LGBTに関する日本の取り組み7選-海外と比較しながら徹底解説-

#LGBT#ジェンダー 2023.02.13

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【更新日:2023年2月14日 by 大川 智也

皆さんはLGBTに関する日本の取り組みといえば、何を思い浮かべますか?

地方自治体が行っている、パートナーシップ制度が有名なのではないでしょうか。その他にも、企業や学校もLGBTに対する取り組みを行っています。

そこで今回は、LGBTに関する日本の取り組みを世界の取り組みと比較しながら、紹介していきます。

【この記事でわかること】※クリックすると見出しにジャンプします

  1. LGBTとは
  2. LGBTに対する日本の取り組み
  3. LGBTに対する海外の取り組み

LGBTとは

LGBTとは、セクシュアルマイノリティ(性的少数者)をまとめた呼び方のひとつです。

「Lesbian(レズビアン)、Gay(ゲイ)、Bisexual(バイセクシュアル)、Transgender(トランスジェンダー)」の4つの頭文字から構成されています。

LGBTQ+・LGBTsとは

LGBTQ+とは、LGBTに「Queer(クィア)、Questioning(クエスチョニング)」と「+(プラス)」を組み合わせたものです。「Q」は性的指向が決まっていない人、決めていない人、まだわからない人のことを表しています。「+」は性の在り方の多様性を表現したものです。

LGBTsの「s」は、LGBTではないセクシュアルマイノリティの人を総称した言葉です。

そのほかにもXジェンダーやヘテロセクシュアルなど、さまざまな名称が存在します。

Xジェンダー 戸籍上の性に関係なく、性自認が男性にも女性にも当てはまらない
アロマンティック 恋愛感情を他者に抱かない
アセクシュアル 性的感情を他者に抱かない
パンセクシュアル 相手の戸籍上の性、性自認に関係なく相手を好きになる
シスジェンダー 戸籍上の性と性自認が一致している
ヘテロセクシュアル 異性に対して恋愛感情を抱く、異性に対して性的感情を抱く

LGBTの日本の取り組みは遅れている?

LGBTに対する、日本の取り組みは遅れているのでしょうか。

続いて日本で取り組みがなぜ遅れているのか、紹介します。

同性婚やパートナーシップ制度の整備が必要

日本ではまだ同性婚は認められていないため、自治体のパートナーシップ制度で同性パートナーに婚姻したパートナーと類似の権限を与えることしかできません。

パートナーシップ制度を整えることで、企業などが行うサービスで異性の夫婦と同じ扱いを受けられる可能性があります。

現在、G7の国レベルで同性パートナーの法的な保障がないのは日本のみです。

社会の意識の変革が必要

日本で取り組みが遅れている理由として、社会全体の意識が低いことも挙げられます。

学校でLGBTQ+をはじめとする「性の多様性」について教わったことがあるかを聞いたところ、「教えてもらったことがある」と回答した人は全体で10.4%でした。20代では24.5%となり、割合は増えていますが、教わっていない人の方が大半になります。

若年層になるほど「教えてもらったことがある」と回答した人が増えているので、LGBTへの理解が進んでいる傾向が見られます。

日本の取り組み事例7選

ここからは日本の取り組みについて、紹介していきます。

日本の企業の取り組み事例3選

まずは日本の企業の取り組みを、紹介していきます。

関連記事:企業のLGBT取り組み事例3選-双方のメリットやLGBTフレンドリー企業も紹介

積水ハウス|「ヒューマンリレーション研修」の実施

積水ハウスグループは、2014年よりLGBTQをテーマに取り上げた「ヒューマンリレーション研修」を全従業員対象で行っています。

また、積水ハウス不動産グループでは契約書の性別欄を削除する、パートナーの選択肢を設ける、のような賃貸住宅の募集時におけるLGBTQフレンドリーな対応を目指しています。

*ヒューマンリレーション研修:人権侵害を「しない・させない・ゆるさない」企業体質を作るための研修

*LGBTフレンドリー:LGBTに対して偏見なく友好的な活動を行う姿勢

NTT|PRIDE指標で6年連続最高評価のゴールド受賞

NTT

引用:NTT

NTTは「PRIDE指標」において、2016年から6年連続で最高評価のゴールドを受賞しました。

また、扶養手当や社宅制度のような制度を同性パートナー等に対して適用しています。

*PRIDE指標:work with Prideが行っている「セクシュアル・マイノリティへの取組みの評価指標」になります。

株式会社資生堂|LGBT支援イベント「Tokyo Rainbow Pride」への出展

Tokyo Rainbow Prideで株式会社資生堂の社員有志が、LGBT当事者へメイクアップのアドバイスを行いました。また、性別適合手術をした人へのメイクアップアドバイスにも取り組んでいます。

その他にも、店頭に立つ美容部員はLGBT応対研修を受講しています。

*Tokyo Rainbow Pride:セクシュアル・マイノリティの存在を社会に広めるためのイベントです。「”性”と”生”の多様性」を祝福することを目的に特定非営利活動法人東京レインボープライドが開催しています。

日本の学校の取り組み事例2選

次に日本の学校の取り組みを紹介していきます。

関連記事:LGBT教育に必要な取り組み5選-現在の問題点と海外の取り組みも紹介

スクールカウンセラーの導入

スクールカウンセラーとは、学校で生徒や教師の心のケアを行う役割です。スクールカウンセラーは2021年の時点で全国公立小学校の90.5%、公立中学校の97,6%に配置されています。

LGBTであることを教員にはカミングアウトしたいという生徒もいれば、教員にだけはカミングアウトしたくないという子もいます。そんなときにスクールカウンセラーを活用することで、生徒の相談先を増やすことが可能です。

*カミングアウト:自分がセクシュアルマイノリティであることを打ち明けること

性的マイノリティに対する資料の作成

日本ではさまざまな団体が、性的マイノリティについての資料を作成しています。

たとえば文部科学省は、性的マイノリティに対する資料を教職員向けに発信しています。「性的マイノリティに関する課題と対応」という章では、性的マイノリティの児童・生徒へ対応する必要性を呼びかけています。

日本のその他の取り組み事例2選

最後に、のその他の取り組みを紹介していきます。

パートナーシップ制度

自治体のパートナーシップ制度は法律上の婚姻関係ではないため、あくまでもお互いをパートナーと定義する制度になります。

すべての自治体が導入しているわけではありませんが、導入している自治体の人口カバー率は6割程度となっています。

性同一性障害者の性別の取扱いの特例に関する法律

性同一性障害特例法とは、2004年に施行された法律です。5つの条件を満たすことと、2名以上の医師の診断で性別変更が可能です。

  1. 十八歳以上であること。
  2. 現に婚姻をしていないこと。
  3. 現に未成年の子がいないこと。
  4. 生殖腺がないこと又は生殖腺の機能を永続的に欠く状態にあること。
  5. その身体について他の性別に係る身体の性器に係る部分に近似する外観を備えていること。

海外の取り組み事例6選

ここまでは日本の取り組みについて、紹介していきました。

次に海外の取り組みについて、紹介していきます。

海外の企業の取り組み事例2選

まずは、海外の企業の取り組みを紹介していきます。

Apple|世界の70を超えるLGBTQ組織に120万ドルの寄付

Apple

引用:Apple

Appleは2015年に、LGBTの人が職場で平等な待遇を受けられるようにする支持する企業に加わっています。そして、世界の70を超えるLGBTQ組織に120万ドルの寄付を行っています。

また、AppleのCEOは2020年に米国連邦最高裁判所が下した、性的指向や性自認を理由とした解雇を違法とする判断を称賛しています。

その他にも、AppleはLGBTQ+コミュニティの多様性を象徴しているApple Watchプライドエディションを発売している。

マイクロソフト|性的指向による差別の禁止

マイクロソフトは1989年に、差別禁止規定の中に性的指向による差別の禁止を盛り込みました。

また、日本マイクロソフトでも性差別を禁止し、誰もが平等に扱われる職場・社会づくりを実現することを目的とした「ビジネスによるLGBT平等サポート宣言」に賛同しています。

*ビジネスによるLGBT平等サポート宣言:性的指向や性自認に基づく差別を禁止し、誰もが平等に扱われる職場・社会づくりを目指す宣言です。

海外の学校の取り組み事例2選

次に海外の学校の取り組みを紹介していきます。

関連記事:海外のLGBT教育5選-フィンランド・スウェーデン他、日本との比較も紹介

イギリス|LGBT教育の義務化

イギリスでは2020年から、LGBTに関する内容を含めたカリキュラムを提供することが義務化されました。

様々な家族の形を教える「リレーションシップ教育」や、性的指向や性自認といった項目を含む性教育が指導されます。

オランダ|ジェンダーと性の多様性に関するカリキュラムが必須

オランダでは、2012年からジェンダーと性の多様性に関するカリキュラムが必須となっています。

生徒自身がLGBTの人に現実に起こる場面を想定してそれぞれ役を演じることで疑似体験したり、性の多様性に関する議論を活発に行ったりすることを目的としています。

海外のその他の取り組み事例2選

最後に海外のその他の取り組みを紹介していきます。

同性婚

ヨーロッパ、南北アメリカ、オセアニアなど、2022年7月時点で32の国、地域で同性婚が可能になっています。

オランダでは世界で初めて、2001年に世界で同性カップルが法律婚できるようになりました。

また、31の国と地域で、婚姻とほぼ同等のパートナー関係の承認が行われる代替制度があります。

性別変更

海外では戸籍の性別変更に生別適合手術もしくは、医師の診断書を必要としない国があります。また、未成年でも変更ができる国もあります。

アイルランドでは18歳未満だと保護者の同意、医師の意見書が必要ですが、16歳から申請書の提出で、法律上の性別変更ができます。

手術が必要ない場合は、ホルモン治療や医師の診断書を性別変更の要件としている国が多いです。

まとめ

今回はLGBTについての基礎知識、LGBTに対する日本の取り組みを海外の取り組みと比較しながら、まとめていきました。

日本は、LGBTに対する取り組みが海外と比べて、遅れています。LGBTに対する取り組みを行っている企業、学校は多くありますが、まだまだ課題はたくさんあります。

少しでもLGBTへの理解を深める取り組みを行うことが大切です。

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