皆さんは、人権問題と聞くとどのようなことを思い浮かべるでしょうか?
人種差別やいじめ、女性の働き方など、思い浮かべるとたくさんあると思います。
これらの問題についてSDGsとどのような関係があるのか。また、日本や企業がどのような取り組みをしているのかを紹介させていただきます。
見出し
SDGsと人権問題のかかわり
目標4「質の高い教育をみんなに」とのかかわり
目標4「質の高い教育をみんなに」とのかかわりは「教育を受ける権利」と人権の関係性です。
開発途上国の地域では、貧困・紛争などによって子どもたちの多くが学校に行くことができずに教育の機会が失われているという現状があります。
2000年以降は大きな進捗が見られ、2015年に学校に通えない子どもが約半数までに減少しましたが、情勢悪化などにより状況が悪化している地域もあります。
他にも貧富の差による不平等も残っており、今後も教育格差を是正して公平な権利のためのアプローチを続けていくことが大事になります。
目標4に関して詳しく知りたい方はこちら▼
目標5「ジェンダー平等を実現しよう」とのかかわり
この目標とのかかわりは、女性に対する差別の撤廃です。
昔と比べて改善の兆しを見せています。しかし、雇用機会の不平等・暴力や虐待・不公平な家事労働・政治への参入などのさまざまな面で差別を受けている女性や女児は多く存在します。
ジェンダーによる違いで人権が損なわれないように、全世界で差別を撤廃しなければなりません。
目標5に関して詳しく知りたい方はこちら▼
目標8「働きがいも経済成長も」とのかかわり
目標8「働きがいも経済成長も」とのかかわりは、奴隷・強制労働・人身取引につながる点です。
個人の人権を無視した強制的な労働は早急に根絶する必要があります。
働きがいを感じ、人間らしく働ける「ディーセント・ワーク」をめざして、誰もが仕事を選択できる社会にしなければなりません。
「ディーセント・ワーク」とは 権利が保障され、十分な収入を生み出し、適切な社会的保護が得られる生産的な仕事のことです。「ディーセント(decent)」は「適正」「良識にかなった」「まともな」という意味があり、働きがいがある仕事のことを「ディーセントワーク」と呼びます。 |
目標8に関して詳しく知りたい方はこちら
目標16「平和と公正をすべての人に」とのかかわり
目標16「平和と公正をすべての人に」とのかかわりは、生命の自由、身体の安全に対する権利の主張についてです。
不安定な情勢や武力紛争、法のない地域では、身の安全が保障されておらず、生命危機のリスクにさらされ続けることになります。
安全で平和な世界を目指すことにより、命に関わる人権を守ることにもつながっていきます。
日本政府の人権に関する取り組み|3選
①女性の職業生活における活躍の推進に関する法律
2016年4月に施行された法律です。
この法律は、自らの意思によって職業生活を営み、または営もうとする女性の個性と能力が十分に発揮されることが一層重要であると考え、女性の職業生活における活躍を推進し、豊かで活力ある社会の実現を図るという目的で策定されました。
基本原則は以下の3つです。
|
また、この法律で義務付けられたのは、以下の3つです
|
②子供の人権SOSミニレター
「子供の人権SOSミニレター」は法務省の人権擁護機関が行っている取り組みです。
小学校・中学校の児童・生徒を対象としており、学校におけるいじめや体罰、家庭内での虐待などの問題に対する活動です。
全国の小学校・中学校の児童・生徒に「子どもの人権SOSミニレター」(料金受取人払の便箋兼封筒)を配布し、これを通して、教師や保護者にも相談することができない子どもたちの悩み事を的確に把握して学校や関係機関との連携を図りながら、子どもをめぐる人権問題の解決に取り組んでいます。
③外国人のための人権相談
2020年6月時点で、日本で生活する外国人は257万人を超えています。
近年では、多様な生き方が認められつつあるため、減りはしたものの外国人であることを理由に、さまざまな差別を受けるということは、まだ起こっています。
そんな外国人の為に法務省が設置したものが、外国人のための人権相談所です。
日本語を話せない外国人からの人権相談に応じているほか、外国人に対する偏見・差別の解消を目指し、啓発活動や調査救済活動に取り組んでいます。
引用元:法務省:主な人権課題
企業の人権に関する取り組み|3選
①ソフトバンク
ソフトバンクではおもに以下の5つの取り組みを行っています。
|
この中でも特にダイバーシティの推進では、年齢や性別、国籍、障がいの有無に関わらず、多様な人材が個性や能力を発揮できる機会と環境の整備に取り組んでいます。
また、女性の活躍推進にも積極的に取り組んでおり、女性社員を対象としたキャリア研修やリーダーシップ研修の継続実施や社員のコミュニティーづくりの支援、社内の管理職によるメンタープログラムをスタートし、より高い役割を発揮するためのキャリア形成をさまざまな形でサポートする体制を取っています。
2035年度までに女性管理職比率を20%とする目標を掲げており、2021年7月1日からCEOや役員などで構成される女性活躍推進委員会を設置しています。
②ANA
ANAグループでは、国際人権章典(世界人権宣言と国際人権規約)、労働における基本的原則および権利に関する国際労働機関の宣言、国連グローバル・コンパクトの10原則、および国連のビジネスと人権に関する指導原則を基に、ANAグループ人権方針を定め、人権尊重の取り組みを推進しています。
その中でも社員への啓発・教育に力を入れており、2015年度から引き続き、新入社員・新任管理職研修等の研修の際に、人権に係る啓発教育を実施しています。
人権にかかわるグローバルな潮流や身近な事例を多くの社員と共有することで、さまざまなステークホルダーの人権を考慮しながら日々の業務を行うことの重要性についての認識を深めています。
また、人権に対する理解の向上のため、グループ全社員を対象として、eラーニングを実施しました。「企業の社会的責任と人権」と題した内容で実施し、約1か月間で92.7%の社員が受講しました。
引用元:人権への取り組み | CSR | ANAグループ企業情報
③サントリー
サントリーグループでは、社会の一員である企業として、すべての活動において人権尊重の重要性を認識し、国連「ビジネスと人権に関する指導原則」を実行の枠組みとして捉え、事業活動をおこなう各国・地域における法と規制を遵守しています。
また、社内において、「企業倫理綱領」、サプライチェーンにおいては「サプライヤーガイドライン」を制定し、運用しています。
企業倫理綱領:サントリーグループ企業倫理綱領
サプライヤーガイドライン:サントリーグループ・サプライヤーガイドライン
人権において定められている重点テーマは以下の6つです。
|
また、サントリーグループでは人権デュー・ディリジェンスにおける活動を推進する体制とプロセスを定め、グローバルに推進しています。従来の国内人権課題への対応については、引き続き中央委員会と各事業所の人権推進委員で構成する「人権教育推進委員会」の中で実施していきます。
推進体制
引用元:人権の尊重
推進プロセス
引用元:人権の尊重
最後に
今回は人権とSDGsの関係性について紹介しました。
政府だけでなく企業も積極的に取り組むべき課題である問題ですが、政府・企業それぞれが積極的にまた多様な取り組みをしており、これからもこの取り組みの動向についてより一層注目していきたいと思います。
SDGsとは
SDGsは「Sustainable Development Goals」の略称です。日本語では「持続可能な開発目標」と表されます。
2015年9月の国連サミットで採択されたSDGsは、2016年から2030年までの15年で達成すべき17のゴールと169のターゲットで構成されています。
SDGsでは経済や環境、社会の課題が幅広く取り上げられ、持続可能な社会を築き上げるために、国連が主導してさまざまな取り組みが広がっています。
SDGs CONNECTでは、SDGsの各目標ごとに解説記事を公開しています。
▼各目標の詳細は以下の画像をクリック
▼SDGsについて詳しくはこちら