カーボンニュートラルへ向けた世界動向-世界が注目している理由から取り組み事例を紹介

#ビジネス#環境#脱炭素(カーボンニュートラル) 2022.06.30

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2021年時点で世界の約125カ国が2050年までにカーボンニュートラルを実現することを表明しました。
日本だけではなく、世界の国や地域がカーボンニュートラル実現に向けた取り組みを加速させていますが、そもそもなぜカーボンニュートラルが注目されているのか、現状はどのようになっているのか知らない人は多いのではないでしょうか。

そこで今回は、カーボンニュートラルへ向けた世界各国の動向を解説し、そもそも世界はなぜカーボンニュートラルに取り組むのかその背景から実現に向けた世界の取り組み事例を紹介します。

▼SDGsについて詳しくはこちら

カーボンニュートラルとは

そもそもなぜ世界各国はカーボンニュートラルに取り組んでいるのか2つの理由

世界各国がカーボンニュートラル実現に向けた取り組みを推進している理由は大きく分けて2つあります。

地球温暖化の対策

まず1つ目は地球温暖化の対策です。

気候変動問題への対応が急がれる現在、世界の約125カ国がカーボンニュートラルの実現に向け動き出しています。自然環境に関わる問題は当然ながら1つの国・地域で解決できるものではありません。そのため2050年までに実現するという共通の目標のもと、国際的な取り組みが必要となっています。

社会経済へのアプローチ

2つ目は、社会経済へのアプローチです。

SDGsの取り組みを意識した活動や、SDGsに対する考え方をレポートにまとめ、社会に発信する企業が増加しています。近年ではESG投資など、環境に配慮した行動が企業評価と投資の判断基準として用いられるようになり、ビジネスにおいても環境への取り組み姿勢は大きな意味を持ち始めました。
そのためカーボンニュートラルに取り組むことは企業の価値を上げ、投資を促し、さらなる成長へと発展させていく可能性を掴む第一歩と言えます。


参考記事:《徹底解説》今注目の脱炭素社会(カーボンニュートラル)とは?|SDGsとの関係も解説
参考記事:《徹底解説》ESG金融とは|メリットから具体的な事例まで網羅

カーボンニュートラルが世界で注目されている背景とは

カーボンニュートラルが注目を集める背景にはやはり地球温暖化があります。
しかし地球温暖化以外にも”カーボンニュートラルへの挑戦が次の成長の原動力につながるから”という理由も見られます。
前章で述べたように、カーボンニュートラルは温暖化対策として貢献できるだけでなく、社会経済へ向けた1つのアプローチとして機能するため、気候変動問題の解決に向けた取り組みを成長の機会と捉える流れが加速しています。


(参考:「カーボンニュートラル」って何ですか?(後編)~なぜ日本は実現を目指しているの?|資源エネルギー庁
関連記事:脱炭素と経済成長の両立は可能か|「カーボンニュートラルとビジネス」イベントレポート

カーボンニュートラルに向けた世界の動向

諸外国それぞれの表明状況

EU|長期戦略ビジョン”A Clean Planet for All”を発表

2018年11月、欧州委員会は、2050年までにカーボンニュートラル実現を目指す長期戦略ビジョン「A clean planet forall」を発表しました。

このビジョンでは具体的なエネルギーミックスの目標は決定されておりません。また削減の道筋には様々なオプションが考えられることから、対策に関わる複数の前提を置いたうえで80%(5つ)、90%(1つ)、100%削減(2つ)となる計8つのシナリオを分析しています。

英国|長期低排出発展戦略“Clean Growth Strategy“を提出

2018年4月、英国は80%目標を前提とした長期低排出発展戦略「Clean Growth Strategy」を国連に提出しました。

この戦略ではエネルギーミックスに対する理解を、可能性のある課題やコストをアセスメントするためのものと示したうえで、一定の前提をおいた3つのシナリオを提示しています。
しかしながら、2050年ネットゼロを追求すべきという気候変動委員会からの勧告を受け、政府は2021年に「2050年ネットゼロの長期低排出発展戦略」を国連に提出するため作業を進めています。


(参考:第1部 第2章 第2節 諸外国における脱炭素化の動向 │ 資源エネルギー庁
(参考:第3回 グリーンイノベーション戦略推進会議(METI/経済産業省)

カーボンニュートラル実現に向けた世界の現状について知りたい

フランス|再エネ・原子力発電が電源の9割

電源の9割を原子力発電や再生可能エネルギーが占めるフランスでは発電によるCO2の排出量が少なく、また非化石電源比の割合は2016年時点で91%(原子力74%、再エネ18%)と高い水準を誇っています。しかし既に高い水準であるため、非化石化を進める余地が限られています。
例えば、原子力発電の比率を74%から50%までに下げつつ非化石電源の比率を増加させた場合、再エネ電源比(2010年以降)の増加率が目標値を下回ってしまいます。

アメリカ|CO2の年間排出量は48億トン

高いエネルギー自給率を誇るアメリカですが、一方でエネルギー起源CO2の年間排出量は48億トンと主要国の中でも最も多い値となっています。
こうした中、アメリカでは再エネによって発電された電気を国が決めた価格で購入する制度「固定価格買取制度(FIT)」の導入を行うなど、非化石電源比率を高める取り組みを推進しています。
(参考:カーボンニュートラルの世界の動向や日本の政策について解説!:https://earthene.com/media/329#point-3)

カーボンニュートラルは世界各国で不都合?矛盾していると感じる理由

エネルギー価格の高騰

化石燃料に頼らない再生可能エネルギーの活躍が急がれていますが、電力の100%を再エネで賄える状況には至っていません。そのなかで増加するエネルギー需要に答え、かつカーボンニュートラルを進めていくことは極めて難しいといえます。

脱炭素と脱原発を掲げているドイツでは、天候による影響と原子力発電の制限によって生じるエネルギー不足を解決するため石炭火力発電を多用しており、かえってCO2の排出量を増加させる結果となりました。

再生可能エネルギーは天候の影響を受けやすいため、風力や太陽光などに恵まれない場合発電量が低下し、停電といった深刻なエネルギー不足を生むこととなります。その場合、足りないエネルギーを補うため天然ガスや石炭といった資源が求められ、資源価格が高騰するという負の連鎖を呼んでしまいます。


(参考:脱炭素政策がもたらした電力危機、解決策は原子力だ(その1)
(参考:カーボンニュートラルとは。日本一分かりやすく変わる生活とその問題点を解説【2022年最新版】 | 株式会社オーミヤ
関連記事:カーボンニュートラル実現のために原発は必要か?-現状から解決法まで徹底解説
関連記事:カーボンニュートラル8つの問題点-矛盾している理由から取り組みを紹介

世界各国のカーボンニュートラルへの取り組み事例2選

イギリス|1.7兆円を支出

2020年11月、イギリスは2030年までに1.7兆円を政府支出として投資する計画を発表しました。これにより5.8兆円の民間投資が誘発され、25万人の雇用が創出されると想定しています。

ドイツ|6兆円の先端技術支援

2020年6月、ドイツ政府は景気刺激策として6兆円の先端技術支援を発表しました。その内8000億円を水素関連技術、3000億円を充電インフラ整備、そして1兆円をグリーンエネルギーの技術開発に充てる予定です。


(参考:2050年脱炭素社会実現を目指す世界の二酸化炭素削減への取り組み
(参考:なぜ世界はカーボンニュートラルを2050年までに実現すべきなのか?| Digima〜出島〜

まとめ

本記事では、カーボンニュートラルが世界的に注目されている理由とその現状について解説しました。

カーボンニュートラルへ向けた世界各国の取り組みや政策は多岐に渡るため、それらすべてを把握することは難しいかと思います。しかし、そもそもや何故といった根本的な部分を深めることは、理解を助ける要素となります。

この記事を通し、カーボンニュートラルの背景または取り組みが伝えられたなら幸いです。不明な点や興味を持った言葉などがありましたら、ぜひ関連記事を覗いてみてください。

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