フェアトレードの取り組み事例5選-企業や世界の国、個人の取り組みを紹介

#サスティナブル#持続可能#貧困#開発途上国 2023.06.22

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「フェアトレード」とは、発展途上国で暮らす生産者・労働者の生活を支援するために、先進国が公平な取り引きを行うことです。近年ではフェアトレードに対する認識も高まっており、認証商品も増加傾向にあります。

日本にでも年々取り扱う商品の数が増えており、フェアトレードについて意識する人々が増えていきました。では、企業はどのような取り組みをしているのでしょうか。また消費者である私たちが、実際にできることとは何なのでしょうか。

この記事では、フェアトレードについての内容や、企業・個人の取り組みについて紹介していきます。また日本におけるフェアトレードの現状についても、説明します。

【この記事で分かること】

フェアトレードとは|SDGsとの関係についても説明

フェアトレードとは公平・公正な取引を行うことで、発展途上国で暮らす生産者・労働者の生活を守る取り組みです。発展途上国ではカカオやコットンなどの農産物が多く生産されていますが、立場の弱さを利用して安く取引されるなど、不当な貿易が行われています。そこで、フェアトレードを通して適正な値段で取引することで発展途上国の人々の生活を守り、貧困からの脱却を目指すことができます。

SDGsとは、2015年9月の国連サミットで採択された「持続可能な開発のための2030アジェンダ」に書かれた国際的な目標です。人間・繁栄・地球・平和・協働の5つの分野と17のゴール、169のターゲットから構成されています。

このSDGs目標を達成するには、フェアトレードの取り組みが必要不可欠だといわれています。例えば、フェアトレードを行うことで安定的な収入が得られ、貧困をなくすことができます。また、フェアトレード環境基準である「農薬の使用制限、水源・土壌・施物多様性の保全」を守ることで持続可能な農業が可能になり、飢餓を減らせます。さらに、発展途上国の子供たちが仕事に従事する必要がなくなり学校に通えるようになることで、質の高い教育が受けられます。

このように、フェアトレードはSDGsと深いかかわりをもっており、フェアトレードが広まることでSDGsを達成できるといえます。

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フェアトレードとSDGsの関係とは?-企業や個人の取り組みも解説

日本におけるフェアトレードの現状|なぜ日本では普及しないのか

日本はフェアトレードが普及し始めているとはいえ、先進的な取り組みを行っている国と比べて、まだまだ不十分な現状です。認定NPO法人フェアトレード・ラベル・ジャパンが行った調査では、2021年のフェアトレード認証製品の推定市場規模は157.8億となり、2020年と比較すると20%上昇しました。これは過去と比べると大きな伸び率です。また、一般社団法人日本フェアトレード・フォーラムが行った調査では、日本におけるフェアトレードの認知率は32.8%となっており、これも過去と比べるとポイント数が上昇しました。

しかし、世界の先進国と比較すると日本は大きな遅れをとっています。イギリスでは認知率が78%となっており、そのうちの9割近くの人が認証ラベルを信用しています。

では、なぜ日本ではフェアトレードが普及していないのでしょうか。理由は主に3つ挙げられます。

  1. 価格競争力が弱い
  2. 消費者のSDGsなどへの意識の低さ
  3. フェアトレードへの理解不足

1つ目の価格競争力の弱さについては、フェアトレード商品は価格が高いため、他の安い商品が選ばれてしまうという問題があります。高い品質を維持するには資金がかかりますが、日本には高品質かつ安い商品が多くあるため選ばれない現状です。

2つ目の消費者のSDGsなどへの意識の低さについては、消費者がSDGsを意識した買い物をしていないという問題があります。SDGsは近年よく目にする言葉ですが、SDGsを意識した上で商品を選んでいる方は多くないと考えられます。SDGsの意識を高めることでフェアトレードも達成できるといえます。

3つ目のフェアトレードへの理解不足については、フェアトレードについて詳しく知らない方が多いという問題があります。日本におけるフェアトレードの認知率は約30%です。なぜフェアトレード商品を買う必要があるのか、その裏にある社会問題や享受できるメリットを理解することで、フェアトレードの普及率を上げられる可能性があります。

フェアトレードに関する企業の取り組み事例5選

続いて、フェアトレードに関する取り組みを行っている企業を5つ紹介します。

  • 無印良品|フェアトレード展
  • ローソン|カカオ使用のオリジナル商品
  • NTTデータ|フェアトレード商品社内販売会
  • 日本製粉グループ|サステナブル・シーフードの提供
  • DNP|フェアトレードコーヒー

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企業のフェアトレードへの取り組み事例6選-企業、ステークホルダーのメリットも紹介

無印良品|フェアトレード展

無印良品は、2010年から始まった「フェアトレード100万アクションキャンペーン」に積極的に参加しています。なかでも子供たちに分かりやすくフェアトレードのしくみを教えるため、フェアトレード展を開催しています。主な取り組みは以下の4つです。

1.ひとと、つながるフェアトレード展 フェアトレードとはなにかを説明する展示会の開催
2.フラワーアレンジメント教室 フェアトレードのバラを使用したフラワーアレンジメント教室の開催
3.フェアトレード紅茶の販売 Meal MUJI 有楽町でフェアトレード紅茶を特別価格で提供
4.フェアトレードバラの販売 花良品有楽町でフェアトレードのバラを限定販売
5.くらしの良品研究所 ウェブサイト上でお客様と一緒にフェアトレードを考える

また、無印良品の商品は環境を意識したものが多数あります。例えば、販売されている衣服はすべてオーガニックコットンを使用しています。また、「不揃いバウム」は焼きムラがあるバウムも商品化することでフードロスに貢献しています。このように商品の多くが環境に配慮するものとなっています。

ローソン|カカオ使用のオリジナル商品

ナチュラルローソンは、「国際フェアトレード認証」カカオを使用したオリジナルショコラ商品を3つ発売しています。1つ目はチョコレートを販売する「バニラビーンズ」と共同開発した「冷やして食べるガトーショコラ」、2つ目は「バニラビーンズ タブレットショコラ・ミルク」、3つ目は「バニラビーンズ タブレットショコラ・ビター」です。国際フェアトレード認証を取得した商品の発売は今回が初めてとなります。

また、ローソンは2015年より全ての豆を「レインフォレスト・アライアンス認証」農園産の豆に変更しており、環境に配慮した商品づくりを推進しています。

レインフォレスト・アライアンス認証

…原料または製品が、持続可能な手法で生産されたことを表す認証マークのこと。

社会・経済・環境項目のすべてにおいて独立機関から審査される。

認証マークのモチーフであるカエルは持続可能性の象徴となっている。

NTTデータ|フェアトレード商品社内販売会

NTTデータではチャリティイベントとして、フェアトレード商品を社内で販売する取り組みを行っています。主に珈琲や紅茶、チョコレートなどを販売しており、社員の自発的行動が取り組みを支えています。

また、来客用のコーヒーや紙袋に代わるエコバックもフェアトレード商品に切り替えました。取り組みを社外にアピールできるだけでなく、会話の話題にもなっています。今後は社内での消費をさらに進めることを検討されています。

日本製粉グループ|サステナブル・シーフードの提供

日本製粉グループでは、食事を通じて水産資源の枯渇という社会課題に触れ、日常生活での購買行動を変えてもらう取組みを行っています。その1つが本社の社員食堂で振舞われた「サステナブル・シーフード」を使用したメニューの提供です。「MSC/ASC Coc認証」を取得しており、気軽にフェアトレードを体験できるようになっています。例えば「銀鮭のムニエル&フライ オイスタータルタルソース」が提供されました。

MSC/ASC Coc認証

…製品の製造・加工・流通の全ての過程において、対象水産物が適切に管理され、認証製品以外の製品の混入やラベルの偽装がないことを認証するもの。

持続可能な漁業において、天然の水産物であることを認証した規格。

自然環境の汚染や資源の過剰利用の防止、労働者と地域社会にも配慮した責任ある養殖業で養殖された水産物の認証規格。

さらに社員のエシカル消費や発展途上国における人権尊重の理解を深めることを目的として、本社地区の社員食堂でフェアトレードコーヒーを提供しています。フェアトレード認証を受けたコロンビア産・インドネシア産コーヒー豆を100%使用しています。

DNP|フェアトレードコーヒー

DNPは、応接室や社内カフェで提供されるコーヒーをフェアトレード認証製品に切り替える取り組みを行っています。2006年から開始されたこの取り組みは、2018年3月時点で100万杯を達成しました。この結果を受けて日本企業初となる表彰状がフェアトレード・ラベル・ジャパンより贈られています。

また、毎年5月に行われているフェアトレード月間キャンペーンでは、社員食堂でフェアトレード認証製品を使ったメニューを提供しています。さらにフェアトレード認証製品を使った自社キャラクターのグッズ作成や、アイスクリームやコーヒードリップバッグの社内販売なども行っています。

個人でできるフェアトレードの取り組み4選

コーヒーとコーヒー豆の画像

私たちはフェアトレードのためにどのような行動ができるのでしょうか。続いて、個人でできるフェアトレードの取り組みを4つ紹介します。

  • フェアトレードの理解を深める
  • フェアトレード商品を買う
  • 協力団体に寄付をする
  • イベントに参加する

フェアトレードの理解を深める

まずはフェアトレードについての理解を深めることが大切です。フェアトレードに関する本やウェブサイトなどを読んで、情報を集めてみてください。また、発展途上国の現状や社会問題に目を向けることで学びを深めることができます。

フェアトレード商品を買う

フェアトレード商品を買うことで日々の生活から活動に貢献できます。

日本フェアトレード・フォーラム(FTFJ)が行った調査によると、購入したフェアトレード商品は、コーヒ・チョコレートが最も多く、紅茶・ハーブティー、服飾雑貨・アクセサリー、手工芸品と続きます。また、購入場所はスーパー、インターネットが挙げられています。身近な場所で購入できるようになったからこそ、フェアトレード商品を選ぶ選択をしてみてください。

協力団体に寄付をする

国際フェアトレード認証ラベル製品の普及啓発活動を行う認定NPO法人「フェアトレード・ジャパン」では、寄付サポーターを募集しています。寄付金は教材や広報物制作・イベントの開催などに使用され、フェアトレードの普及活動に参加できます。

クレジットと現金で寄付することができ、実施した活動や成果は、年次報告書で確認できます。個人で寄付する場合、「今回のみ3,000円〜」「継続サポーター(毎月)500円〜」「継続サポーター(年1回)3,000円〜」の中から選ぶことができ、自身で申請すると税制上の寄付控除を受けることができます。

イベントに参加する

フェアトレードに関するイベントに参加することで普及活動に貢献することができます。

フェアトレード・ラベル・ジャパンはサポーター交流会、ステークホルダー会合、コーヒー生産者との情報交換会などさまざまなイベントが開催しました。

また、東京都では「世田谷おいしいもの巡り〜スマイルプロジェクト〜」で、区内の協力飲食店から提供される、フェアトレードの材料を使ったメニューを巡るシールラリーが開催されました。

このように、楽しく学びながら交流できるイベントが多数あります。皆さんの近くで開催されるイベントも調べてみてください。

世界のフェアトレード取り組み事例3選

北欧は他国に比べ特にフェアトレードの取り組みが盛んにおこなわれています。では世界でどのような取り組みが行われているのか、事例とともに紹介します。

イギリス|フェアトレードタウン

町の画像

イギリスでは町全体でフェアトレードを推進する取り組みを行なっており、世界で最初にフェアトレードタウンに認定された国でもあります。そのため市民が積極的にフェアトレード商品を購入しており、認知度は80%にのぼります。

フェアトレードタウンであることを認める証明は2年に1度更新されるため、取り組みの継続率が高い特徴があります。

フェアトレードタウン

…フェアトレードタウンとは町全体でフェアトレードを推進していると認められた自治体のことです。現在では30か国以上の国、2000以上の自治体で認定されており、認定されるには運動の展開と市民の啓発、推進組織の設立と支持層の拡大など6つの基準を満たす必要があります。

アメリカ|フェアトレードUSA

アメリカでは独自のフェアトレード基準を設けラベルを設定しています。フェアトレードUSAが国際基準を脱退した理由は、ラベルを付けられる対象品目を多くするべきだと判断したからです。そのため品目や事業形態に限定されずに多品目でラベルを取得できます。さらにファッションの認証ラベルもあります。

ほかにも「フェアトレードLA(Fair Trade LA)」が存在し、フェアトレードに関するイベントやキャンペーンを行うなど独自の活動を展開しています。

スウェーデン|フェアトレード認定都市

スウェーデンの画像

スウェーデンでは都市全体でフェアトレードの取り組みが行われています。例えば市内で購入されるコーヒーの60%がフェアトレード商品です。

また、町ではフェアトレード・フェスティバルが開催されていたり、市のホームページでフェアトレード商品を購入できるショップやレストラン、ホテルなどの一覧が掲載されたりしています。

まとめ

今回はフェアトレードに関する取り組みを企業、国ごとに紹介してきました。日本では認知されてきているとはいえ、まだまだ理解が必要な分野です。

フェアトレード商品を買ったり、イベントに参加するなどして、個人でできる取り組みから始めてみてください。

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