LGBTとSDGsの関係性-SDGsとしてLGBTへ取り組んでいる事例も紹介

##性・生殖#LGBTQ#ジェンダー 2023.03.07

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LGBTとSDGsにはどのような関係があるのでしょうか。

SDGs目標5では「ジェンダー平等を実現しよう」を目標に掲げていますが、LGBTはその他の目標とも密接な関わりがあります。

今回はLGBTとSDGsの全目標との関係性に加え、SDGsとしてLGBTへ取り組んでいる事例も網羅的に紹介します。

【この記事でわかること】

見出し

LGBTとは-簡単に説明

LGBTとは「レズビアン・ゲイ・バイセクシュアル・トランスジェンダー」の4つのアルファベットの頭文字をとったものです。

それぞれ「女性の同性愛者」・「男性の同性愛者」・「男性も女性も好きになる人」・「身体的な性と性自認が違う人」を指しています。

身体的な性とは性器などの身体的特徴に基づく性別を、性自認とは自身の性をどのように捉えるかを表した言葉です。

日本の民間団体による調査では、人口の8%〜10%前後はLGBTと言われています。

▼参考
LGBTの割合がバラつく理由【13人に1人? 100人に1人?】

SDGsとは-簡単に説明

SDGs(Sustainable Development Goals)とは「持続可能な開発目標」を表しており、2030年までに持続可能でより良い世界を目指すための国際目標です。

17のゴールと169のターゲットで構成されており、誰一人取り残さないことを誓っています。

貧困の根絶や男女平等、環境保全など、その内容は多岐にわたっています。

▼参考
SDGsとは? – Ministry of Foreign Affairs of Japan

LGBTとSDGsの関係性

LGBTとSDGsの関係性について紹介します。

LGBTはSDGsに明記されていない

LGBTへの取り組み自体はSDGsの目標の中に明記されていません。

しかし、目標5「ジェンダー平等を実現しよう」や目標17「パートナーシップで目標を達成しよう」など、LGBTに関わる内容は多くあります。

なぜLGBTはSDGsに入っていないのか

LGBTはSDGsに入っていない理由としてLGBTへの理解が十分に進んでいないことが挙げられます。

性的マイノリティの人の権利や理解について国際的な基準を確立することが求められます。

▼参考
SDGsがLGBTQに明確に言及しない、知られざる理由。失望と希望が入り混じる実状とは

LGBTに取り組むことはSDGsにつながる

LGBTに取り組むことは社会に良い影響をもたらすだけでなく、SDGsの目標を達成することもできます。

例えば、LGBTの人が学校に馴染めるようになるとSDGs目標4の「質の高い教育をみんなに」の達成に大きく近づきます。

LGBTはSDGs目標の何番に該当するか-17の目標との関係性

LGBTとSDGs目標との関係性についてそれぞれ紹介します。

LGBTとSDGs1「貧困をなくそう」

1つ目に紹介するのはLGBTとSDGs1「貧困をなくそう」の関係性です。

性的マイノリティであることと貧困には大きな関係があります。

例えば、LGBTのために学校に馴染めず、学習機会が奪われてしまうことがあります。

そのため、LGBTの人は非正規雇用の割合が多くなり、LGBTでない人に比べて収入が少ないという調査結果があります。

LGBTの人にも他の人と同等の収入を得る権利があるため、一刻も早い対応が求められます。

▼参考
職場における性的マイノリティの困難 ――収入および勤続意欲の多変量解析

LGBTとSDGs2「飢餓をゼロに」

次に紹介するのはLGBTとSDGs2「飢餓をゼロに」の関係性です。

LGBTのために学校に馴染めなかったり、家庭や職場から疎外されてしまったりすることがあります。

これによって、LGBTの人の非正規雇用の割合が上昇してしまい、生活するのに十分な収入を得られなくなってしまうことがあります。

▼参考
LGBTとSDGs | 認定NPO法人 虹色ダイバーシティ

LGBTとSDGs3「すべての人に健康と福祉を」

次に紹介するのはLGBTとSDGs3「すべての人に健康と福祉を」の関係性です。

LGBTであることで適切な医療を受けられない場合があります。

また、LGBTスポーツについて賛否が分かれており、思い通りにスポーツに取り組めないLGBT選手もいます。

▼関連記事
LGBTとスポーツの関係性-問題点や選手事例、日本の現状まで紹介

LGBTとSDGs4「質の高い教育をみんなに」

次に紹介するのはLGBTとSDGs4「質の高い教育をみんなに」の関係性です。

LGBTの人が学校に馴染めるようになることでセクシュアリティに関係なく教育を受ける機会を得ることができます。

LGBTとSDGs5「ジェンダー平等を実現しよう」

次に紹介するのはLGBTとSDGs5「ジェンダー平等を実現しよう」の関係性です。

LGBTの方々が過ごしやすい社会を作るためにはジェンダー平等に対する理解を深める必要があります。

まずは性の多様性を受け入れることが求められます。

▼SDGs目標5について詳しくはこちら

LGBTとSDGs6「安全な水とトイレを世界中に」

次に紹介するのはLGBTとSDGs6「安全な水とトイレを世界中に」の関係性です。

トランスジェンダーの人は男女別のトイレが使いにくいという問題があります。

全てのジェンダーの人が使用できるオールジェンダートイレを導入することでトイレの選択肢を増やすことができます。

LGBTとSDGs7「エネルギーをみんなにそしてクリーンに」

次に紹介するのはLGBTとSDGs7「エネルギーをみんなにそしてクリーンに」の関係性です。

LGBTの理解を深めるために様々なイベントが行われています。

イベントで使用する電力量を減らすなどの省エネ化が求められています。

▼関連記事
自治体のLGBTへの取り組み5選-日本のLGBTの現状や企業・学校の例も紹介

LGBTとSDGs8「働きがいも経済成長も」

次に紹介するのはLGBTとSDGs8「働きがいも経済成長も」の関係性です。

LGBTであることで職場から疎外されてしまうことがあります。

会社で性的マイノリティによって悩むことで働く意欲が失われないように注意する必要があります。

また、優秀な人材が職場から疎外されることで、会社の損失につながることもあります。

▼関連記事
SDGs目標8番の達成に向けた解決策とは?|企業事例3選を紹介

LGBTとSDGs9「産業と技術革新の基盤をつくろう」

次に紹介するのはLGBTとSDGs9「産業と技術革新の基盤をつくろう」の関係性です。

建築などの産業では女性が少ないこともあり、ジェンダー平等やLGBTへの施策が遅れています。

また、良い成果を出すためには良い心理状態が必要ですが、LGBTへの理解が進んでいないと当事者たちの心理状態は安定しません。

▼参考
LGBTとSDGs | 認定NPO法人 虹色ダイバーシティ

LGBTとSDGs10「人や国の不平等をなくそう」

次に紹介するのはLGBTとSDGs10「人や国の不平等をなくそう」の関係性です。

同性同士で結婚ができないのは不平等なことですが、いまだに認められていない国や自治体があります。

オランダやベルギーなど同性婚を認める国が増えており、LGBT+の人の考えを尊重しています。

LGBTとSDGs11「住み続けられるまちづくりを」

次に紹介するのはLGBTとSDGs11「住み続けられるまちづくりを」の関係性です。

LGBTであることで周りの人から疎外され、生活しにくいと感じる人がいます。

中には今まで住んでいた場所に住みにくさを感じ、他の地域に引っ越してしまう人もいます。

▼参考
LGBTとSDGs | 認定NPO法人 虹色ダイバーシティ

LGBTとSDGs12「つくる責任つかう責任」

次に紹介するのはLGBTとSDGs12「つくる責任つかう責任」の関係性です。

LGBTの理解を深めるために様々なイベントが行われています。

イベントで使用したものをリサイクルしたり、再利用したりすることが求められています。

▼関連記事
食品ロス対策アプリ&通販サイト10選-食品ロス対策を徹底解説

LGBTとSDGs13「気候変動に具体的な対策を」

次に紹介するのはLGBTとSDGs13「気候変動に具体的な対策を」の関係性です。

気候変動によって危険に晒されている地域に住んでいる人の中にもLGBTの人はいます。

気候変動と性的マイノリティの二重苦に悩まされることのないように対策が必要です。

LGBTとSDGs14「海の豊かさを守ろう」

次に紹介するのはLGBTとSDGs14「海の豊かさを守ろう」の関係性です。

性の多様化は人間に限った話ではなく、約1500種もの生物で同性愛が確認されています。

例えば、バンドウイルカの多くはバイセクシュアルで、同性どうしでカップリングすることもあります。

生物界の性の多様性を理解することでLGBTへの偏見を少なくすることができます。

▼参考
LGBTとSDGs | 認定NPO法人 虹色ダイバーシティ

LGBTとSDGs15「陸の豊かさも守ろう」

次に紹介するのはLGBTとSDGs15「陸の豊かさも守ろう」の関係性です。

これも目標14「海の豊かさを守ろう」と同様に、生物界の性の多様性を理解することでLGBTへの偏見を少なくすることができます。

▼関連記事
カーボンニュートラルへ向けてできること6選-私たちが取り組むべき理由を解説

LGBTとSDGs16「平和と公正をすべての人に」

次に紹介するのはLGBTとSDGs16「平和と公正をすべての人に」の関係性です。

LGBT+であるために自由に結婚できない人が存在します。

そのような人が自分の理想とする人生を歩むためには、多くの人のLGBTへの理解が欠かせません。

LGBTとSDGs17「パートナーシップで目標を達成しよう」

次に紹介するのはLGBTとSDGs17「パートナーシップで目標を達成しよう」の関係性です。

LGBTの問題は学校や職場、医療やスポーツなど多岐にわたっています。

そのため、国や自治体などの行政と会社や学校などの民間が協力しあう必要があります。

LGBTの改善とSDGsの達成に向けた取り組み4選

LGBTの改善とSDGsの達成に向けた取り組みを4つ紹介します。

SDGs達成のためのLGBTの人権擁護| ビジネスにおいても取り組む

SDGs達成のためのLGBTの人権擁護の事例として野村ホールディングスの取り組みを紹介します。

野村ホールディングスはLGBTの人が社内で差別されないために以下の取り組みを行っています。

・LGBTの人への差別を禁止した規定の整備
・ダイバーシティ研修などLGBTについての勉強会
・同性パートナーでも利用できる福利厚生制度の整備

▼参考
ダイバーシティ、エクイティ&インクルージョン(DEI)

SDGs達成のためのLGBTコミュニティの支援|ビジネスの責任と役割

SDGs達成のためのLGBTコミュニティの支援の例として資生堂の取り組みを紹介します。

資生堂では、渋谷区が主催する「DIVE DIVERSITY SUMMIT SHIBUYA」や「Tokyo Rainbow Pride」へ賛同しています。

LGBTの人々に化粧を楽しんでもらうイベントを企画するなど、コミュニティに対しても積極的に活動しています。

▼参考
日本と世界のLGBT取り組み事例を紹介 – LGBTs不動産のIRIS

SDGsに沿ったLGBTの多様性とイノベーション|ビジネスにおいての新たな可能性

SDGsに沿ったLGBTの多様性を受け入れることがイノベーションにつながることがあります。

例えば、LGBTとSDGs17「パートナーシップで目標を達成しよう」の関係性について例を挙げます。

LGBTは学校や職場だけの問題ではなく、医療やスポーツなど多岐にわたっています。

つまり、1つの問題を解決するためには「行政同士」、「行政と民間」、「民間同士」が協力しあう必要があります。

異なる団体で協力していく際に新しいアイディアが生まれ、それがイノベーションとなるのです。

SDGs達成のためのLGBTの認知向上と推進

SDGs達成のためのLGBTの認知向上と推進を行っている事例としてスターバックスコーヒージャパン株式会社の取り組みを紹介します。

スターバックスコーヒージャパン株式会は従業員が若者たちとLGBTについて考える「レインボー学校プロジェクト」というイベントを開催しました。

レインボー学校プロジェクトとは、若者が性的マイノリティについて正しい知識を身に着けて安心して学校に通えるようになるために、多様性やLGBTQ+に関する出張授業をする取り組みです。

LGBTのスターバックスの従業員やアライ(性的マイノリティを理解し、支援する人や団体)がそれぞれの経験を語ることで、より身近に性的マイノリティを感じることができます。

▼参考
スターバックス コーヒー ジャパン 性の多様性に関する取り組みが評価され、「PRIDE指標」最高評価の「ゴールド」受賞および最も優れた事例に選定

SDGsとしてLGBTへの取り組みを行っている事例2選

SDGsとしてLGBTへの取り組みを行っている事例を2つ紹介します。

ドン・キホーテ渋谷店-オールジェンダートイレの導入

1つ目に紹介する事例はドン・キホーテ渋谷店の取り組みで、目標6「安全な水とトイレを世界中に」に関係しています。

東京都渋谷区では多様性をテーマにさまざまな取り組みを行っています。

株式会社ドン・キホーテは渋谷区での取り組みに基づき、2017年にオープンした渋谷本店にオールジェンダートイレを設置しました。

誰でも利用できるオールジェンダートイレを3つ設置し、性自認でトイレに不安を抱えている人でも安心して利用できるようになりました。

▼関連記事
LGBTのトイレのマークについて考える-オールジェンダートイレの提案や導入事例も紹介

東京都-東京都パートナーシップ制度を導入した自治体の繋がり

2つ目に紹介する事例は東京都の取り組みで、目標17「パートナーシップで目標を達成しよう」に関係しています。

東京都は、2021年に「東京都パートナーシップ制度導入自治体ネットワーク」を結成しました。

パートナーシップ制度とは、戸籍上の性が同じカップルなどが法的に婚姻関係を認められた人と同等のサービスを受けられるようにする制度です。

このネットワークは同性パートナーシップ制度を導入している12市区が互いに情報を交換し、利便性を高めるために結成されました。

渋谷区・豊島区・港区・世田谷区・中野区・足立区・江戸川区・文京区・府中市・国立市・小金井市・国分寺市の12市区で構成されています。

▼参考
都内の同性パートナーシップ証明制度導入自治体が連携、都営住宅入居などを都に要請へ

私たちにできること

企業や自治体が取り組んでいることを紹介しましたが、私たちにできることもあります。

一番取り組みやすいことはLGBTについて正しく理解することです。そして性的マイノリティを受け入れる姿勢を見せることで、LGBTの人は安心感を得ることができます。

また、その他にALLY(アライ)になることもできます。

ALLY(アライ)とは、LGBTQ +の人たちに寄り添いたいと考え、支援する人のことを指します。

まとめ

LGBTとSDGsの関係性について新しく知ったことはありましたでしょうか。

LGBTの人の中には職場や学校で疎外感を感じ、それがSDGsの目標の妨げとなっている場合があります。例えば、学校で疎外されることで教育を受けられなくなってしまう可能性があります。

また、LGBTへの取り組みを行う際に「省エネ化」に気をつけることで、目標7「エネルギーをみんなにそしてクリーンに」を達成することができます。

LGBTの人が生活しやすい社会になるために、多くのことに取り組む必要があります。

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