SDGs11「住み続けられるまちづくりを」の現状を徹底解説

#SDGs目標11#対策#活動 2022.05.27

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SDGs目標11「住み続けられるまちづくりを」での住まいに関するさまざまな現状を知ることは、SDGsを達成するためには欠かせません。

世界では、都市住民の4人に1人がスラムで生活していたり、10人に9人が汚染された空気の中で生活していたりと現状を知って初めてSDGs目標11への理解が深まります。

そこで今回は、SDGs目標11「住み続けられるまちづくりを」の現状を世界と日本とで紹介し、それらを達成するための解決策と取り組み事例も合わせて紹介します。

▼SDGsについて詳しくはこちら

SDGs11「住み続けられるまちづくりを」の概要

現在、世界人口の半数に当たる人々が都市へ集中しています。

都市での生活は整ったインフラや公共サービスに恵まれてる一方、貧困層は安全・環境の側面から生活が圧迫されることとなります。
そんな中、「住み続けられるまち」とは具体的にどのようなまちなのでしょうか。

Make cities and human settlements inclusive, safe, resilient and sustainable
(包摂的で安全かつ強靱(レジリエント)で持続可能な都市及び人間居住を実現する)

多くの人が集まる都市では同じく多くの問題が存在します。
その中でも災害対策は都市に住む全ての人々の安全にかかわる重要な課題です。
従ってSDGsの目標11では災害への対策と災害時の復興能力に注目し、誰もが安心して暮らせるまちを目指しています。

SDGs11を構成するターゲット

SDGsでは目標11の達成に向け、10個のターゲットが設定されています。
またこれらターゲットは、1~7の達成目標とa~cの実現方法で構成されています。

11-1 2030年までに、すべての⼈々の、適切、安全かつ安価な住宅及び基本的サービスへのアクセスを確保し、スラムを改善する。
11-2 2030年までに、脆弱な⽴場にある⼈々、⼥性、⼦ども、障害者及び⾼齢者のニーズに特に配慮し、公共交通機関の拡⼤などを通じた交通の安全性改善により、すべての⼈々に、安全かつ安価で容易に利⽤できる、持続可能な輸送システムへのアクセスを提供する。
11-3 2030年までに、包摂的かつ持続可能な都市化を促進し、すべての国々の参加型、包摂的かつ持続可能な⼈間居住計画・管理の能⼒を強化する。
11-4 世界の⽂化遺産及び⾃然遺産の保護・保全の努⼒を強化する。
11-5 2030年までに、貧困層及び脆弱な⽴場にある⼈々の保護に焦点をあてながら、⽔関連災害などの災害による死者や被災者数を⼤幅に削減し、世界の国内総⽣産⽐で直接的経済損失を⼤幅に減らす。
11-6 2030年までに、⼤気の質及び⼀般並びにその他の廃棄物の管理に特別な注意を払うことによるものを含め、都市の⼀⼈当たりの環境上の悪影響を軽減する。
11-7 2030年までに、⼥性、⼦ども、⾼齢者及び障害者を含め、⼈々に安全で包摂的かつ利⽤が容易な緑地や公共スペースへの普遍的アクセスを提供する。
11-a 各国・地域規模の開発計画の強化を通じて、経済、社会、環境⾯における都市部、都市周辺部及び農村部間の良好なつながりを⽀援する。
11-b 2020年までに、包含、資源効率、気候変動の緩和と適応、災害に対するレジリエンスを目指す総合的政策および計画を導入・実施した都市および人間居住地の件数を大幅に増加させ、仙台防災枠組2015-2030に沿って、あらゆるレベルでの総合的な災害リスク管理の策定と実施を行う。
11-c 財政的及び技術的な⽀援などを通じて、後発開発途上国における現地の資材を⽤いた、持続可能かつ強靱(レジリエント)な建造物の整備を⽀援する。

 

SDGs11「住み続けられるまちづくりを」の現状を知るための達成度スコア

2021年6月に公開された国際レポート「SUSTAINABLE DEVELOPMENT REPORT(持続可能な開発報告書)」では、世界のSDGs達成度合いが確認できます。
2021年、日本の順位は165カ国中18位でした。(2020年度は17位)

▼Sustainable Development Report 2021に関するリンクはこちらから
日本のSDGs達成度スコア

(参照:Sustainable Development Report 2021)

 

日本におけるSDGs各目標の達成度とその進展をまとめた図では、アイコンの色と矢印が各課題の達成状況と取り組み傾向を表しています。
目標11のアイコンは黄色、矢印は緑でした。
これは、未だ課題は残っているものの達成に向けた進展が良好であることを示しています。

日本におけるSDGs各目標の達成度とその進展をまとめた図

(参照:Sustainable Development Report 2021)

 

日本の目標11「住み続けられるまちづくりを」に対する達成度評価(Performance by Indicator)は以下の通りです。

日本の目標11に対する達成度評価

(参照:Sustainable Development Report 2021)

(参考:【2021年最新】SDGs国別ランキングや日本の達成状況は? | U25世代もSDGsを1から学べるメディア【なるほどSDGs】
関連記事:《徹底解説》日本と世界のSDGsの達成状況|世界から見た日本の達成度とSDGs先進国の取り組み

SDGs11「住み続けられるまちづくりを」の世界の現状

インフラ圧迫による被害

都市部のさらなる人口増加が懸念される昨今、その急速な変化に適応すべくインフラへの負担が大きくなっています。
そのため排気ガスや排水による環境汚染に対し、インフラが未整備の場所ではこれら廃棄物による健康被害などが数多く挙げられています。


関連記事:《徹底網羅》SDGs目標9の課題とは|産業基盤と技術革新の国内外の課題まで解説

スラム化

人口増加に伴う住宅不足や建物の老朽化、また経済格差が原因となり都市部のスラム化が加速しています。
またスラム街では環境と治安、二つの側面から改善すべき課題が多く存在しているため、安全で暮らしやすいまちづくりを達成する上でこのスラム化の問題は解決すべき課題の1つです。

自然災害によって故郷を追われる気候難民の増加

大雨や台風、また地震や噴火など。あらゆる自然災害は我々の生活を脅かします。
特に人口の集中する地域での災害は、数多くの気候難民を生む可能性を持っています。
このような予測の難しい被害に立ち向かうべく、都市など人が多く集まる地域では特に災害に強いまちづくりが進められています。

都市人口は2050年までにおよそ72%増加

都市人口は今後さらなる増加が予想されています。

”国連の予測によると、2015年には人口1,000万人以上のメガシティーと呼ばれる都市が世界に22カ所となり、そのうちの17カ所は発展途上国の都市です。世界の都市人口は2050年までにおよそ72%増加します(注1)。

急速な都市化の進行 | PwC Japanグループ:より引用”

都市人口の増加は前項にて紹介した課題を増幅させることになるため、「住み続けられるまちづくり」達成に向けた取り組みが急がれます。

SDGs11「住み続けられるまちづくりを」の日本の現状

都市の人口増加

都市の人口増加、それは日本も例外ではありません。
人が多く集まる場所ほど、利用されるエネルギーと排出されるゴミの量が多くなることは必然です。
従って人が集中した場所では交通渋滞や騒音問題の他に、環境汚染などの問題が挙げられます。
住み続けられるまちづくりを目指すうえで、これら人口集中に伴う課題に目を向けなくてはなりません。

地方の衰退

都市部へ人が流れてしまうことがキッカケとなり、地方の衰退が加速しています。
労働力が都市部へ流失してしまうことで、地方は人口減少だけでなく高齢化という課題も背負うことになります。
このような現状に加え、少子高齢化の影響が限界集落(65歳以上の人口が50%以上を占める集落)の出現や買い物難民、空き家の増加を助長しています。
特に交通整備やインフラの維持といった生活に重要な作業の停滞が、深刻かつ大きな問題となっています。


関連記事:《徹底解説》SDGsと地方創生の関わり|地方自治体の地方創生の取り組みまで徹底網羅

買い物難民の増加|全国で約700万人

ショッピングセンターの撤退やバスの減少などにより、日常の買い物が難しい人がいます。
このような人は”買い物難民”と呼ばれ、その割合は地域の過疎化にともない増加傾向にあります。
また買い物難民の出現は、過疎化が進む地域だけでなく都市部にも広がっています。

空き家の増加|2013年時点で318万戸

少子高齢化による地方の人口減少、また過疎化がもたらす問題として「空き家」があります。
2013年時点で318万戸であった空き家ですが、その数は今後増加すると予測され空き家を有効的に活用する取り組みが積極的に行われています。


(参考:SDGs11「住み続けられるまちづくりを」の現状(世界と日本) | ソーシャルグッドCatalyst
(参考:急速な都市化の進行 | PwC Japanグループ

SDGs11「住み続けられるまちづくりを」を達成するための解決策と取り組み事例3選

目標11の解決策

公共交通機関の充実

交通が整っていないことがもたらす影響は買い物難民の増加だけではありません。
舗装されていない道路が農作物の運送を遅らせ食品ロスを生むこともあります。他にも高価な交通料金が人々の移動を滞らせ、快適な生活を妨げることも考えられます。
これらの交通に関わる様々な問題を解決することは、地域の活性化やスラムの改善に繋がります。


(参考:SDGs11「住み続けられるまちづくりを」の現状と取り組み、私たちにできること – SDGsメディア【スペースシップ・アース】〜WE♥EARTH〜

災害対策

地震や台風、洪水など災害による被害は、事前の対策によって大きく変わります。
特に人口増加が問題となっている都市部では災害による影響が甚大になると推測されます。
持続可能な社会に焦点を当てた際、災害に強いだけでなく、災害後の復興能力も併せ持つまちづくりが求められています。


(参考:SDGsの目標11「住み続けられるまちづくりを」で解決するべき問題と現状とは│gooddoマガジン|寄付・社会課題・SDGsに特化した情報メディア
関連記事:《SDGs基礎》目標13「気候変動に具体的な対策を」を徹底解説

世界の取り組み事例

乗り捨て可能なキックボード

2017年、アメリカの企業「Bird」が乗り捨て可能な電動キックボードのシェアリング事業をはじめました。
キックボードにはGPSが搭載されており、利用者は専用アプリからキックボードを特定することができます。同時に、キックボードの充電に協力すると報酬がもらえるという試みも行っており、環境にやさしく交通に貢献する事業として2018年『Global SDG Award』よりSDGs11に関わる最優秀事業に選ばれました。


(参考:【SDGs Vol.0】SDGsって何? 全世界が協力して達成を目指す17の目標とは?

日本の取り組み事例

SDGs未来都市

日本では優れたまちづくりに貢献し、SDGsの達成に向けたモデルとなりうる自治体を「SDGs未来都市」として認定する政策を行っています。
毎年30程度の都市が政府より「SDGs未来都市」に認定されており、2021年には新たに31都市が認定されました。
SDGsの取り組みとしては目標11に関わるものが多く「SDGs未来都市」通して地方の人口減少といった課題に向き合っています。


関連記事:《徹底解説》SDGs未来都市とは|概要から自治体一覧まで網羅

学校の取り組み事例

明誠高等学校のグラウンドゴルフを通じた地域交流

「世代間の交流を通して、住み続けられる街づくりと、地域の方々の健康と福祉に貢献する」というテーマのもと2021年12月、明誠高校ではグラウンドゴルフを通した世代間交流会や地元の大工との協力活動など、地元の方々と交流を深める取り組みを行いました。
明誠高校では他にもSDGsプログラムと称される授業を推進しています。


(参考:持続可能な開発目標・SDGsの目標11「住み続けられるまちづくりを」のターゲットや現状は?
関連記事:《徹底解説》学校のSDGsの取り組み事例|SDGsに取り組むステップも紹介

 

SDGs11「住み続けられるまちづくりを」の現状を知った上で私たちにできること2選

まずは知ることから

「住み続けられるまちづくり」を達成するためには、その場に住む人の協力が重要です。
貴方の知らないところで、貴方の知っているまちが変わりつつあるかもしれません。
地元の取り組みを調べていくことで「住み続けられるまちづくり」に向けた具体的な行動が思い浮かぶといいですね。


関連記事:《意外と知らない》日常生活でできるSDGs|具体的な取り組み〜日常生活編〜

地域の活動に参加しよう

自分が住んでいるまちはどの様な取り組みを行っていますか?
そして、貴方は地元の取り組みを把握していますか?
ボランティア活動や自治体が行うイベントに参加してみましょう。積極的に交流を深めることで、気がつかなかった地元の課題や魅力を発見できるかもしれません。


(参考:持続可能な開発目標・SDGsの目標11「住み続けられるまちづくりを」のターゲットや現状は?
関連記事:個人でできるSDGsの取り組みと求められる3つのこと|具体例・年齢別に解説

 

まとめ

今回の記事ではSDGs目標11「住み続けられるまちづくりを」に焦点を当て、世界と日本の現状を紹介しました。
目標11は人口の集中に関わる課題が多いため、まち全体の協力だけでなく国の方針も必要となってくるテーマです。
しかし、当然ながら個人単位の協力も重要です。些細な行動でも持続すると大きな一歩に繋がります。
一緒に住み続けられるまちづくりを目指しましょう。

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