カーボンニュートラルとは?意味や具体例、取り組みをわかりやすく解説

#SDGs#パリ協定#持続可能#気候変動#環境#脱炭素(カーボンニュートラル) 2023.10.11

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地球温暖化と気候変動がますます深刻化する中、私たちの未来を守るために必要な重要な目標の一つが「カーボンニュートラル」です。この記事では、カーボンニュートラルの意味から、その必要性、2050年までの目標、課題、そしてカーボンニュートラルに向けた取り組みと解決策について解説していきます。

【この記事で分かること】

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カーボンニュートラルとは

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そもそも「カーボンニュートラル」とは具体的に何を意味するのでしょうか。基本的な定義から確認していきましょう。

カーボンニュートラルの意味-温室効果ガスの排出量を実質ゼロにすること

カーボンニュートラルとは、温室効果ガス(主に二酸化炭素やメタン、窒素酸化物など)の排出量が実質ゼロである状態を指します。この「実質ゼロ」というのは、人間の活動を止めて排出量を完全にゼロにすることではなく、排出した温室効果ガスと同じ量を吸収することによって実質ゼロを目指します。

つまり、人間の社会活動や産業による排出ガスを大気中に放出する一方で、同等の量を吸収または削減することで、地球温暖化に対する影響を最小限に抑えることを意味します。

カーボンニュートラルが必要な理由

カーボンニュートラルが必要な理由はいくつかあります。まず、ここ数十年で地球温暖化による気候変動が進行しており、極端な気象事象や海面上昇などが世界的に生じています。これらの変化は生態系や人間社会に大きな影響を与え、人間の生活と自然環境の両方を脅かしています

さらに、カーボンニュートラルを目指す過程で、エネルギーや資源を効率的に利用することで経済的な利益も生まれます。

なぜ2050年までのカーボンニュートラルを目指しているのか-パリ協定の内容とは

世界中の国々が2050年までのカーボンニュートラル実現を目指す背景では、国際的な気候変動対策の枠組みである「パリ協定」が重要な役割を果たしています。次に、2050年カーボンニュートラルの実現が重要な理由や、パリ協定について解説します。

2050年までのカーボンニュートラルが重要な理由

2050年までにカーボンニュートラルを達成することは、気温上昇を産業革命前の2度未満に抑制するための重要なステップです。国際的に合意されている科学的な研究によれば、2度以上の気温上昇は極端な気象事象や海面上昇などにより人間社会と自然環境に深刻な影響をもたらす可能性が高いため、このシナリオを回避するための目標として2050年カーボンニュートラル実現が設定されています。

パリ協定とは-国際的な気候変動対策の枠組み

パリ協定は、2015年に国際連合気候変動枠組条約の下で採択された国際的な気候変動対策の枠組みです。各参加国は、国ごとに温室効果ガスの削減目標(国別貢献目標またはNDCs)を設定し、定期的に更新することを義務付けられています。

また、数年ごとに行われるグローバル・ストックテイクでは、各国の進捗状況が評価され、新たな取り組みの必要性が検討されます。

さらに、パリ協定は開発途上国への融資や技術支援を通じて、気候変動対策のための資金や技術を提供するための仕組みも提供しています。この協定は、世界中の国々が協力して気候変動に対処し、気温上昇を制御するための枠組みを提供し、持続可能な未来の実現に向けた重要なステップとなっています。

カーボンニュートラルを達成するための具体的な方法と例3選

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省エネや、エネルギーを効率的に利用する-省エネルギーの具体策と効果

省エネルギーの具体策として、建物の断熱改善や効率的な家電製品の使用があります。これにより、エネルギーの無駄を削減し、温室効果ガスの排出を減少させることができます。

再生可能エネルギーを利用する-風力や太陽光の設置を検討

風力や太陽光などの再生可能エネルギー源の利用は、化石燃料に依存せずにエネルギーを生産できる方法です。これにより、温室効果ガスの排出を削減し、持続可能なエネルギー供給を実現します。

森林保全や植林活動を行う-緑化によるCO2吸収の推進

森林は二酸化炭素を吸収し、酸素を放出する重要な役割を果たしています。森林保全や植林活動を推進することで、大気中の二酸化炭素を吸収し、環境保護に貢献します。

カーボンニュートラルの現状と課題

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日本と世界の取り組み状況-2050カーボンニュートラルを目指す国が多い

現在、各国は温室効果ガスの排出量を抑える「カーボンニュートラル」に向けた取り組みを進めています。特にヨーロッパでは、フランスやドイツなどが2050年までにカーボンニュートラルを達成すると宣言しており、具体的な行動計画を公表しています。

日本も同様に、2020年10月に首相から「2050年カーボンニュートラル」の宣言がありました。さらに、エネルギー基本計画での再生可能エネルギーの導入目標引き上げや、カーボンプライシング導入など、脱炭素社会に向けた政策が積極的に推進されています。

しかし、達成への道のりは容易ではありません。化石燃料依存度の高い日本にとっては、大幅なエネルギーシフトが求められます。企業の協力無くしては達成不可能であり、経済と環境の両立が大きな課題となっています。

カーボンニュートラルを達成することの難しさ

カーボンニュートラルに向けた道のりは、複雑化しています。まず、省エネや再エネ、二酸化炭素固定などの技術の改良や開発には多くの費用と時間がかかり、経済的な課題が生じます。

また、カーボンニュートラル達成のために必要な、エネルギー供給や交通手段などのインフラを整備するには社会的な変革が必要であり、これにも多額の費用と時間がかかるとともに、社会全体の合意や協力が必要です。

さらに、気候変動は国境を越える問題であるため、その解決には国際的な協力が不可欠であり、国際社会全体の一致が求められます。

また、個人や企業の意識と行動の変革も必要であり、持続可能なライフスタイルやエネルギーの効率的な利用に対する意識も変えていかなくてはなりません。これらの課題を克服し、地球環境を守りながら経済と社会を発展させていくカーボンニュートラルを実現するためには、包括的な取り組みと協力が不可欠です

カーボンニュートラルがおかしいと言われる理由-企業活動と環境負荷の矛盾と解決への取り組み

議論

カーボンニュートラルを目指す企業の宣言が増えていますが、一部で「カーボンニュートラルがおかしい」という批判があります。その主な理由は、企業の宣言と実際の行動との間に矛盾が見られることがあるからです。

カーボンニュートラル宣言と実際の行動の矛盾は、一部の企業や組織においてしばしば見受けられます。企業が環境に対するコミットメントを公然と表明する一方で、実際の活動において十分な環境対策を講じない「グリーンウォッシュ」や、実際のデータや情報を不透明にし、排出量の正確な計測や透明性を欠く場合があります

企業の環境活動のアピールは、環境保護のための真剣な取り組みというよりも、単なる企業の社会イメージアップや市場での競争力を高めるための手段として利用される場合もあり、信頼性のある環境対策を求める社会にとって懸念の的となっています

カーボンニュートラルへの取り組みの解決策

グリーンウォッシュなどの環境に対する不正手段やを防ぐためには、情報の透明性と誠実な行動が必要不可欠です。企業や組織は、正確なデータの提供と公開を通じて、環境への貢献度を示す必要があります。

また、規制や監視体制を強化し、不正行為に対する厳格な取り締まりを行うことで、環境への損害を最小限に抑えることが可能です。

さらに、社会や監査機関からの監視やフィードバックを積極的に受け入れ、透明性と誠実性を高める努力を継続することが、持続可能な未来を築くための信頼性のある取り組みを実現する鍵となっています。

カーボンニュートラルに向けて私たちができること5選-小中学生もできる取り組み

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身近なエコ活動を行う

身近なエコ活動は、誰もが日常生活に取り入れることができる重要なステップです。電気や水の節約は、エネルギー資源と水資源の節約につながり、温室効果ガスの排出を減らします。また、リサイクル品の使用は廃棄物を減らしたり、資源を有効活用したりできます。

バスや電車を使うことも、交通に伴う環境負荷を減らすことができます。これらのような身近な取り組みは、個人の行動が持続可能な未来に貢献する手助けとなり、環境にやさしいライフスタイルの一部として広まっています。

地元の環境保全活動に参加したり、エコを推進するイベントを開催したりする

地元の環境保全活動への参加やエコを推進するイベントを開くことは、地域社会の持続可能性を高めるために重要な役割を果たします。環境保全活動に参加することで、地元の自然環境を保護し、地域共同体の一員として貢献できます。

また、エコをテーマにしたイベントやワークショップを開催することで、環境への意識を高め、共感を広める機会が提供されます。地元での積極的な参加と協力は、環境問題に対する地道な努力を支え、地域社会全体の環境への取り組みを促進します。

環境に優しい製品を選んだり、環境保護に取り組む企業を応援したりする

環境に優しい製品を選ぶことは、私たちが消費者として環境に対する貢献をする方法の一つです。エコラベルや環境に配慮した認証を持つ製品を選び、購買の際に環境への影響を考えることことも大切です。

また、環境保護に積極的に取り組む企業を応援することもできます。企業の環境イニシアティブやCSR(企業の社会的責任)活動を支援することで、環境を大切にする企業を増やしましょう。

環境問題について学んだり、周りの人に情報を伝えたりする

環境問題について学び、その知識を広めることは、持続可能な未来を築くための鍵です。環境問題に関する情報を積極的に収集し、自身の意識を高めることで、環境への理解が深まります。

また、SNSなどで身近な人々に環境に関する情報を共有し、意識を呼びかけることで、環境への取り組みを広げる手助けになります。環境問題への啓発と教育は、持続可能なライフスタイルの普及に寄与し、社会全体の環境意識を高めます

環境に配慮した政策を推進する政治家を選んだり、環境問題への行政への意見を述べたりする

カーボンニュートラル達成に向けて社会を変えるには、政治的な支援が不可欠です。環境に配慮した政策を推進する政治家を選出し、政策決定において環境保護を優先させることが大切です。

また、市民として環境問題に関する声を上げ、行政に対して環境に優しい政策や規制の制定を促すことができます。

カーボンニュートラルを目指す企業の取り組み事例5選

カーボンニュートラル達成に向けた具体的な取り組みを行っている国内企業を紹介します。

トヨタ自動車株式会社-トヨタ環境チャレンジ2050

自動車は生活に不可欠な存在ですが、同時に自動車から排出される二酸化炭素は地球温暖化の主要な原因の一つです。トヨタは、地球環境に対する長期的な貢献を目指し、「トヨタ環境チャレンジ2050」を策定し、その実行に努力しています。

トヨタは「トヨタ環境チャレンジ2050」の一環として、「ライフサイクルCO2ゼロチャレンジ」と「新車CO2ゼロチャレンジ」を掲げ、車両の製造から使用段階までのライフサイクル全体におけるCO2排出を実質的にゼロにすることを目指しています。また、「工場CO2ゼロチャレンジ」では、トヨタの自社工場におけるCO2排出を完全にゼロにすることを目指しており、太陽光発電などの再生可能エネルギーの活用などにより、2014年から2022年3月までに累計で286,794トンのCO2を削減する成果を上げています。

ENEOSホールディングス-2040年カーボンニュートラルを目指す取り組み

ENEOSホールディングスは、石油製品と金属を取り扱うグループ企業です。日本の石油業界における最大手であり、その地位から脱炭素社会への適応が急務です。2019年に発表した「2040年長期ビジョン」において、ENEOSは2040年までにカーボンニュートラルを達成することを目標に掲げました

また、水素ステーション事業によるモビリティ分野での低炭素化や、製油・生産施設では省エネルギー設備への投資を行い、同時に金属事業において再生可能エネルギーの導入を推進しています。さらに、国内での再生可能エネルギーの主要電源化や、2040年のカーボンニュートラル達成を目指して洋上風力発電事業に参入し、CO2回収・貯留(CCS)プロジェクトにも取り組むなど、積極的な取り組みを展開しています。

パナソニックグループ-Panasonic GREEN IMPACT

パナソニックグループは、「Panasonic GREEN IMPACT」の実現に向け、2030年までに全ての事業会社でのCO2排出の実質ゼロ化を達成し、これを社内外に示すとともに、CO2ゼロの工場運営を推進しています。

特に、「エネルギー」を重要な課題と位置づけ、工場全体で「CO2ゼロモデル工場の促進」、「再生可能エネルギーの利用拡大」、「エネルギーミニマム生産の促進」に取り組んでいます。例えば、タイにある工場では、工場全体のエネルギー消費量を詳細に分析し、エネルギーの可視化と分析システムを導入し、効率向上と品質ロスの削減に力を入れています。

イオン株式会社-全国の店舗での太陽光発電導入

日本の小売業界最大手であるイオングループは、これまでに店舗内に太陽光発電設備を導入し、再生可能エネルギーの購入促進や地域ごとの再エネルギー直接契約の推進など、持続可能なエネルギーへの取り組みを積極的に行ってきました。

さらに、同グループはクレジットカード会員向けに、脱炭素住宅と電気自動車の購入資金を同時に申し込むことができるサービスや、太陽光パネルや蓄電池など、住宅の脱炭素リフォームに必要なアイテムを定額制で提供するサービスなど、多岐にわたるサービスを提供し、カーボンニュートラル達成へ貢献しています。

清水建設-SHIMZ Beyond Zero 2050

清水エコ

画像出典:SHIMZ Beyond Zero 2050

近年、建設業界において注目されているのが、ZEB(ネット・ゼロ・エネルギー・ビルディング)です。ZEBは、省エネルギーと再生可能エネルギーの導入により、建物の年間エネルギー消費量を正味ゼロまたはマイナスにすることを目指す建築物のことを指します。

建物におけるエネルギー消費に伴う温室効果ガス排出を削減するために、省エネルギーと再生可能エネルギーを活用するだけでなく、建設段階から設計においてその削減を組み込むことがZEBの特徴です。清水建設は、2050年のカーボンニュートラル実現を目指し、水素エネルギー利用や洋上風力発電に加えて、新築と改築の両方でZEB化を推進しています。他の多くの建設会社も、ZEBの普及と促進に向けた取り組みを行っています

まとめ

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カーボンニュートラルは、温暖化防止と持続可能な未来の実現に向けた重要な目標です。私たちの日常生活から、企業活動、国際的な取り組みまで、さまざまな段階でカーボンニュートラルを実現するための努力が必要です。2030年や2050年といった目標達成に向けて、個人、コミュニティ、企業、国際社会が協力し、持続可能な地球のために行動を起こすことが不可欠です。

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