経済を回す
経済を活性化していくためには、まず地方にも仕事をつくり出していくことが必要です。そこでキーワードとなるのが「地産地消」です。この言葉は、本来「地元で育てた野菜を地元の人が消費する」ことを指しますが、ここでは農作物に限らず、食品や商品も含みます。地方創生が叫ばれている今、手軽なことから地域の応援を始めてみるのはいかがでしょうか。
② 残業を少なくし、休暇をきちんと取る
有給休暇などの制度は、たとえ企業に存在していても有効に活用できていなければ意味がありません。有給制度を使いやすい環境を整えていくことが大切です。日本では使用者に対して、1日8時間、週40時間を超える労働を原則としてさせないよう、法定労働時間が定められています。さらに、月80時間以上の時間外労働は病気や死亡・自殺のリスクが高まります。このように、自分の労働環境を振り返り、もしも法的に問題があるようならば身近な人やカウンセラーに相談することが大切です。1日に4時間以上の残業を避け、十分な休暇を取ることが推奨されています。
③働きがいとは何かを考える
人によって働きがいは異なるため、自分はどのような環境でなら最大のパフォーマンスを発揮できるのかを考えることが大切です。例えば、勤務地を重視して通勤時間を短くしてみたり、自分がどんなことにやりがいを感じるのかを考えてみたりすることで、新しい働き方や仕事を探すきっかけになるかもしれません。自分に合わない環境で我慢するのではなく、常に自分の新しい道を模索することが大切です。
SDGs目標8達成のための日本・世界企業の取り組み3選
では、日本の企業ではどのような取り組みが行われているのでしょうか。取り組みをいくつか紹介します。
メルカリ
“メルカリではフレックスタイム制(コアタイムなし)を導入しています。さらに、メルカリには「YOUR CHOICE」というワークスタイルに関する制度があり、オフィスに出社をすることも、フルリモートワークを選択することも自由に選択することができます。”
また、メルカリの最もユニークな福利厚生といえば、「Sick Leave(シックリーブ)」です。
病気・ケガを事由とした休暇を年10日間、有給休暇とは別に付与します。メンバー本人だけでなく、日頃からメンバーを支えている大切な家族(配偶者やパートナー、子供、両親、祖父母、兄弟姉妹、ペット)が病気や怪我になった場合でも適応できます。
引用:メルカリ公式サイト
タニタ
株式会社タニタでは、従業員のフリーランス化(個人事業主化)が行われています。従業員のフリーランス化というのは正社員から派遣社員に変更してしまう事を指すのではなく、従業員としての雇用契約をやめて、業務委託契約へと切り替えることを意味します。
この制度により、従業員は会社の雇用関係にとらわれず、自由な働き方を実現することが可能になりました。つまり、“フリーランスと正規の従業員のいいとこ取り”な働き方が実現していると言えます。
参考:タニタ公式サイト
ベネッセ
ベネッセでは、障がい者の方への就労支援をしています。
障害者雇用促進法により、民間企業における障がい者雇用が増えている一方で、障がいの度合いや加齢などによって、実際は働けない障がい者がたくさんいます。
そんな中、”「企業等での就労は難しいが雇用契約に基づいて継続的に就労することが可能」な方々に対して、生産活動等の機会の提供、および就労に必要な知識や能力の向上のためのトレーニング、そのほかの必要な支援をする事業所を設立しました。”
引用:ベネッセ公式サイト
終わりに
今回は、SDGs目標8「働きがいも経済成長も」の課題とその解決策について紹介しました。日本では人口が減少傾向にあり、今後は人材が不足する業界も発生してくるでしょう。そんな中、1人1人の作業効率やモチベーションを高く持って働ける環境を整えることが最優先になってくると言われています。
労働問題はさらなる改善が必要です。それぞれが働きやすい社会のために、この記事が今一度自分の働きがいとは何かを再考するきっかけになれば嬉しいです。
SDGsとは
SDGsは「<strong>Sustainable Development Goals」の略称</strong>です。日本語では「持続可能な開発目標」と表されます。
2015年9月の国連サミットで採択されたSDGsは、<strong>2016年から2030年までの15年で達成すべき17のゴールと169のターゲットで構成</strong>されています。
SDGsでは経済や環境、社会の課題が幅広く取り上げられ、持続可能な社会を築き上げるために、国連が主導してさまざまな取り組みが広がっています。
SDGs CONNECTでは、SDGsの各目標ごとに解説記事を公開しています。
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大学では西洋史を勉強しています。趣味はトマトの食べ比べ。高校時代から触れてきたSDGsについて、自分自身でも学びながら発信していきます!