SDGs6私たちにできること5選|日本と世界の水問題への取り組みも解説

#SDGs目標6#再利用#活動 2022.11.29

この記事をSNSでシェア!

 

途上国では水不足や水の汚染、劣悪な衛生環境により、多くの人々が命を落としています。

しかし、「世界の深刻な水問題についてなかなかイメージできない」「自分は何ができるか分からない」と思われる方も多いのではないでしょうか。

この記事では、SDGs6「安全な水とトイレを世界中に」について掘り下げ、私たちができることや、日本や世界の取り組みについて解説していきます。

【この記事で分かること】
※クリックするとジャンプします

SDGs目標6「安全な水とトイレを世界中に」の概要

蛇口の画像

私たちが手洗いやトイレ等で水を当たり前のように使用している一方で、世界では好きな時に安全な水を使用できない国が存在します。

整った水道設備により得られる水は「安全に管理された水」といい、このような水を使用できない人は世界で約20億人にのぼり、安全に管理されたトイレを使用できない人は約42億人です。

安全に管理された水:自宅にあり、必要な時に入手でき、排泄物や化学物質によって汚染されていない、改善された水源から得られる飲み水。

水は人の生活と安全に関わる重要な要素です。そのためSDGsの目標6では、世界中の人々に安全な水とトイレを提供することを目標に、水質や水不足といった水に関わる課題の解決を目指しています。

SDGs目標6では達成に向けた8個のターゲットが設定されており、ターゲットは1〜6の達成目標とa〜bの実現方法で構成されています。

6.1 2030年までに、すべての人々の、安全で安価な飲料水の普遍的かつ衡平なアクセスを達成する。
6.2 2030年までに、すべての人々の、適切かつ平等な下水施設・衛生施設へのアクセスを達成し、野外での排泄をなくす。女性及び女児、ならびに脆弱な立場にある人々のニーズに特に注意を払う。
6.3 2030年までに、汚染の減少、投棄の廃絶と有害な化学物・物質の放出の最小化、未処理の排水の割合半減及び再生利用と安全な再利用の世界的規模で大幅に増加させることにより、水質を改善する。
6.4 2030年までに、全セクターにおいて水利用の効率を大幅に改善し、淡水の持続可能な採取及び供給を確保し水不足に対処するとともに、水不足に悩む人々の数を大幅に減少させる。
6.5 2030年までに、国境を越えた適切な協力を含む、あらゆるレベルでの統合水資源管理を実施する。
6.6 2020年までに、山地、森林、湿地、河川、帯水層、湖沼を含む水に関連する生態系の保護・回復を行う。
6.a 2030年までに、集水、海水淡水化、水の効率的利用、排水処理、リサイクル・再利用技術を含む開発途上国における水と衛生分野での活動と計画を対象とした国際協力と能力構築支援を拡大する。
6.b 水と衛生の管理向上における地域コミュニティの参加を支援・強化する。

安全な水に関する世界の現状と問題点

世界地図を見つめる人々

水道設備が整っている国とそうでない国とではどのような違いが生まれるのでしょうか。続いて、安全な水に関する世界の現状と問題点について紹介します。

途上国では水不足が深刻化している

途上国の多くでは、家事や労働の行えない子ども達が生活に必要な水を汲んでいます。

しかし、アフリカ諸国では330万人を超える子ども達が水を汲んでいるものの、水源の多くは川や池といった浄水処理が充分にされていない場所であるため、飲用には適しません。

加えて世界的な人口増加や気候変動による影響が水不足を加速させています。

世界の4人に1人が安全に管理された水を使用できていない

世界の約20億人はいまだに安全に管理された水を使用できておらず、このうち1億2200万人は河川や用水路など地表から得られる水(地表水)を未処理のまま使用しています。

泥や細菌が入っている水など、安全ではない水を使った手洗いや食事への利用は免疫力を低下させ、下痢や感染症といった様々な健康被害を招きます。

毎日5000人もの子どもたちが不衛生な水を飲み命を落としている

安全に管理された水やトイレが不足している場合、不衛生な水を使用しなければいけません。しかし、結果的に毎日約5000人もの子ども達が命を落としています。

水は生活を支える存在です。そのため、安心して使用できる水を供給することは細菌による健康リスクを予防し、多くの命を救うことに繋がります。

世界の約半数が安全に管理されたトイレを使用できていない

安全に管理されたトイレを使用できていない人は世界で約42億人であり、その数は世界人口の半分に相当します。

安全に管理されたトイレ:排泄物が他と接触しないように分けられている、あるいは、別の場所に運ばれて安全で衛生的に処理される設備を備えており、他の世帯と共有していない、改善された衛生施設(トイレ)。

また排せつ物が適切に処理されない場所は衛生的でないため、切り傷を通して細菌が体内に入るなど、住民の健康面に様々なリスクがあります。

世界の水問題に対して私たちにできること5選

ガラスでできた地球儀

世界の水問題に対し、私たちにできることは何でしょうか。この章では、個人でできる取り組みについて紹介します。

①洗濯・トイレなど水の無駄遣いを減らす

洗濯の回数を減らす、またトイレの水の量を調節するなど、生活の中での「節水」はSDGs6目標達成に向けた第一歩です。

当たり前のように使っている水も、国と地域によっては命を救う存在です。蛇口から出る水を無駄にせず大切に使うことで、水問題に対する意識を持ち続けることができます。

②調理器具や食器は油や汚れを拭てから洗う

調理器具や食器に付着した油汚れをそのまま流すと川や海の水質汚染につながります。

動植物性の油は微生物による分解が遅いため、分解しきれない油は川や海へ流れてしまいます。そのため油汚れは一度キッチンペーパーで拭き取るなど、洗う前に工夫を加えることで水質の保存に貢献できます。

③お風呂の残り湯を有効活用する

お風呂の残り湯を活用することで、節水になります。

残り湯は植物へ与える水、掃除、洗濯等で再利用できます。しかし、残り湯は時間が経つにつれて雑菌が繁殖してしまうため、洗濯に利用する際にはなるべく早い方が良いでしょう。

④石けんや洗剤を使いすぎない

石鹸や洗剤を大量に流すと水質汚染につながります。

川や海へ流れた石鹼カスは酸化を行う際に水中の酸素を消費してしまい、洗剤に含まれる界面活性剤は魚などの生物に影響を及ぼすからです。

環境に配慮した洗剤を使ったり、石けんや洗剤を使いすぎないようにしたりすることが大切です。

⑤世界のSDGs目標6に関する現状を知る

SDGsに関する情報発信を行うSNSアカウントのフォローなど、身近な場所から情報を受け取り世界の現状を知ることで、私たちが次に取り組むべき行動が見えてきます。

環境に優しい商品や技術の開発など、状況は絶えず変化していきます。世界のSDGs目標6に関わる様々な情報を確認することで、私たちにできる選択肢を増やすことができます。

日本の取り組み事例3選

富士山の画像

この章では、日本の取り組みについて紹介します。

株式会社LIXIL|みんなにトイレをプロジェクト

株式会社LIXILではトイレを始めとする衛生ソリューションの展開や、節水につながる製品・サービスの開発から、SDGsの目標6達成に貢献しています。

2017年・2018年には、LIXILのシャワートイレ一体型便器の購入1台につき、開発途上国へ簡易式トイレシステム「SATO」を1台寄付する「みんなにトイレをプロジェクト」を実施しました。この取り組みはSDGs6のターゲット2の解決に繋がっています。

6.2 2030年までに、すべての人々の、適切かつ平等な下水施設・衛生施設へのアクセスを達成し、野外での排泄をなくす。女性及び女児、ならびに脆弱な立場にある人々のニーズに特に注意を払う。

サントリーホールディングス株式会社|水のサステナビリティ

山々から川が流れる画像

「水と生きる」をモットーに掲げるサントリーでは、子ども達に水の大切さを教える「水育」や野鳥保護の重要性を社会と共有する「愛鳥活動」など、森を守る活動を通して自然環境の保全を行っています。

環境保全の他にも、工場で使用する水の節約や厳しい自主基準による排水管理などから自然界における水の循環、「水のサステナビリティ」に貢献しています。

コカ・コーラ ボトラーズジャパン株式会社|売上の一部を森林保全活動に寄付

水の注がれたガラスのコップ

コカ・コーラ ボトラーズジャパン株式会社では、工場で使用する水を「製造に使用した水」と「製品に使用した水」の2つに分類し、「製造に使用した水」は循環利用を行った後に適正に処理した上で河川へ放流し、「製品に使用した水」は植林などの水源の保全活動を通じて自然へ還元しています。

また最新技術の導入を行い、使用する水の削減および再利用に取り組んでいる他、「い・ろ・は・す」の売上の一部を森林保全活動に寄付するなど、継続的な改良・工夫を通して環境保全に貢献しています。

海外の取り組み事例2選

窓越しに見る海の画像

この章では海外の取り組み事例について紹介します。

ウォーターエイド|解決策の提供

水と衛生分野を専門とする国際NGO「ウォーターエイド」では、清潔な水とトイレを必要とする地域に対し、解決に必要な技術や知識を提供する取り組みを世界34ヵ国で実施しています。

水やトイレが長期的に使用できる体制を整えるため、経済的な支援だけでなく政府や自治体の能力向上を図るほか、住民全体がプロジェクトに関わるよう働きかけることで人材育成を行うなど、地域が抱える根本的な課題に寄り添った活動を行っています。

株式会社ピリカ|ゴミの回収・調査サービスの提供

株式会社ピリカでは、様々な環境問題を科学技術の力で克服・解決することに挑戦しています。

SNSを活用したごみ拾いアプリ「ピリカ」を始め、動画の解析からポイ捨ての分布を調査する「タカノメ」、採取したマイクロプラスチックから製品の流出経路を推定する「アルバトロス」、他にも顧客の要望に併せた調査やゴミの再資源化などの「コンサルティング事業」等のサービスを提供しています。

まとめ

今回はSDGsの目標6「安全な水とトイレを世界中に」について紹介しました。

私たちの暮らしの中で、安全に管理された水やトイレの存在は当たり前になっています。一方で不衛生な環境で危険な水を使用している人たちがいます。

必要としている人へ必要な設備が届くように、今の私たちにできることは日常の中にも多くあります。こまめな節水や環境に配慮した製品の使用など、身近な取り組みから始めて見ましょう。

また企業による取り組みについても同時に調べてみると、よりSDGs6の達成に向けた工夫や知識と出会えます。

この記事をSNSでシェア!

  • ランキング

    新着記事

    アシックスの新しいランニングシューズNIMBUS MIRAI(ニンバスミライ)

    SDGsの基礎知識

    食品ロスとは?原因や日本と世界の現状、家庭でできる対策を紹介

    もっとみる

    おすすめ

    SDGs14の取り組み事例4選|私たちにできる身近な取り組みも紹介