《徹底解説》ユニセフとSDGs|保健や教育など7分野の取り組みを紹介

#SDGs目標2#SDGs目標3#SDGs目標4#SDGs目標5#SDGs目標6#SDGs目標8#教育 2021.08.02

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【更新日:2021年9月11日 by 森あゆみ

SDGsが注目される中、世界の青少年の権利を守る重要性が注目されています。2020年時点で、世界で飢餓状態にある子どもは8億人を超えるとも言われ、栄養失調などが深刻な課題になっています。

ユニセフ(国際連合児童基金)は、国際連合の期間で、青少年の権利を守るための活動を行っています。ユニセフを通じた募金活動に参加したことがある人も多いのではないでしょうか。

この記事では、SDGsとも関係が深い、ユニセフについて、概要からSDGsとの関係性まで、幅広く解説していきます。

ユニセフとは

ユニセフ(UNICEF)は、正しくは国際連合児童基金といい、1646年12月11日に設立された国連の補助機関です。

ユニセフは社会や自然などの影響を受け不利な状況に置かれている青少年に支援を行い、あらゆる場所で全ての青少年の権利を守る活動をしています。対象は190以上の国と地域に住む幼児期から青年期までの子どもまで及びます。

支援活動は、保健、栄養、水、衛生、教育、暴力などからの保護、HIV / エイズ、緊急支援、アドボカシーまで幅広く、その活動資金は私たちからの募金だけでなく、各国政府の拠出金などからもまかなわれています。

第二次世界大戦後の1946年12月の第1回国連総会でユニセフの設立が採択され、The United Nations International Children’s Emergency Fund (UNICEF)が設立されました。設立当時は戦争の影響を受け、命や未来が脅かされている子供達を支援することを目的としていました。そのためユニセフは終戦後の日本にも支援を行い、貧困状態で栄養失調に落ちた子供を救済しました。1953年には設立当初の「国際連合国際児童緊急基金」から「国際連合児童基金」に名称を変更しましたが、略称のUNICEFは変わっていません。

人道上の危機、武力紛争や自然災害などに幅広く行ってきた支援は75年を迎え、今後さらに子供たちへの支援が広がることが期待されます。

日本ユニセフ協会は、世界34の先進国や地域にあるユニセフ協会の1つで、1955年に財団法人として設立されました。2011年には公益財団法人に移行しています。

ユニセフの主な活動内容

ユニセフは7つの分野(保健、HIV/エイズ、水と衛生、栄養、教育、子供の保護、社会へのインクルージョン)で活動をしています。 さらに、災害や紛争が起きた地域への緊急支援やジェンダーの平等、最近はコロナによって苦しむ方に向けた様々な取り組みに挑戦しています。分野ごとの活動内容とSDGsの目標との関係性を確認しましょう。

保健

世界では5歳を迎える前に死んでしまう子供が多く存在しています。特にアフリカでは出生1000人あたり100人以上の子供が5歳までに死んでいると報告されています。アフリカ以外ではインドや南アメリカ大陸、一部地域で出生1000人あたり50人以上の子供が5歳までに命を落としています。命を落としてしまう人数は、年間810万人に及び、その多くが『肺炎』『下痢』『マラリア』によるものです。危機に面した子供や母親を守るためにユニセフはワクチン接種の普及や母乳育児の推進、栄養改善などの支援を行っています。

保健とSDGs
保健と関係するSDGsは目標3『すべての人に福祉と健康を』で、関連するターゲットは3.2です。

3.2 すべての国が、新生児死亡率を少なくとも出生1,000件中12件以下まで減らし、5歳未満の死亡率を少なくとも出生1,000件中25件以下まで減らすことを目指す。

ユニセフの2020年の発表によると新生児死亡率の目標が達成できない国が60ヵ国以上、5歳児未満の死亡率の目標が達成できない国が53ヵ国になります。死亡率の低下には子供が育つ環境改善が必要とされ、2030年までの達成は困難が予想されます。

HIV/エイズ

世界的にエイズ感染者の減少にはユニセフの功績が大きいとされています。ユニセフはエイズに感染せずに誕生し20歳までエイズに感染しない「エイズの世代」の実現を目標としており、この目標達成のために12月1日を世界エイズデーの制定、エイズに関する教育や予防の啓発活動をしています。

エイズとSDGs
エイズと関係するSDGsは目標3『すべての人に福祉と健康を』で、関連するターゲットは3.3です。

3.3 2030年までに、エイズ、結核、マラリア及び顧みられない熱帯病といった伝染病を根絶するとともに肝炎、水系感染症及びその他の感染症に対処する。

ユニセフによると、2019年時点でHIVに感染している人は3800万人、治療薬を受けている人が2540万人の報告があります。年代別にみると14歳までが3%、15歳以上が68%の治療薬摂取率と報告されています。HIVの根絶には特に14歳までの治療薬摂取率の向上が必要不可欠といえます。

水と衛生

日本は綺麗な水に恵まれていますが、世界には汚れた水や環境での生活を強いられる子供たちがいまだ数多く存在し、感染症の拡大の根源になっています。ユニセフはこういった問題に対し、安全な水を得られる設備投資や公衆衛生を高める教育を通して子供たちが綺麗な水や衛生環境で育つように活動しています。

水と衛生とSDGs
水と衛生に関係するSDGsは目標6『安全な水とトイレを世界中に』で、関連するターゲットは6.1、6.2です。

6.1 2030年までに、すべての人々の、安全で安価な飲料水の普遍的かつ平等なアクセスを達成する。

6.2 2030年までに、すべての人々の、適切かつ平等な下水施設・衛生施設へのアクセスを達成し、野外での排泄をなくす。女性及び女子、ならびに脆弱な立場にある人々のニーズに特に注意を払う。

ユニセフによると

  • 22億人が安全に管理された飲み水を使用できない
  • 42億人が安全に管理されたトイレが使用できない
  • 30億人が石鹸や綺麗な水が備わった手洗い設備が自宅にない

との報告があります。

このデータは2017年WHOユニセフが連携調査し2019年に発表した物です。しかし、2020年に発生したコロナは綺麗な水や衛生環境が整っていない地域で重症患者が多くみられ、その地域数は数多くありました。そのためこの目標を達成するためには計り知れない量の課題と年月が求められます。

栄養

先進国では肥満が問題になるものの途上国では栄養失調によって命を落とす子供が多くいます。例え大人にまで無事成長したとしても健康とはいえず、発育阻害などの危機と過ごさなくてはなりません。この問題に対し、ユニセフは飢餓の恐れのある子供に効果の高い栄養治療食の導入などに挑戦しています。

栄養とSDGs
栄養と関係するSDGsは目標2『飢餓をゼロに』で、関連するターゲットは2.1です。

2.1 2030 年まで゙に、飢餓を撲滅し、すべての人々、特に貧困層及び幼児を含む脆弱な立場にある人々が一年中安全かつ栄養のある食料を十分得られるようにする。

ユニセフの調査によると1億4,400万人の子供が発育阻害を抱えながら生きており、世界の5歳未満児人口の21.3%を占めています。1990年時点では世界の5歳未満児人口が2億5,500万人だったことから約30年で1億人の発育阻害を抱える5歳児を減らしています。驚異的なスピードですが、2030年までにさらにスピードをあげる必要があります。

教育

教育を受けた子供が大人になり、さらに豊かな社会を築いていくため、特に子供への教育は欠かせません。そのためユニセフは性別、民族、社会経済的背景などにかかわらず、すべての子どもたちが質の高い教育を受けれるようにするため、教育機会の設置や勉強道具の進呈の支援をしています。

教育とSDGs
教育と関係するSDGsは目標4『質の高い教育をみんなに』で関連するターゲットは4.5です。

4.5 2030年までに、教育におけるジェンダー格差を無くし、障害者、先住⺠及び脆弱な立場にある子どもなど、脆弱層があらゆるレベルの教育や職業訓練に平等にアクセスできるようにする。

ユニセフの調査によると2018年時点、初等教育就学年齢(6~11歳)の子どもたちの8%にあたる約5,900万人が学校に通っていません。さらに中等教育、高等教育と対象年齢をあげると学校に通えない子供の割合が増加します。中でも男子より女子のほうが学校に通えない割合が多く、これは児童婚等の他の問題と絡むため解決が難しくなります。

子供の保護

先進国では家庭内暴力、途上国では環境の悪化により労働力搾取、虐待からの危機に子供たちは迫られています。そういった危機から守るためにユニセフは出生登録をはじめ人身売買の摘発、摘発後のサポートなどを関係各所と連携しています。

具体的には以下のような活動を行っています。

  • 出生登録
  • 児童労働保護
  • 業的性的搾取や女性性器切除の廃止
  • 児童婚の防止
  • 武装化の防止
  • 人身売買の防止
  • 親のケアの代替

子供の保護とSDGs
子供の保護と関係するSDGsは目標は8『働きがいも、経済成長も』で、関連するターゲットは8.7です。

8.7 強制労働を根絶し、現代の奴隷制、人身売買を終らせるための緊急かつ効果的な措置の実施、最悪な形態の児童労働の禁止及び撲滅を確保する。2025年までに児童兵士の募集と使用を含むあらゆる形態の児童労働を撲滅する。

子供の保護を直接明記する目標は数少ないものの、人権や雇用など様々な場面で子供の保護とSDGsは関係してきます。目標に記載されていない場合でも、SDGsと同じような志しで子供の保護を行う必要があります。

社会へのインクルージョン

ユニセフでは社会のインクルージョンもすすめており、『社会へのインクルージョン』とは民族やジェンダー、障がいなどが理由で差別されることなく平等に社会に受け入れられるようにする提言になります。

人権団体、市民社会などと協力し民族や障がいのあるなしに関わらず、子どもたちを普通学級で授業を行えるようなサポートに挑戦をしています。

社会へのインクルージョンとSDGs
社会へのインクルージョンと関係するSDGsは目標5『ジェンダー平等を実現しよう』で関連するターゲットは5.1です。

5.1あらゆる場所におけるすべての女性および女子に対するあらゆる形態の差別を撤廃する。

ユニセフの調査によると障がいのある人は世界中で約6億5,000万人以上と推定されています。保険サービスに入りづらいなど様々な問題があるため、小さな課題から問題意識を抱え具体的な解決策や数値の設定が必要です。

ユニセフと一緒にSDGsに取り組むためには?

ユニセフの活動は世界の人々の支えの上で成り立っています。そこで一人ひとりがユニセフの活動の内容を知り、少しでも協力していくことが重要です、

世界の国やユニセフと一緒にSDGsに取り組むためには以下のような方法があります。

  • 募金
  • ラブウォーク
  • チャリティーバザー(コンサート)

ここでは一つひとつについて紹介していきます。

募金

ユニセフ公式サイトから募金することで、間接的にSDGsへの参加できますが、普通の募金だけではなく「ハンドインハンド」と呼ばれる募金もあります。

ハンドインハンドとはユニセフに登録したボランティアが一般の方にユニセフ募金を呼びかけるキャンペーンです。

11~12月をキャンペーン期間とし、全国各地で募金を募っています。また近年のコロナウイルスの影響を鑑み、オンラインでのハンドインハンドも行っています。

https://www.unicef.or.jp/cooperate/handinhand/

ラブウォーク

ラブウォークとは自身がイベントの主催者になり、歩きながら“健康づくり”をするとともに参加者の募金を開発途上国の子ども達に当てるイベントになります。SDGsファンイベントとしての活用もできるため、企業や団体などで気軽にSDGsに取り組むことが出来ます。

詳しい条件は以下です。

・一年中いつでも、何度でも開催できます。20名以上の参加者が必要。
・どこでも開催可能
・参加者一人につき最低200円以上を募金として設定
・開催者には事前にラブウォーク実施の手引き等がわたされます。

https://www.unicef.or.jp/cooperate/coop_lovewalk.html

h3チャリティーバザー(コンサート)
各地域においてユニセフ主催のチャリティーバザーやチャリティーコンサートを開催しています。会場には募金スペースやユニセフを紹介するスペースが設置されるなど楽しみながらユニセフが取り組むSDGsの取り組みに参加できます。

まとめ

さて今回はユニセフとSDGsの関係性を紐解いてきました。SDGsは途上国のみの問題ではなく、先進国でも見て見ぬふりしてきた問題などを目標にしています。そのような問題をユニセフは解決に挑戦しています。ボランティアや募金などで協力ができるので興味のある方はいかがでしょうか?

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