持続可能な社会を目指すために国連により策定されたSDGs。規模が大きく、幅広い概念であるため自分にできることがわからないという方も多いのではないでしょうか。
この記事ではSDGs達成のためにできることを目標ごとに個人でできること、小学校〜大学ごとに学生でできること、企業でできることを5つ詳しく紹介していきます。
見出し
- 1 SDGsとは
- 2 【目標ごとに解説】個人でできること
- 2.1 目標1|支援団体への寄付
- 2.2 目標2|子ども食堂の支援
- 2.3 目標3|運動の習慣化・食生活の改善
- 2.4 目標4|学習支援ボランティアに参加する
- 2.5 目標5|夫婦で分担して家事や育児をする
- 2.6 目標6|調理器具・食器は油汚れを拭いてから洗う
- 2.7 目標7|できるだけ公共交通機関を利用する
- 2.8 目標8|積極的にフェアトレード商品を購入する
- 2.9 目標9|インフラが整っていない国へ募金する
- 2.10 目標10|人道支援団体への寄付する
- 2.11 目標11|地域活動へ参加する
- 2.12 目標12|サステナブルな商品を購入する
- 2.13 目標13|無駄な買い物をしない
- 2.14 目標14|エコバッグ、マイボトルを使用する
- 2.15 目標15|使い捨て商品の使用を減らす
- 2.16 目標16|国際的な戦争・紛争に関心をもち、イベントや募金に参加する
- 2.17 目標17|地域の人々や企業と協力して行動を起こす
- 3 【小学校〜大学ごとに紹介】学生でできること
- 4 企業でできること
- 5 まとめ
SDGsとは
SDGsは「Sustainable Development Goals」の略称です。日本語では「持続可能な開発目標」と表されます。
2015年9月の国連サミットで採択されたSDGsは、2016年から2030年までの15年で達成すべき17のゴールと169のターゲットで構成されています。
SDGsでは経済や環境、社会の課題が幅広く取り上げられ、持続可能な社会を築き上げるために、国連が主導してさまざまな取り組みが広がっています。
SDGs CONNECTでは、SDGsの目標ごとに解説記事を公開しています。
▼各目標の詳細は以下の画像をクリック
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【目標ごとに解説】個人でできること
目標1|支援団体への寄付
SDGs目標1「貧困をなくそう」は、世界中のあらゆる場所で、あらゆる形の貧困を終わらせることを目指しています。
まず、個人でできる取り組みには「寄付」があります。私たちにとって最も身近な寄付は、募金ではないでしょうか。「赤い羽根共同募金」をはじめ、さまざまな募金が存在しています。
国内だけではなく海外への支援もできることが特徴です。少額から貧困に苦しむ人々の支援を始められます。NPOやNGO、国際組織など、情報公開をする信頼性の高い支援団体への寄付をしてみませんか。
貧困削減につながる寄付先はこちら▼
日本ユニセフ協会(ユニセフ日本委員会)
AAR Japan [難民を助ける会]:日本生まれの国際NGO
SDGs目標1について詳しくはこちら▼
目標2|子ども食堂の支援
SDGs目標2「飢餓をゼロに」は、飢餓を終わらせ、食料安全保障と栄養改善を実現し、持続可能な農業を促進することを目指しています。食料安全保障とは、「すべての人が、将来にわたって質の良い食料を適正な価格で手に入れられる状態」です。
目標2は主に途上国を対象としています。しかし、日本国内でも7人に1人の子どもが貧困状態にあるといわれ、毎日、十分な食事をとれない子どもは少なくありません。日本における「子どもの貧困」とは「相対的貧困」と呼ばれ、経済的な困窮を背景に、教育や体験の機会が乏しく、社会から孤立しやすいといわれます。
そこで、子ども食堂の支援という形で、貧困に苦しむ子どもたちの助けになることができます。「子ども食堂」とは、子供が1人でもいける無料または定額の食堂です。子どもたちが家庭の経済状況に関わらず、未来への希望をもち、自立する力を伸ばすために、全国各地で取り組みが進んでいます。
食事提供から、孤食の解消、地元食材による食育、地域交流の場づくりなど、さまざまな取り組みがされています。国内の「子どもの貧困」を改善する選択肢の一つとして、子ども食堂への支援をはじめてみませんか。
引用:こども食堂について
SDGs2について詳しくはこちらから▼
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目標3|運動の習慣化・食生活の改善
SDGs目標3「すべての人に健康と福祉を」とは、母子保健を増進し、主要な感染症の流行に終止符を打つこと、またあらゆる年齢の人々の健康と福祉を確保することを目指しています。
実は途上国だけではなく、先進国の医療や福祉にも課題があります。その一つが「成人の運動不足」です。2020年時点で日本では成人の35.5%、つまり3分の1が運動不足という状況にありました。座ったまま過ごす生活が定着し、車での通勤やオフィスワークが増えて体を動かす機会が減っているからです。
運動不足は動脈硬化の原因となる脂質異常症・高血圧・糖尿病などと深い関わりがあります。そのため、運動不足が続くと、心筋梗塞や脳梗塞などを引き起こす可能性が高まります。
日本の医療体制・保険制度は恵まれた現状ですが、今後、全体的な人口減少や高齢化の進展によって、医療体制が保てなくなることも考えられます。特に、2025年は団塊の世代(日本で第一次ベビーブームが起きた時期に生まれた世代)が75歳以上を迎える年であり、高齢者人口と社会保障給付費の増加により、医療制度の持続可能性が懸念されています。
一人ひとりが日頃から運動を習慣化したり、バランスの取れた食事をとることが、日本の医療・福祉体制を守りつつ、目標3を達成することにつながります。
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目標4|学習支援ボランティアに参加する
SDGs目標4「質の高い教育をみんなに」は、誰もが公平に、良い教育を受けられるように、また一生にわたって学習できる機会を広めることを目指しています。
学習支援は、さまざまな地域で必要とされています。家庭環境や経済的理由で学校や塾に行けなかったり、学習サポートを必要としたりする子どもたちは少なくないからです。
そこで、子どもや教育に関する支援を始めるには、「学習支援ボランティア」という選択肢があります。例えば、フリースクールにおいて、小学生から高校生まで不登校になっていたり、外国籍で学校の勉強についていけなかったりする子どもたちに対する学習支援です。大学生や社会人ボランティアなど多様な人がサポートしており、子どもの居場所としての役割も果たしています。
他にも、難民の子どもたち向けの学習支援など学習支援ボランティアのあり方はさまざまです。最近は子ども食堂での学習支援も行われています。
(引用:学習支援ボランティアとは・活動内容・参加方法・募集団体を解説)
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目標5|夫婦で分担して家事や育児をする
SDGs目標5「ジェンダー平等を実現しよう」は、性別を理由にした差別をなくすことを目指しています。ジェンダー平等は、SDGsの達成を目指す上で、日本がまず目を向けなければならない課題です。
例えば、「家庭を守るのが女性の仕事」という考え方には文化的な性別、つまりジェンダーが現れています。自身の家庭を振り返ってみてください。女性は、家事や育児、介護の負担が夫よりも重くなって当然だというような考え方は、ジェンダー不平等と呼ばれます。
家事や育児を分担して行う対等なパートナーシップは、ジェンダー平等の達成のみならず、良い夫婦関係にもつながります。全ての家事をノートに書き出してみるなど、少しずつ夫婦で家事を手分けしてみてはいかがでしょうか。
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目標6|調理器具・食器は油汚れを拭いてから洗う
SDGs目標6「安全な水とトイレを世界中に」は、すべての人が水と衛生設備を利用できるようにすることを目指しています。
家庭で使われる動植物油は、生物などに影響を及ぼすことが懸念されます。微生物により分解しきれない油が川や海で酸化されることがあるからです。また、腐敗して悪臭を発生させたり、家庭の排水溝や下水道管を詰まらせたりする原因にもなります。
油で水を汚さないために、調理器具や食器を洗う前に油汚れを拭き取ることを心がけてみてください。
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目標7|できるだけ公共交通機関を利用する
SDGs目標7「エネルギーをみんなに、そしてクリーンに」は、地球上のエネルギー問題の解決を目指しています。
地球温暖化の大きな要因であるCO2(二酸化炭素)。中でも、私たちの家庭から排出されるCO2排出量は年々増加しており、そのうち、通勤・通学・買い物・旅行といった「移動」に伴う排出量が約2割(1世帯当たり)を占めています。
一方、自家用車と比べてバスや鉄道などの公共交通機関は、一人当たりの二酸化炭素排出量が少なく、環境への負荷が小さい乗り物です。
外出の際は、自家用車ではなく公共交通機関の積極的な利用がCO2排出量の削減、省エネルギーなど、環境にやさしいライフスタイルの実践になります。鉄道やバスなどの公共交通機関を積極的に利用してみませんか。
SDGs目標7について詳しくはこちら▼
目標8|積極的にフェアトレード商品を購入する
目標8「働きがいも経済成長も」とは、包摂的で持続可能な経済成長と、すべての人々の完全かつ生産的な雇用と働きがいのある人間らしい雇用(ディーセント・ワーク)を促進することを目指しています。
数百円で売られている服を見たり、購入したりしたことはありませんか?実は、安くて便利な商品には、途上国と先進国間の不平等な貿易が関係しています。途上国の人々は長時間、劣悪な環境で働かされていたり、健康被害に苦しんでいたりと、安い労働力として搾取されているのです。また家族の生活を支えるために、子どもたちも働かざるをえない状況もあります。
この不平等を解消し、労働や生産される製品に見合う適正な価格で、継続的に取引する仕組みが「フェアトレード」です。フェアトレード商品を積極的に購入することによって、途上国の人々の生活・労働環境を改善し、適正な雇用を守ることができます。コーヒーやチョコレートなど、フェアトレード商品を積極的に購入してみましょう。
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目標9|インフラが整っていない国へ募金する
SDGs目標9「産業と技術の基盤をつくろう」とは、強靭(レジリエント)なインフラ構築、包摂的かつ持続可能な都市及び人間居住を実現することを目指しています。
多くの途上国ではインフラ面での整備が大幅に遅れています。インフラとは、公共施設、ガス、水道、道路、線路、電話、電気など、生活する上で欠かせないものです。
とはいえ、整備には膨大なコストがかかります。安価なインフラを整備しても長期的に利用できない場合があるため、質の高いインフラの整備が必要です。
私たちができるインフラ整備への支援は限られています。そこで、インフラ整備をする支援団体への募金を通して支援をはじめてみませんか。
インフラ整備につながる寄付先はこちら▼
JICA寄付サイト|事業ごとの取り組み
国際NGOワールド・ビジョン・ジャパン
SDGs目標9について詳しくはこちら▼
目標10|人道支援団体への寄付する
SDGs目標10「人や国の不平等をなくそう」とは、各国内および各国間の不平等を是正することを目指しています。女性の人身売買や子ども兵など、途上国における社会の不平等は、子どもを含む人々の将来を奪っています。
人や国の不平等をなくすためにまず私たちにできることは、「人道支援団体への寄付」です。人道支援の活動といっても、紛争や災害、飢餓や難民支援など多岐にわたります。代表的な団体は、ユニセフや国境なき医師団、UNHCR(国連難民支援高等弁務官事務所)などです。
生まれた国や社会の不平等が人々の将来や生活を制限する現状を改善するために、国内外の人道支援団体へ寄付をしてみませんか。
人道支援団体への寄付はこちらから▼
日本赤十字社
セーブ・ザ・チルドレン・ジャパン-子ども支援専門の国際NGO団体
SDGs目標10について詳しくはこちら▼
目標11|地域活動へ参加する
SDGs目標11「住み続けられるまちづくりを」は、誰もが安全に暮らすことができ、災害にも強い、持続可能なまちづくりを目指しています。
地域で行われる活動へ参加することは、地域を深く知れるだけでなく、地域活性化やまちづくりにつながるというメリットがあります。
例えば、地域の清掃活動や防災訓練、募金活動、防犯・見回り活動、ボランティア活動などがあります。他にも、広報誌や回覧板、掲示板、インターネットを通じて情報収集ができます。防災訓練は災害が起こった際に必ず役に立ちますし、募金やボランティアを通じて、地域内外の人々の暮らしをより良くすることができます。
(引用:【SDGs】個人でできる身近な取り組み「住み続けられるまちづくりを」)
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目標12|サステナブルな商品を購入する
SDGs目標12「つくる責任つかう責任」とは、生産者がモノやサービスを作る上で使う資源の無駄を最小限に抑える「つくる責任」と、消費者が生産物を最大限に活用する「つかう責任」を果たすことを目指しています。
現在、地球温暖化などの気候変動による自然災害、環境破壊や資源の危機など地球規模の環境問題は深刻化しています。これらの問題を解決するために環境への負担を減らし、生産から販売、消費、廃棄を通して、環境や経済などに配慮しているものが「サステナブルな商品」です。
今では、タオルや服、タンブラー、靴など、多様な商品が販売されています。容器や包装紙へのプラスチック利用が抑えられていたり、成分や素材に植物由来のものが使われています。また、生産・製造過程でのCO2削減を減らす取り組みが行われているものもあります。
ただ、エコラベルが貼られていたり、パッケージに「環境に優しい」と書かれていたりしても、実際は環境配慮がされていない商品も多く存在します。消費者としてしっかり調べ、見極めることが必要です。
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目標13|無駄な買い物をしない
SDGs13「気候変動に具体的な対策を」とは「気候変動及びその影響を軽減するための緊急対策を講じる」ための目標です。
個人ができる気候変動対策としては、「無駄になるものを買わない」ことです。
服やバック、食べ物などつい衝動買いしてしまうことはありませんか?同じような服があった…。置いておいたら賞味期限が切れてしまった…。私も無駄な買い物をしてしまった経験がたくさんあります。しかし、それらをゴミとして捨てると、生産にかかった多くの資源を無駄にし、余計な二酸化炭素を排出することになるのです。
持っている物や食べ物を買い物前にチェックして予定を立ててから買い物に行ったり、少し高くても長く使えるものを購入したり、少しずつ考えてみてください。
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目標14|エコバッグ、マイボトルを使用する
SDGs目標14「海の豊かさを守ろう」とは、持続可能な開発のために海洋や海洋資源を保全し、持続可能な形で利用することを目指しています。
海に関する大きな問題の一つが、マイクロプラスチックによる海洋汚染です。海に流されたペットボトルが砕けて小さくなり、海の魚や鳥を窒息死させる被害が後を絶ちません。魚を食べる人間のホルモンさえも変化させてしまう深刻な問題です。
この問題へ対処するには、プラスチックの利用量を減らすことが大きな近道です。「リサイクルすれば良い…」と考えがちですが、リサイクルにも多くの燃料が必要ですし、二酸化炭素も大量に排出されます。
海洋問題は回り回って人にも影響が出始めています。マイバッグやマイボトルを持ち歩き、ビニール袋やペットボトルの利用を減らしてみましょう。
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目標15|使い捨て商品の使用を減らす
SDGs目標15「陸の豊かさも守ろう」は、陸の豊かさを守り、砂漠化を防いで、多様な生物が生きられるように大切に使うことを目指しています。
「陸の豊かさ」とは森林や、そこに生育・生息する生き物のことです。使い捨て商品は、プラスチックのみならず、木材も使われています。コンビニでわたされるスプーンやストロー、ホテルの歯ブラシなど、使い捨て商品は大変便利です。
ただ一回の使用のために、多くの資源と燃料がつかわれているのです。使い捨てのものを極力使わないような配慮をし、サステナブルなライフスタイルを実践してみませんか?
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目標16|国際的な戦争・紛争に関心をもち、イベントや募金に参加する
SDGs16「平和と公正をすべての人に」は、平和で誰もが受け入れられ、すべての人が法や制度で守られる社会をつくることを目指しています。
世界では子ども達までもが、戦争に巻き込まれ、心身の傷を負い、時に兵士として戦っています。価値観や文化の違う人間が共存する世界では、平等な平和を実現することは難しいかもしれません。
しかし、誰にでも安心して普通の生活を送る権利はあるのです。汚染水や貧困、紛争で命の危機に瀕する人々のために、イベントなどで情報を得たり、募金活動に参加したり、できることからはじめてみてください。
戦争・紛争で苦しむ人々への寄付はこちらから▼
日本ユニセフ協会(ユニセフ日本委員会)
国境なき医師団
SDGs目標16について詳しくはこちら▼
目標17|地域の人々や企業と協力して行動を起こす
SDGs目標17「パートナーシップで目標を達成しよう」は、「持続可能な開発に向けて実施手段を強化し、グローバルパートナーシップを活性化することを目指しています。
SDGsの取り組みは、個人でできるものもたくさんあります。しかし、パートナーシップには「互いの弱みを補い、効果を高める」というメリットがあります。同じような考えを持つ友人や地域の人と行動を起こすことで、社会への影響力を高めることもできるのです。また企業と一緒になって取り組むことで、社会の仕組みを変えられるかもしれません。
SDGsに関する世界の現状を学び、自分の考えを周りに伝え、パートナーシップの輪を広げて行動してみませんか?
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【小学校〜大学ごとに紹介】学生でできること
小学生でできること
トイレの水は強弱を分けて使う
トイレで水を流す際に大・小で使い分けず、手前の「大」へとレバーを引いてしまう方は少なくありません。
実は、この大・小のレバーを使い分けるだけで効率的に節水できます。1回の洗浄に使用する水の量は、メーカーや機種などにより異なりますが、一般的に、大レバー使用時は8リットル程度、小レバー使用時は6リットル程度の水が流れます。
小学生でも大小のレバーを使い分けることができます。小レバーを使うと1回で2リットルも節電できるため、しっかりと意識してみましょう。
自分が住む地域の魅力を考えてみる
皆さんは自分が住んでいる地域のことをどれぐらい知っていますか?小学生の方は地域の行事に参加したり、近所の人と話したりする機会も多いのではないでしょうか。
SDGsを達成したいと考えた場合、世界のことに目が向きがちですが、実は住んでいる地域、身近な地域でSDGs達成に向けて行動できます。
そこで大切なのは、地域の貴重な資源や人材を活用することです。例えば、近所のお年寄りの方や子ども会の友達と一緒に、森林に木を植えたり、リサイクル活動を始めたりすることも、SDGs達成に向けた大きな一歩です。パートナーシップでの取り組みで少しずつ、地域を変えられます。
まずは、友達や家族と地域の良いところを探したり、考えたりしてみてください。
学校や地域の植林活動に参加してみる
学校や地域で行われる植林活動に参加したことはありますか?
植林活動とは、森林の再生や環境保全を目的に伐採地や山林ではなかった土地に木を植えることです。森林は、動物の住みかを守ったり、地球温暖化の原因である二酸化炭素を吸収したりする役割があります。
焼畑農業や大規模開発による森林の減少は、国際的な問題になっています。現在、国内外の多くの企業や団体が植林活動に取り組んでおり、この活動を通じて、森林を再生し、森林の機能を回復できるのです。
中学生でできること
使わない電化製品の電源はこまめに切る
「待機電力」という言葉を聞いたことはありますか?
「待機電力」とは、コンセントに接続された家電製品が、使わない時でも電力が消費されている状態のことです。資源エネルギー庁の報告によると、1世帯あたり、年間消費電力量のうち、約5.1%を待機電力が占めます。個々の待機電力は小さいですが、家庭内に待機電力を使う家電製品が多いほど、全体ではかなりの消費量になります。
中学生になると家に1人でいる時間が増え、電化製品を使用する機会が増えるのではないでしょうか。待機電力は、ガス温水器やテレビ、エアコン、電話機、DVDレコーダーなどが特に大きいですが、主電源を切ったり、コンセントから抜いたりすることで、大幅に減らせます。使わないときに主電源スイッチをオフにすると約19%も待機電力を削減できるといわれています。
使わない電化製品の電源はこまめに切るようにしましょう。
水を使う時は蛇口をこまめに止める
日本は水が豊かな国です。しかし、水が豊かな国だからこそ、水不足に苦しむ世界の現状を想像することが難しくなっています。そこで、水の無駄遣いを生活の中で少しずつ減らすことにより、水不足の地域で飲み水や農業用水が減ってしまう問題へ働きかけられます。
例えば、歯をみがくときに30秒間水を流しっぱなしにすると、約6リットルの水を使ってしまいます。水のムダを減らすには、洗面や歯みがきの時は水を止めて、洗面器やコップを使うなどの工夫が必要です。また、炊事は水の出を調節して野菜や食器は「ため洗い」することで、1日約80リットルを節水できます。
ぜひ、普段から水を使うときは蛇口をこまめにとめることを意識してみてください。
高校生でできること
水問題・貧困・紛争などSDGsに関する世界の現状を調べる
SDGsは貧困問題から気候変動問題まで、実に幅広い課題を解決しようとしています。SDGs達成に向けて行動を始める前に、まずは多様な問題について、世界の現状と課題を調べて情報を集めてください。
例えば、水問題。世界では、3人に1人が安全な飲料水を利用できず、5人に2人が石けんと水を使った基本的な手洗い設備を持っていません。安全な水を必要な時に使えない人々は、川などの汚れた水を飲んでいますが、これは感染症や病気の大きな原因となっています。
児童労働、子ども兵、環境破壊、難民問題・・・。「知らない、分からない」ではすまされない現実があります。高校生になると、スマートフォンや本など、調べる手段も増えるのではないでしょうか。世界史や現代社会の授業で習った世界情勢や世界の課題を詳しく調べたりすることは、SDGs目標への大きなステップです。
ジェンダー平等について調べる
社会には「女性だから」という理由で、女性が差別を受けたり、社会で活躍する機会が少なかったりする問題が依然として残っています。一方で、性別による差別や不平等をなくそうという考え方が世界的に広まっています。
SDGsの大きな課題であるジェンダー平等。実は、環境問題や貧困問題とも強い関係があります。例えば、非正規雇用で働くなか、1人で子どもを育てていかなければならない女性は非常に多く、経済的に困窮しています。
また、ジェンダー平等はデリケートな問題と思いがちですが、世界には自分の性別のあり方について苦しむ人々が多くいます。SDGsの「誰も取り残さない」には、もちろんLGBTQ(性的マイノリティ)も含まれます。家庭や学校など、何気ない日常にもジェンダー平等について考える機会はたくさんあります。少しづつ考えてみませんか?
SDGsに関するイベントに参加する
SDGs関連のイベントに参加してみることで、大きな気づきや発見が得られることもあります。
地域のイベントから、企業が主催するものまで、さまざまなイベントがオンライン上でも開催されています。そこに登壇するのは、先駆的な取り組みをする個人や企業、組織の方々です。
イベントに参加することで、自分の進路へのヒントや貴重な学びが得られるかもしれません。気になるイベントがあれば、ぜひ積極的に参加してみてください。
大学生でできること
人道支援団体などへ募金する
紛争、自然災害、感染症の蔓延・・・。緊急事態や人道危機の中で、多くの人々が犠牲になっています。紛争や災害によって心身が傷つき、教育を受けられずさまざまな困難に直面する子どもたちも少なくありません。
そのような長期にわたり危険にさらされる人々を救う活動をしているのが人道支援団体です。緊急事態下においても重要な役割を担います。
大学生は自分で稼いだお金を使う選択肢を持っています。紛争や自然災害などで苦しむ人々を直接助けることは難しいですが、募金という支援からはじめてみませんか?
国内外のエネルギー課題を調べ、エネルギーの未来を考える
皆さんは、エネルギー問題と聞いて、何を思い浮かべますか?
日本は石油や石炭など化石燃料の8割以上を外国に頼っています。そのため、戦争や紛争が起こって他国からエネルギーを輸入できなくなった場合、ガスや電気が止まる可能性が高いのです。
また、日本の主力電源である火力発電は、多くの二酸化炭素を排出し、地球温暖化の大きな原因となっています。このように日本はさまざまなエネルギー課題を抱えており、二酸化炭素を出さない再生可能エネルギーへの転換が喫緊の課題です。設備を導入するには、お金も時間もかかるため、すぐに結論が出ないことは当然です。
しかし、数十年後にエネルギー価格の高騰や異常気象で苦しむのは、大学生を含む若い世代です。長期的な視点でエネルギーの課題へ対応する必要があります。まずはエネルギーの課題を調べ、行動できることを考えてみませんか?
積極的に政治へ参加する
SDGsに関して、特に日本が遅れている分野はジェンダー平等、気候変動対策、陸・海の豊かさ、パートナーシップです。
上記の課題は政治において軽視されることが少なくありません。例えば、国会議員に占める女性の割合は1割未満です。
これらの課題を解決するためには、私たち一人ひとりが積極的に政治に関心をもって関わっていくことが大切です。大学生は選挙権をもちはじめます。社会的弱者と呼ばれる人のために自分は何ができるのか・・・。気候変動をとめるにはどうすれば良いのか・・・。投票を通して自分の意見を政治へ届けてみてください。SDGs目標の達成に大きく前進できるはずです。
企業でできること
女性が活躍できる環境を整備する
日本の男女平等は世界に大きく後れをとっています。2021年3月に世界経済フォーラムが発表したジェンダーギャップ指数で、日本は156か国中120位でした。男女の賃金差のみならず、女性管理職や役員数の少なさなどが問題視されています。
今後、企業はジェンダー平等を達成するために、女性の働く環境や制度を整えていく必要があります。まずは、社内の女性の活躍現状や課題を分析し、行動計画や目標を設定しすることが重要です。
オフィスや工場に、省エネ設備や再生可能エネルギーを導入する
太陽光発電や地中熱などの再生可能エネルギーを導入し、工場やオフィスで使う電気を再生可能エネルギーに切り替える動きは地方の企業にも広がっています。
「高い」とされてきた再生可能エネルギーですが、発電コストがさがり、電気料金が安くなる場合があります。
省エネ設備や再生可能エネルギーを利用することで、全体的な二酸化炭素排出量を減らし、環境負荷を抑えながら、光熱費も抑えられるなどのメリットがあります。一度、設備を見直してはいかがでしょうか。
途上国の持続的な開発と成長を支援する
企業が途上国の持続的な開発と成長を支援することも重要です。輸送、建物、情報通信技術におけるインフラを整備することは、人々の基本的な権利と生活を守ることにつながります。
道路や交通システムの未整備は、経済発展を妨げる大きな要因です。人や物資の移動が難しいからです。また、水や衛生設備の不足は、病気や感染症をもたらし、人々の命を危険にさらしています。このように、インフラの未整備は途上国の産業や経済、人々の暮らしに大きく関係しているのです。
企業がインフラへの投資、開発、管理、改修など、インフラライフサイクル全体にわたり、社会的、経済的、環境的影響評価をしながら、途上国の生活の基盤を作ることが不可欠ではないでしょうか。
プラスチックを減らす
2020年7月から、コンビニやスーパーなどでもレジ袋の有料化がスタートし、日本国内でもプラスチックのごみの削減とリサイクルが進んでいます。
プラスチックは非常に軽く、丈夫で密閉性も高いなどメリットはたくさんあります。一方、海洋プラスチック問題によって、海の生態系にも悪影響を及ぼしています。
プラスチック袋を減らすことは、温暖化対策や海洋プラスチック問題の解決の大きな糸口ですが、まだまだ不十分です。プラスチック包装や容器の削減や、プラスチック製品の削減など、持続可能な商品の生産・販売が求められています。
企業がSDGsに取り組むメリットについて詳しくはこちら▼
日本国内のSDGsに関連した取り組みについて詳しくはこちら▼
まとめ
今回は、私たちができるSDGsに関する取り組みをご紹介しました。
多様な課題を扱うSDGs。それゆえ、何からはじめれば良いのか迷う方も多いと思います。ただ、個人から企業単位まで、取り組めるものはたくさんあるのです。
一人ひとりの少しの意識の変化と行動で社会を変えられます。仕事や学校、買い物など日々の生活のなかで、考える機会を増やしてみてください!