近年注目が集まる「再生可能エネルギー」。しかし、発電に使われるエネルギーは化石燃料が主で、再生可能エネルギーの割合は約20%ほどです。
そのため、どんな再生可能エネルギーがあるのか知らない人も多いと思います。今日は再生可能エネルギーの種類、そのメリット・デメリット、さらには導入事例も紹介していきたいと思います。
再生可能エネルギーについてはこちら▼
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再生可能エネルギーとは-再生可能エネルギー一覧
再生可能エネルギーとは、太陽光、風力、地熱、バイオマスなどの自然に発生し、温室効果ガスなどの有害な物質を発生させないエネルギーのことを指します。また、その名の通り、再生が可能なため、有限な温室効果ガスとは異なり、半永久的に使用できるエネルギーのことを指します。
太陽光発電
太陽光エネルギーは、太陽の光を使った発電方法です。シリコン半導体に太陽の光が当たると、電気が発生する現象を利用したエネルギーの精製方法になります。また、日本で太陽光エネルギーは、一番使われている再生可能エネルギーになります。
近年では、一般の家庭で使用されることも多くなってきましたが、導入費用は高く、80万円〜130万円ほどかかります。また、太陽の光を利用するため、発電力が日によって変わることもあります。
しかし、月々の電気代の費用が抑えられることや、地球にやさしいのはもちろんですが、太陽光発電は、スペースを取らずに、屋根や壁などの家のデットスペースを使用することができます。そのため、遮熱効果を得ることができ、夏は涼しく、冬は暖かく、家の中で快適に過ごすことができます。
参考▶︎家庭用太陽光発電のメリット・デメリット 2021年度版
風力発電
風力発電は、風の力で「ブレード」という羽を回し、その回転運動を発電機を通すことによって、電気に変換できるというシステムです。
水陸、昼夜関係なく発電できる事や、大がかりなシステムを作ることができれば発電コストを抑えられることから、市町村を挙げて風力発電を取り入れる所もあります。
実際に、神奈川県横浜市では、市民と「Y(ヨコハマ)-グリーンパートナー」としての企業協賛により、市民・事業者・行政の3者が協働し、ハマウィング(横浜市風力発電所)が建設されました。
ただ、横浜市のように大規模に設置を進められない場合も多いため、今後設備の見直しが必要ではあります。
水力発電
水力発電は、水が高い所から低い所へ流れる時の位置エネルギーを利用して、発電が行われます。水を勢いよく高いところから低い所へ流した先に、発電用のポンプ水車を設置し、その水車の回転で発電機を動かし発電を起こします。
水力発電の一番の魅力は、日本の地形にあった再生可能エネルギーというところです。高低差を利用して水を動かすため、山や起伏が多い日本には最適な発電方法と言えます。デメリットは、大型発電所を建設しなければならないことや、送電コストが高く、費用が大幅にかかることです。それだけでなく、自然環境にも影響が出てしまいます。
京都の嵐山・渡月橋に設置されている照明は、桂川を流れる水の力で生み出されています。この水力発電は大型発電所から精製されているのではなく、小型の水力発電機が橋のたもと近くにあり、そこからこの画像のような電気が作られており、水力発電のデメリットを抑えた発電システムになっています。
バイオマス発電
バイオマス発電は、動植物から作り出される有機性のエネルギー資源を燃焼したり、一度ガス化して燃焼して、発電する仕組みです。
天候に一切左右されない発電方法のため、安定した電気を供給されることが期待されており、今注目されている発電方法の1つです。また、使われなくなった木材や動物の糞尿がエネルギーの元となるため、廃棄物の減少も見込めます。ただ、エネルギー材料が広く分散してしまっているため、材料を集めるための収集、運搬、管理などほかのエネルギーとは違ったデメリットもあります。
福島県会津若松市では、木質バイオマス発電を行っています。会津若松市内にある「株式会社グリーン発電会津」では、木質バイオマスで発電した電気を電力会社へ売電し、電力会社を通じて一般家庭等に電気を供給するサービスを行っています。また、2014年からは市も木質バイオマス発電による電気の供給を5つの市の施設に行っています。
参考▶︎バイオマス発電事業の実施事例
地熱発電
地熱発電は、地熱(マグマ)を利用した発電方法です。地熱エネルギーを使うため、化石燃料のように枯渇することがない上に、昼夜問わずエネルギーを貯められるため、長期間にわたる供給が期待できます。
しかし、地熱発電を行う場所は温泉や公園などの施設と使う場所が同じなため、地元住人や、地域との調節が必要な部分が課題です。
鹿児島県の霧島温泉郷にある霧島国際ホテルでは、元々あった3本の温泉井を活用して、地熱発電を行っています。
太陽熱発電
太陽熱発電は、太陽の熱を利用して発電する方法です。その熱エネルギーを使い、給湯や暖房を使用することができます。
また、エネルギー効率がとても良く、海外の平均的なレベルで約50%のみです。しかし、太陽熱発電は、日本ではまだ普及しておらず、設備を整えることが先決となります。
参考▶︎太陽光発電とは‐楽エネ
雪氷熱利用
雪氷熱利用は、冬に積もった雪や溶けきらない氷を保管し、冷熱源として夏場に利用する方法です。寒い地域では、除雪にかかっていた費用を資源にすることができるため、その点からも注目されています。
しかし、雪が積もらない地域では使えないことや、夏場まで雪や氷を保存するのにコストがかかってしまうというデメリットがあります。
札幌市モエレ沼公園内では、冬場に敷地内に積もった約3,000mの雪を貯雪庫に貯蔵して、6〜9月のガラスのピラミッド館内冷房の冷熱源として利用しています。
参考▶︎ガラスのピラミッド‐モエレ沼公園
温度差熱利用
温度差熱発電は、地下水や河川水、下水などの水源を熱源としたエネルギー利用方法です。夏場は水温の方が高くなる特性を利用し、水が持つ熱をヒートポンプを使って、給湯や冷房を使用することができます。
熱源が身近にあることや、給湯や冷房以外にもエネルギーを使用することが可能です。しかし、初期費用が高いことが今後の課題です。
地中熱利用
地中熱利用とは、浅い地盤中に存在する低温の熱エネルギーの、夏場は外気温度よりも地中温度が低く、冬場は外気温度よりも地中温度が高い特性を活かして、冷暖房を使用するエネルギー精製方法です。しかし、初期費用が高く、設備回収費に時間がかかることがデメリットとして挙げられます。
再生可能エネルギーにまつわる世界・日本の現状
世界の現状
世界全体で見ると、未だに化石燃料の方が使用率が高いですが、再生可能エネルギーの割合も上昇しています。
2018年のエネルギー供給は、石油が31.5%なのに対し、天然ガスは22.8%とあまり差はなくなってきています。
また、再生可能エネルギーの多くは発電に使われており、2019年の電源別で発電量を見ると、天然ガスの割合は23.4%と少なくない数値になっています。また、発電量に占める再生可能エネルギーの割合は26.6%です。
なぜ、近年再生可能エネルギーの導入率が高まっているかというと、各国で再生可能エネルギーへの転換策が取られてきたことが挙げられます。
中国では2006年に「再生可能エネルギー法」が施行され、その後も固定価格買取法や、再生可能エネルギー利用基準が定められました。アメリカでも2009年に「米国再生・再投資法」が導入されました。
また、コロナ禍に入り、再生可能エネルギーの普及率が過去最高に上がっていることから世界では、今後も再生可能エネルギーが広まることが期待されています。
参考▶︎https://www.jetro.go.jp/biz/areareports
日本の現状
では、日本ではどうでしょうか? 2019年の再生可能エネルギー利用率は約21%と世界の水準の22.8%と比べると少し低い数値になります。私たちが使用するエネルギーをより綺麗なものにするためにも、各国に追いつくためにも、再生可能エネルギーの利用率をあげる必要があります。
日本は天然資源が乏しいため、化石燃料を海外から買う必要があります。しかし、化石燃料は今後価格が高騰していくため、再生可能エネルギーを活用することで、環境負担だけでなく、経済負担も減らすことができます。
2020年に菅前総理は、2050年までに日本は「脱炭素社会」を実現することを表明しました。そのため、再生可能エネルギーを導入する企業も多くなってきました。
より再生可能エネルギーを導入するためには、コストを削減する必要があります。
まとめ
今回は今注目を集めている再生可能エネルギーの概要を、それぞれメリットやデメリットも含めて紹介しました。既に知っていたもの、この記事で初めて知ったものもあったと思います。
色々な種類の再生可能エネルギーについて、メリットやデメリットを知っているだけでも、普段エネルギーを使う際の意識が変わっていきます。その意識こそが、再生可能エネルギー使用率をあげることに繋がると思っています。
SDGsコネクトインタビューユニットライター。大学では大きなくくりで性について勉強しています。人の熱量をそのままに記事を発信していきたいです。好きなものはピンクと美しいもの。