SDGs目標7「エネルギーをみんなにそしてクリーンに」の取り組み事例10選

#エネルギー#エネルギー問題#使い続けられるエネルギー#再生可能エネルギー#脱炭素(カーボンニュートラル) 2022.05.19

この記事をSNSでシェア!

 

SDGs目標7「エネルギーをみんなにそしてクリーンに」への取り組み事例を知ることは、安全で快適なエネルギー環境を実現するためにとても重要です。

そもそもSDGs目標7の取り組み事例を知る前に、なぜ取り組みをする必要があるのか現状についても理解しなければなりません。

そこで今回の記事では、SDGs目標7「エネルギーをみんなにそしてクリーンに」の取り組み事例10選を現状と併せて解説します。

SDGs目標7とは

目標7ロゴ

(画像引用:国連 SDGs報告2021

SDGs目標7「エネルギーをみんなに そしてクリーンに」は地球上のエネルギー問題を解決するための内容です。

「すべての人に手ごろで信頼でき、持続可能かつ近代的なエネルギーを確保する」というテーマのもと5つのターゲットが設定されています。

7.1 2030年までに、安価かつ信頼できる現代的エネルギーサービスへの普遍的アクセスを確保する。
7.2 2030年までに、世界のエネルギーミックスにおける再生可能エネルギーの割合を大幅に拡大させる。
7.3 2030年までに、世界全体のエネルギー効率の改善率を倍増させる。
7.a 2030年までに、再生可能エネルギー、エネルギー効率、および先進的かつ環境負荷の低い化石燃料技術などのクリー
ンエネルギーの研究および技術へのアクセスを促進するための国際協力を強化し、エネルギー関連インフラとクリーン
エネルギー技術への投資を促進する。
7.b 2030年までに、各々の支援プログラムに沿って開発途上国、特に後発開発途上国および小島嶼開発途上国、内陸開発
途上国のすべての人々に現代的で持続可能なエネルギーサービスを供給できるよう、インフラ拡大と技術向上を行う。

参照:エネルギーをみんなに そしてクリーンに

エネルギーをより多くの人に供給するには「省エネ」が必要であり、よりクリーンにするには「再生可能エネルギー」の利用促進が重要となってきます。

▼SDGs目標7について詳しくはこちら

SDGs目標7の現状

7億5900万人は今でも電気を利用することができない

アフリカの子が勉強している様子

2021年でも未だに世界には7億5,900万人が電力を利用できていないと国連は報告しています。そのうちの4分の3はサハラ砂漠以南に住む人々です。

電気を利用できない人々は炭や石油などの化石燃料を燃やして、エネルギーを得ています。
化石燃料の燃焼は温室効果ガスを排出するだけでなく、室内で燃やすことで健康に害を及ぼします。

また電気を利用できない途上国では太陽が沈み暗くなると、仕事も勉強も読書もできません。途上国では街灯の灯りで勉強している子どももいます。

電力の不十分な供給は途上国が貧困から抜け出せない大きな理由の一つです。

再生可能エネルギーの割合は17.5%と少ない

エネルギー最終消費に再生可能エネルギーが占める割合のグラフ

(画像引用:国連 SDGs報告2019

2019年時点での世界のエネルギー最終消費に再生可能エネルギーが占める割合は17.5%であると国連は報告しています。

再生可能エネルギーの導入がなかなか進まない理由には、導入コストが高いことや現状では石油や石炭の方が安定的に供給できるなどが挙げられます。

SDGs目標7の世界の取り組み事例

EUは再生可能エネルギー導入

EUは2021年7月に再生可能エネルギー指令の改正案を発表しました。
最終消費エネルギーに占める再生可能エネルギーの比率の2030年目標を、「少なくとも32%」から、「すくなくとも40%」に引き上げました。

2019年時点でこの再生可能エネルギーの比率は19.7%であり、2030年までにほぼ倍増させる必要があります。

しかし、発電量で見ると、EUの域内で2020年、再生可能エネルギーの発電量は初めて化石燃料を上回りました。
EUでの再生可能エネルギー利用が拡大しているのは明らかです。

さらなる再生可能エネルギーの導入のために、EU各加盟国は、運輸、製造業、建物、冷暖房など分野別に設定された目標値の達成を各業界に義務付ける事が求められています。

デンマークの再生可能エネルギー利用率増加に向けた取り組み

環境先進国である北欧のデンマークは、再生可能エネルギーの利用率が非常に高い国です。
2019年時点では、消費電力に占める再生可能エネルギーの比率は50%に達しており、なかでも風力発電の使用割合は2019年では47%と過去10年で倍増しています。

また、デンマークは2030年までに二酸化炭素排出量を1990年比70%削減、2050年位はカーボン・ニュートラルを達成することを目指しています。

目標を達成する第一歩として、2021年2月、デンマーク政府は世界初の人口の「エネルギー島」建設に合意しました。

これまでは洋上に点在する風力タービンからエネルギーを集約する仕組みがありませんでしたが、これからは洋上風力タービンをエネルギー島につなぎ、再生可能エネルギーを生成することが可能です。さらに再生可能エネルギーの貯蔵も可能になります。

エネルギー島の1つは北海に、もう1つはバルト海にあるBornholm島に建設されます。

エネルギー島が期待されているのはそれだけではありません。
エネルギー島はデンマーク以外の諸外国にも接続され、国を超えた再生可能エネルギーの拠点となるのです。
接続される国にはノルウェー、イギリス、オランダ、ドイツ、ポーランドなどの
国々です。

Googleは消費エネルギーの100%を再生可能エネルギーで賄う

Googleは2017年〜2020年の4年間連続で消費エネルギーの100%を再生可能エネルギーで賄うことに成功しました。

Googleは50以上の再生可能エネルギープロジェクトから電力を購入する契約を結ぶことで、合計で屋上太陽光パネル100万枚分にあたる5.5GWの電力を確保しています。

コロナ禍でオンライン上での取り組みが非常に増加し、Google MeetとDuoによるビデオ通話が1兆分間を超える現代においても、変わらず再生可能エネルギーを調達し続けています。

下にGoogleが行っている再生可能エネルギープロジェクトの一部を紹介します。

  • Google 初の洋上風力発電プロジェクトが強い風力を得られる北海で開始し、データセンターのあるベルギー地域の送電網への電力供給を開始
  • 南米で増加する Google の電力ニーズに対応するため、チリのアントファガスタに新設された太陽光発電所からの電力購入を開始
  • 何百もの公営住宅の屋根にソーラーパネルを設置することで、土地に限りのあるシンガポールでクリーン エネルギーの新たな調達源を確保

参照:100% 再生可能エネルギーを 4 年連続で達成

▼関連記事
【徹底解説】SDGsの世界の取り組み|17の目標別に世界の事例を網羅

SDGs目標7の日本の取り組み事例

企業の取り組み事例

株式会社リコーは2030年度までに100%再生可能エネルギーにシフト

株式会社リコーは2021年3月、2030年度の再生可能エネルギー比率目標を当初の30%から50%に引き上げ、海外の主要拠点では2030年度までに100%再生可能エネルギーにシフトすると掲げています。

また、2016年12月から静岡県御殿場市のリコー環境事業開発センターにおいて、木質バイオマスエネルギーの地産地消モデルの運用を開始しています。
再生可能エネルギーへの切り替えをすることで年間約70klの灯油を削減し、約180tのCO2を削減することに成功しています。
リコーはこのモデルを確立し、木質バイオマスの利活用によるエネルギーの地産地消モデルとしてパッケージ化し、普及促進に努めています。

積水ハウス株式会社は住宅関連でのCO2排出量ゼロを目指す

積水ハウスは「2030年までに事業活動で消費する50%を再生可能エネルギーで賄う」と目標を掲げています。
また「住宅という製品について、材料購入から生産、販売、居住、解体までのライフサイクル全体において、再生可能エネルギーの利用も含めて、CO 排出量をゼロにする」と2050年のチャレンジ目標として掲げています。

積水ハウスのZEH「グリーンファーストゼロ」は、省エネ設備により消費エネルギーを大幅に削減します。
さらに先進の総エネ設備により、必要な消費エネルギーに相当するエネルギーを創り出すことで、エネルギー収支ゼロを目指す住宅です。

(ZEHとはネット・ゼロ・エネルギー・ハウスの略称です。暮らしのエネルギー収支を「ゼロ」にする住まいを指します。)

(創エネとは創エネルギーの略称です。企業や家庭などが自らエネルギーを創り出す考え方・方法のことです。)

参照:積水ハウスのZEH Green First ZERO

東急株式会社グループ全体の100%再生可能エネルギーシフトを目標

東急は2050年までに鉄道事業、不動産その他事業も含め、グループ全体の100%再生可能エネルギーシフトを目標に掲げています。

また、2019年3月から東急世田谷線は、日本初の再生可能エネルギー100%による通勤電車の運行を開始しました。
世田谷線は、東北電力グループが供給する地熱と水力のみで発電された再生可能エネルギーを使用しています。
これにより年間東京ドーム約0.5個分の二酸化炭素の排出を削減しています。

参照:東と西で、未来に向かって走る「SDGsトレイン」

▼関連記事
【完全版】日本のSDGsの現状|政府の取り組みから企業事例まで
SDGsの取り組み事例51選|企業と個人の事例を17のゴール別に徹底網羅

学校の取り組み事例

放課後の教室

拓殖大学はSDGs7達成のための委員会を設置

拓殖大学では「キャンパス環境・省エネ委員会」を設置してSDGs7に貢献しています。

行われている取り組み事例の一例を紹介します。

  • クールビズでの勤務による節電対策
  • 都市ガスによる高効率エンジンで冷暖房を行うGHP(ガスヒートポンプ)エアコンの導入
  • 高効率の照明機器の採用により15%の省エネ
  • 高効率照明機器だけでなく自然採光の利用
  • 人感センサー付きのエスカレーターを導入し、運転時間を70%低減
  • ソーラーシステムの導入

星槎電力プロジェクトSDGsをテーマにプレゼンテーション大会

星槎電力プロジェクトとは、星槎グループ(神奈川県大磯町)に通う学生が進めるSDGs7に貢献する取り組みのことです。

生徒たちは6グループに分かれ、「アフリカと電力・エネルギー」をテーマに3か月の調査学習をし、プレゼンテーション大会を行いました。

担当した教諭の井上氏は「知って・選んで・繋がるを目指して、このプロジェクトをはじめた。まずは、自発的に知るということが今回で出来たのではないかと感じる。次年度以降、この活動をさらに広めていきたい。」と述べています。

星槎電力プロジェクトのようなエネルギーについて学生が考えること自体がSDGs7の達成に不可欠です。

▼関連記事
【徹底解説】学校でできるSDGs|身近な例から教育方法まで解説

個人の取り組み事例

SDGs7達成のために私たちにできることの一つとして、エネルギーを無駄なく使うことが挙げられます。つまり省エネが求められます。
また個人で再生可能事業を支援するのもよいでしょう。

具体的な例を2つ紹介します。

電気をこまめに消す

プラグ

自宅や会社で電気をこまめに消すことは省エネにつながります。
例えば蛍光ランプの点灯時間を1日1時間短縮した場合、年間で4.38kWh節電、1.8kg-CO2削減となり、また約100円の節約にもなります。

他にも以下のようなことに注意することで省エネを達成できます。

  • 長時間つかわないときはプラグを抜いておく
  • エアコンはタイマー機能を使う
  • 照明は照度の調節をして必要最小限の灯かりにする
  • テレビも見ていないときは消す

節約家電を使用する

数々の家電

家電の省エネ化は年々進んでいます。
例えば、冷蔵庫の場合、最新型は10年前のものと比べて約47%もの省エネ効果が見込めます。

まだ使えるからといって、古い家電を使い続けるのではなく、節約家電にシフトすることでSDGs目標7に貢献してはいかがでしょうか。

▼関連記事
【徹底網羅】個人でできるSDGsの取り組み|シーン別に解説

まとめ

今回はSDGs目標7「エネルギーをみんなにそしてクリーンに」の取り組み事例を世界、日本企業、日本の学校、そして個人の分野から一例を紹介しました。

世界ではSDGs7達成のためのさまざまな取り組みが行われていますが、電気を使えない人々が世界にはまだいます。

すべてのひとがより安全かつ手ごろにエネルギーにアクセスできるようになるにはさらなる再生可能エネルギーの利用拡大と省エネが必要です。

この記事をSNSでシェア!

  • ランキング

    新着記事

    アシックスの新しいランニングシューズNIMBUS MIRAI(ニンバスミライ)

    SDGsの基礎知識

    食品ロスとは?原因や日本と世界の現状、家庭でできる対策を紹介

    もっとみる

    おすすめ

    日本のLGBTの割合は人口の約10%-高校生での割合や海外との比較も紹介

    学校のSDGs取り組み事例-小学校から大学までの事例を網羅