今となっては企業が当然のように意識すべき風潮にあるSDGsですが、これほど社会に浸透することを予測できていたでしょうか?
企業のSDGsへの取り組みは社会問題にどのように向き合っているかを示し、顧客獲得に大きく貢献します。さらにSDGsに関連する認証制度を活用することで他企業と違いを作ることができます。
そこで今回はSDGsに関する認証制度について紹介していきます。
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SDGsの認証制度とは
認証制度とは、企業が製品やサービスを提供する際に、そのサービス・製品自体、または製造や運搬の過程に関して、その品質を保証したり、その過程が倫理面で問題なく行われているかを保証するものです。
多くの場合、製品広告や企業広告に認証エンブレムやロゴを貼ることで、消費者、投資家やその他のビジネス・パートナーに対してアピールできます。
引用元:他企業と差をつける!SDGsの認証制度6選 | トークンエクスプレス株式会社 (token-express.com)
ASC認証
ASC認証)とは、水産養殖管理協議会(ASC)が管理しているもので、水産物の養殖に関する国際認証になります。
ASCは業界で最も厳しい基準を設けているとされており、養殖面では水質、飼料、病気の予防、動物福祉などを雇用面では労働者の公正な待遇と給与、地域と良好な関係などの指標をクリアしたもののみがASC認証を取得することができます。
日本では宮城県産のカキや養殖ブリの会社が多数認証を獲得しており、宮城県産のカキは2016年に半数以上がASC認証をクリアしたものが出荷されたと発表されています。
FSC認証
FSC認証は、森林会議協議会(FSC)が管理している、森林の責任ある管理を目的とした認証システムで、この認証マークは持続可能な林産物の調達を行っていることを意味します。
FSC認証を獲得するためには10の原則と70の基準を満たす必要があり、環境への負荷や先住民への配慮などが盛り込まれています。
日本では浜松市の有明体操競技場の外装にFSC認証の木材が採用されていたり、紙ストローにも使われるなどFSCの活動の普及が進んでいます。
国際フェアトレード認証
国際フェアトレード認証とは、開発途上国における農業従事者が適正な労働条件・価格で取引ができるようにする認証制度であり、世界で最も認知されている倫理的ラベルの一つになります。
このマークはチョコレートや砂糖、コットンなどに適用されており、マークがある製品は全ての取引が追跡可能になります。
認証を取得している国内企業は数多く、2021年時点で114社にもなります。
引用元:https://www.fairtrade-jp.org/about_fairtrade/intl_license.php
MSC認証
MSC認証(Marine Stewardship Council;海洋管理協議会)とは、海洋管理協議会(MSC)の管理のもと、エコラベルと漁業認証プログラムを用いて持続可能な漁業活動を推進、世界の海の健全性に貢献する事を目的とした認証システムになります。
MSCは世界中の水産物を対象とし、独立した専門家による18ヵ月にも及ぶ審査をもって認証を獲得します。
またMSC は世界水産物持続可能性イニシアチブ(GSSI)に承認された唯一の国際的な水産物ラベリング制度である事も魅力のひとつになります。
*世界水産物持続可能性イニシアチブ(GSSI)とは安心して水産物の供給と販促を目的に水産サプライチェーンのプレイヤー、NGO、政府、政府間組織と数多の専門家によって構成される非競争組織になります。
レインフォレスト・アライアンス認証
レインフォレスト・アライアンス認証とは森林保護を行い、農民や森林コミュニティの生活向上や気候変動に対応しようとする認証システムになります。
森林や土壌、水資源の保全、労働環境の向上など数多くの基準を満たした農園にのみ「レインフォレスト・アライアンス認証」が与えられ、レインフォレスト・アライアンス認証農園から供給された原料を使用した製品には、レインフォレスト・アライアンス認証マークを使用することができます。
日本でも馴染み深い世界NO1紅茶ブランドのリプトンでもこの認証マークがついた原料を使っています。
地域独自のSDGs認証制度
国際的な認証制度は取得することができればSDGsの取り組みを大きくアピールすることができますが、厳しい審査をクリアしなくてはならず取得は容易ではありません。
しかし、身近な場所では地方自治体がSDGs認証制度を実施している事があります。国際認証はハードルが高すぎるという方にはこのような制度から挑戦してみるのはいかがでしょうか?
横浜市のSDGs認証制度
横浜市では横浜市SDGs認証制度”Y-SDGs”を実施しています。
この制度は認証制度を活用したSDGsの取り組みを持続可能な経営・投融資判断への活用につなげることを目指しています。
4分野、30項目で審査され、最終的に3つの区分(最上位ランクからsupreme・superior・standard)で認証されます。
- 認証制度のメリットとして認証マークを名刺や企業等のHP等に表示。
- 認証事業名や取組内容を、横浜市やヨコハマSDGsデザインセンターでPR。
- ヨコハマSDGsデザインセンターが開催する各種マッチングイベントやセミナー等へ優先参加。
- 「横浜市総合評価落札方式」の評価項目において加点対象になる。
- 「よこはまプラス資金」の対象となる。
があげられます。
引用元:https://www.city.yokohama.lg.jp/kurashi/machizukuri-kankyo/ondanka/futurecity/20201130ysdgs.html
埼玉県のSDGs認証制度
埼玉県では『埼玉県SDGsパートナー』を実施しており、埼玉県に所在を置き活動している企業・NPO・個人事業主・大学などが対象になります。
認証条件は以下の2点で
- 環境、社会、経済の3分野において取組及び指標が設定されていること。
- SDGs達成に向け実施し、又は実施する予定である取組の内容が具体的かつ明確であること。
この条件をクリアすることでロゴマークの使用が許可されるなどの特典があります。
引用元:https://www.pref.saitama.lg.jp/a0102/sdgs/saitama-sdgs.html
まとめ
今回はSDGsの認証制度について紹介してきました。
地域規模の認証制度から国際規模の認証まで数多く制定されています。
認証制度をもって他とのSDGs取り組みを差別化しようとする動きが活発になっています。しかし闇雲に認証制度を取得するのではなく、認証制度取得で得られるメリットを十分に考慮するようにしましょう。