《徹底解説》SDGs経営とは SDGs経営の実践ステップまで徹底解説

#ESG#持続可能#環境#経営 2021.09.02

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【更新日:2021年12月17日 by 三浦莉奈

社会全般でSDGsの注目が高まる今、社会の一員である企業もSDGsに積極的に取り組むようになってきました。合わせて、企業経営のあり方も変化し、利益だけを追求するのではなく、将来の世代まで持続的な社会づくりを積極的に企業が増加しています。

この記事では、SDGsの観点から経営の変化がなぜ求められているのか、SDGs視点の経営へのステップまで幅広く解説していきます。

SDGs 経営とは

まず、SDGs経営の定義についてここで確認したいと思います。端的にいうと、SDGs経営とは「企業が自らの事業を通じてSDGsの達成を目指すこと」です。

SDGs経営が求められる3つの理由

続いて、今SDGs経営が求められる主なつの理由について触れていきます。

投資家の経営におけるESG視点への注目の高まり

SDGsの認知度が上がるにつれて、注目を集めているのがESGです。今、企業は投資家からESGの視点で投資するか否かを判断されています。

ESGとは、環境(Environmetnt)・社会(Society)・ガバナンス(Governance)の頭文字からできた言葉です。各項目で見つめ直すべき項目の一例は以下の通りです。

環境 社会 ガバナンス
  1. 水質汚染の改善
  2. 二酸化炭素排出量の削減
  1. 職場での人権対策
  2. ワーク・ライフ・バランスの確保
  3. ダイバーシティ
  1. 社外取締役の活用
  2. リスク管理のための情報開示や法令順守

ESGへの注目の高まりは、企業が本来の目的である利益を追求することだけではなく環境や社会に配慮した経営を求められていることを示しています。

企業は資本の元となる投資家なしでは事業を形にすることができません。投資家からに期待は、SDGs経営が求められている理由の一つになるといえるでしょう。

若い世代のエンゲージメントを高めるため

現代においてSDGs経営が強く求めらる理由として、若い世代(主にZ世代)のSDGsをはじめとした社会課題に対してのモチベーションが高いことがあります。Z世代とは、これを企業は逆手に取り、企業のアピールにつなげます。

主な要因として、SNSのハッシュタグによって社会課題がトレンド性を持つということが挙げられます。具体的な例でいうと、「BlackLivesMatter」のハッシュタグはみなさんの記憶にも新しいのではないでしょうか。

このハッシュタグは2020年5月の発生したアフリカ系アメリカ人のジョージ・フロイドさんが白人の警察官に首を圧迫されて死亡した「ジョージ・フロイド事件」を受け、全米に広がっていった抗議運動がきっかけでできたものです。主にインスタグラムでさまざまな人に引用されました。

このハッシュタグがきっかけとなり、多くの日本人が「世界にいまだに存在する人種差別問題」を認識しました。

このように若者にとって社会問題は一種のトレンドとして頭に残り、身近なものへと変化しています。

また、22卒(2022年度大学卒業)の学生の中には企業の知名度よりSDGsに対する取り組みを重視する傾向があるということがマイナビの調査で明らかになっています。

現代は多くの企業が、このように社会問題に対して関心が高い年代を取り込むためにもSDGs経営も行うことを求められている時代。社会問題を事業に取り入れることによって、企業のイメージアップを図る企業が多くいることが事実です。

(参考):https://news.yahoo.co.jp/articles/dd009577e5df912a032e065cf2f188bd9ca7440b

CSRよりも大きな取り組みが可能

さらに、SDGs経営ではCSRとは規模が異なるということもSDGs経営が求められている理由の一つです。前提としてCSRとは、企業の社会的責任(Company Social Responsibility)のこと。企業の事業とは別のものとして捉えられており、ビジネスではないため余力のある企業のみが取り組むことができるもの。結果として、あくまで社会貢献活動の枠組みの中での取り組みになります。

これに対してSDGs経営では、事業自体を通して社会課題にアプローチするため利益の追求とともに断続的かつさらに多くのリソースを使いながら社会問題の解決に貢献することが可能です。結果、CSRよりもより大きなインパクトを見込むことができます。

(参考):https://sdgs-connect.com/archives/302#SDGsESGs

SDGs経営を実践するための5ステップ

SDGsコンパス(SDGs の企業行動指針)とは

SDGsコンパスとは、SDGs経営を行う際に参考にするべき1つの指標です。
この指標は、「企業がいかにしてSDGsを経営戦略と整合させ、SDGs への貢献を測定し管理していくかに関し、指針を提供する」ために作成されました。

SDGsコンパスは、企業がSDGsを経営に取り込む際に必要な法令を理解していることと基本的な人権の遵守をしていることが前提条件です。

その上で、全5ステップを通して企業は持続可能性をどう発揮するのか?どれくらい発揮するするのか?を調節・決定することが可能となります。

SDGsコンパス実践のための5ステップ

STEP1 SDGsを理解する

初めの段階では、まずSDGsについて理解することを求めています。

ただSDGsについて理解するだけでなく、企業がSDGsを利用する理論的根拠と企業の基本的責任についての理解の必要性も提唱しています。

やはり、SDGsを経営に導入する以上は基本的な知識が欠かせないことがわかります。

STEP2 優先課題を決定する

1つ目のステップは、優先課題を決定すること。皆さんご存知の通り、SDGsには17の項目があります。しかし、全ての項目が企業にとって大切で関連性があるとは限りません。

そこで、企業は17の目標の中でどの目標が企業の負の要素を減らすことに役立つのか?またどの項目が企業の正の要素を増幅させるのかを見極める必要があります。

企業の事業全体を把握し、17の目標の中でフォーカスするべきものを決定するのがこの項目です。

STEP3 目標設定

3つ目のステップは、目標設定です。
経営だけでなく、様々な面で測定可能・目で見てわかる具体的な目標を立てることは重要です。それを提示しているのがこの三つ目のステップで、企業が自分たちの達成度を常に把握すると同時に、事業活動の中での従業員がよりコミットしSDGsへの貢献を体現することを促しています。

STEP4 経営へ統合する

4つ目のステップは、経営へ統合することです。
ここでいう「経営」とは、企業全体と部門のこと。SDGsコンパスは持続可能な目標(SDGs)をこれらに取り入れる重要性について説いています。
企業に関しては、どうしてSDGsに取り組むのかを従業員に機会を設けて解説することや積極的に事業に関わる方に対しての報酬制度を導入することを推奨。一方で、部門に関しては各部門が主体的にSDGsに関して取り組むためにそれに特化したチームの設置を勧めています。

STEP5 報告とコミュニケーションを行う

最後のステップは、報告とコミュニケーションを行うことです。
そもそもSDGsは12番目の目標のなかで各国に対し、「特に大企業や多国籍企業などに対し、持続可能な取組みを導入し、持続可能性に関する情報を定期報告に盛り込むよう奨励すること」を要求。これは、SDGsに関する発信の大切さを意味しているのではないでしょうか。各団体が、自らの取り組みを発表することでより多くの団体が取り組みを始めるきっかけにつながるでしょう。

SDGs経営の事例

ここからは、SDGs経営を行っている企業の取り組みについて触れていきます!

事例① みんな電力株式会社

みんな電力株式会社では「顔の見える電力」をコンセプトに、電気が「どこから」きて私たちが「誰に」お金を払っているのかを明確にすることによって消費者と生産者を繋ぎ、消費者の選択肢を増やすことを可能にしています。

みんな電力株式会社の事業は三つの特徴を持っています。
1つ目は、選んだ発電事業者に消費者が払った基本料金の一部をお届けすることができ、継続すると特典が届く制度。

2つ目は、ブロックチェーンを活用した「電力トレーサビリティ」システムの商用化を世界で初めて実現し、「どの発電所からどれだけの電気を買ったのか」を見える化を可能にしたことによるサービス。

3つ目は、 2019年に開始した神奈川県横浜市の需要家と青森県横浜町の発電事業者を電気で結ぶ「横横プロジェクト」。エネルギーの大消費地である横浜市と再エネが豊富な横浜町との間で、賛同企業等と連携しつつ、電気を通じた地域循環共生圏を構築し脱炭素化の推進と地方の経済活性化を目指すことにつながります。

これらの功績が認められ、みんな電力株式会社は2020年のジャパンSDGsアワードにて、最高賞である「SDGs推進本部長(内閣総理大臣)賞」として表彰されました。
SDGs CONNECTでは以前に、みんな電力株式会社さんにインタビューを行なっているのでこちらの記事をぜひチェックしてみてください!

(画像):https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000028.000050516.html
(参考):https://sdgs-connect.com/archives/9104

事例②ファーストリテイリング

ファーストリテイリングが手がけるアパレルブランド、ユニクロ・GUはいまや全国民が知る一流アパレルショップといっても過言ではありません。
規模からも分かる通り、大きな影響力を持つファーストリテイリングもSDGs経営を行なっている企業です。

ファーストリテイリングが手がける取り組みとして、2006年から始まった全商品リサイクル活動というものがあります。店頭で不要になった服を採集し、それらを国内だけではなく国外の服を必要としている人に届ける制度。その中でも着れなくなった服は廃棄物固形燃料として再利用されており、店舗で取集された服は全てリサイクルされるシステムになっています。

(参考):https://sdgs-connect.com/archives/10762

事例③ANA

日本を代表する航空会社として、日々私たちに空の安全を提供しているANAは、航空会社ならではの方法でSDGs達成に寄与しています。

独自の取り組みの例としてあげられるのが、飛行機の燃料に関する取り組み。ANAでは、燃費効率にすぐれたボーイング787型機や、エアバスA320型機/A321neo型機をはじめとする省燃費機材や改良型エンジンを導入することによって「エコフレンドリーな空の旅」を実現しています。

【作成】SDGs CONNECT 編集部

 

おわりに

SDGsと経営の関わりについて、普段経営に関わることが少ない方にも分かりやすいように解説してきました。「経営」という言葉を聞くと、一部のカリスマ的な人にしか関係ない大規模で知識の必要なことだと思う方がいると思います。しかし、私は大学で経営を学んできて経営とは働く全ての人が学ぶべき学問だと強く感じています。それは、SDGsに関しても同じこと。この記事を読んだ方が少しでもSDGsと身近にある経営の中の取り組みに興味を持っていただけたら嬉しいです。

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