再生可能エネルギーのメリットデメリット|日本の課題や先進国の取り組みも解説

#SDGs#エネルギー#再生可能エネルギー#持続可能 2022.12.19

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近年注目されている再生可能エネルギーには多くのメリットがあります。しかし、日本は未だに国内の電力発電の約80%を火力発電に頼っていることをみなさんはご存じでしょうか。今回の記事では多くのメリットがある再生可能エネルギーに取り組めていない理由は何なのか、デメリットはあるのか、について紹介します。

【この記事で分かること】
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再生可能エネルギーとは?


近年、再生可能エネルギーという言葉を耳にすることが多くなってきました。
しかし、再生可能エネルギーについてあまり理解できていない方がいるのではないでしょうか。そこで今回は、再生可能エネルギーの特徴や種類について紹介します。

再生可能エネルギーの特徴


再生可能エネルギーの特徴の前に、簡単に再生可能エネルギーについて紹介します。
再生可能エネルギーとは、有限な資源である化石エネルギーとは違い、太陽光や風力、水力等の地球上に常に存在しているエネルギーです。
▼再生可能エネルギーについて詳しくはこちら


再生可能エネルギーには、大きく分けて3つの特徴があります。

1.枯渇しない
2.CO₂が排出されない
3.   常に存在している

1つ目の特徴は、化石燃料では有限のため枯渇してしまうことがあります。しかし、再生可能エネルギーは地球上に太陽光や風がある限り、常にエネルギーが生み出され続けているためです。
2つ目の特徴は、火力発電以外の自然エネルギー発電等の発電方法においては発電時にCO₂が発生しないということです。
3つ目の特徴は、太陽、水、風等が地球上から無くなる可能性は限りなく0に近いということです。そのため、化石エネルギーの様に探す手間も削減することができます。
このように、再生可能エネルギーには化石エネルギーでデメリットになってしまう問題があまりないということが分かります。

再生可能エネルギーのメリット3選


ここまでは、再生可能エネルギーとは?について紹介してきました。しかし、再生可能エネルギーのメリットとはどのようなものがあるのでしょうか。
この章では再生可能エネルギーのメリットデメリットについて紹介します。まず、メリットを3つ紹介します。

環境にやさしい

再生可能エネルギーは、問題視されているCO2等の温室効果ガスの排出を抑制させます。温室効果ガスを抑制させるほか、酸性雨の原因となる物質を化石燃料に頼らないため排出させないことで酸性雨防止にもつながります。

燃料費がかからず枯渇しない

前述でも触れた通り、化石燃料では有限のためいつかは枯渇してしまいます。しかし、再生可能エネルギーは太陽光や風力、太陽熱等の自然の力を利用しているため枯渇することがありません。

日本国内のエネルギー自給率が向上する

化石燃料は日本にはあまりないため、海外からの輸入に頼っています。しかし、再生可能エネルギーは日本でも生み出すことができるためエネルギー自給率が向上することが期待されています。

再生可能エネルギーのデメリット2選

次にデメリットを2つ紹介します。

発電量が不安定

資源が枯渇することがないというメリットの一方、天候、昼夜に左右されやすいという事があります。代表的なものは、太陽光や風力発電等です。天候が崩れているときや夜、風が吹かない日には発電できません。そのため、安定して発電できないというデメリットがあります。

発電設備の導入コストが高い

太陽パネルや風力発電機等の価格が高いため、再生可能エネルギーを生産するための設備投資に多額の費用が必要になるということがあります。また、人件費も高く工事の施工費用がかかります。

代表的な再生可能エネルギーの種類


一概に再生可能エネルギーとはいってもどのような種類があるのでしょうか。ここでは、種類について紹介します。まず再生可能エネルギーは、大きく分けると7種類あります。

  1. 太陽光
  2. 風力
  3. 水力
  4. 地熱
  5. 太陽熱
  6. 大気熱やその他の自然に存在している熱
  7. バイオマス

ここからは、7種類の簡単な紹介とメリットデメリットについて解説します。

太陽光|光エネルギーを電気エネルギーに変換


1つ目の太陽光は、ソーラーパネルを用い、太陽の「光エネルギー」を「電気エネルギー」に変える発電方法です。また、太陽光発電は、事業用、家庭用があります。事業用は、大規模な土地に何台もソーラーパネルが設置してあります。家庭用は、家屋の屋根にソーラーパネルが設置してあるものです。メリットとしては、事業用、家庭用どちらも自家消費部分の電気代が削減できるということです。また、屋根の上に設置すると、直射日光を遮り、屋根の温度上昇を防ぐことができます。そうすることで室内の温度上昇を防ぎ、空調の負荷を下げて電力コストを抑えることができます。次にデメリットは、太陽光発電は天候によっては行えず発電量が減少してしまうということです。

風力|風車の回転エネルギーを電気エネルギーに転換


2つ目の風力は、風で風車を回し、風車の「回転エネルギー」を「電気エネルギー」に変える発電方法のことです。風車の種類は、水平軸風車と垂直軸風車に分けられます。一般的に、風車と聞いて思い浮かぶものは、水平軸風車です。次に、メリットデメリットについて紹介します。先ほどの太陽光発電とは違い、夜も発電できるというのがメリットとして挙げられます。デメリットは、風の状況によって左右され発電量が不安定になるということです。

水力|位置エネルギーで水車を廻し電気エネルギーに転換


3つ目の水力は、高い場所に貯めていた水を低いところに落とす「位置エネルギー」を利用して水車を廻し、発電機を回転させることで「電気エネルギー」を生み出す発電方法です。水力発電には、河川流量をそのまま利用して発電する流れ込み式や、ダムに貯めていた水を放流することで発電する貯水池方式、調整池式、揚水式があります。メリットは、エネルギー変換効率が80%であるということです。今まで紹介した発電の変換効率は太陽光発電で15〜20%、風力発電で25%という中で80%と、ずば抜けて高いということです。デメリットは、ダムが周辺住民や自然環境に影響を与えるということです。ダムを建設することによって広範囲が水没し、その地域に住む人が移住を余儀なくされ、自然環境が破壊されたという問題があります。

地熱|地下にあるマグマの熱エネルギーを利用して発電


4つ目の地熱は、地下にあるマグマの熱エネルギーを利用して発電する方法です。地熱発電には、地下から200℃以上の高温の熱水をくみ上げる場合に適している「フラッシュサイクル」、地中から取り出した水蒸気に熱水がほとんど含まれていない場合には「ドライスチーム」、水蒸気の温度が低くタービンを回す力が得られない場合に用いる「バイナリーサイクル」があります。メリットは、太陽光発電や風力発電とは異なり、地熱発電は天候・昼夜を問わず発電量が安定しているということです。デメリットは、自然や地域の産業を破壊する可能性があります。地熱発電に適しているのは、温泉地等自然に恵まれている場所が多くあります。そのため、自然破壊に繋がる可能性もあります。また、温泉資源を活用するということは温泉産業にも影響が出るため計画進行が難しいという問題があります。

太陽熱|太陽の熱を気力で発電


5つ目の太陽熱は、太陽の光により発生した高温の熱を気力で発電することで電気を生み出す方法です。電気を生み出すのに利用される高温の熱は、鏡やレンズなどで太陽炉に集めることで生まれます。メリットは、夜間でも発電が可能ということです。太陽熱発電の場合は蓄熱をし、夜間でも発電することができます。太陽光発電と比べると太陽光発電は蓄電が困難であり、太陽光がないと発電することができないため、太陽熱の方が有利です。デメリットは、広い土地を必要とするということです。膨大な量のエネルギーを生み出すためには広い土地が必要になります。しかし太陽熱発電は、山地よりも平地の方が向いているため、山地が多い日本にはあまり向いていない方法かもしれません。

温度差熱利用発電|気化熱をエネルギーに転換


6つ目の大気熱やその他の自然に存在している熱は、温度差熱利用、雪氷熱利用、地中熱利用があります。今回は、温度差熱利用発電を紹介します。温度差熱利用発電は、温度が高い熱源を温度が低い冷媒と組み合わせることで、空気が冷やされ気化熱が発生します。この熱をエネルギーに変えるという方法です。メリットは、活用の幅が広いということです。自然界に存在する熱を使うため天候にほとんど左右されずに、安定してエネルギーを得られます。また、温度差熱利用発電により発生させたエネルギーは、寒冷地域で雪を溶かすために使ったり、温室栽培に利用したりすることもできます。デメリットは、かなりのコストがかかるということです。「発電所」のようなレベルの大規模なものは建設工事が大規模となるためです。

バイオマス|バイオマス燃料を使った発電方法


7つ目のバイオマスは、「バイオマス燃料」を燃やして出る水蒸気やガスを使って、タービンを回すことで発電する方法です。バイオマス発電は、木材等を燃やし水を沸騰させ、水蒸気でタービンを回して発電する「直接燃焼方式」、木材などを高温で熱処理にした際に発生するガスを燃料にタービンを回して発電する「熱分解ガス化方式」、下水汚泥や家畜の糞尿を発酵させて「バイオガス」を発生させ、そのバイオガスを燃料にタービンを回して発電する「生物化学的ガス化方式」があります。メリットは、カーボンニュートラルであるということです。バイオマス燃料を燃やして出るCO2は、もともと大気中のCO2を植物が吸収したものなので、CO2の総量は増えないためです。デメリットは、コストがかかります。木質バイオマス発電では、木材を効率よく燃焼させるために乾燥させたり、小さなチップやペレットにカットしたりする必要があり、木材自体の価格に加え、輸送する手間等様々なコストがかかります。

日本の現状と取り組みが進んでいる国


この章では、日本の現状と再生可能エネルギーを進めている国について紹介します。

日本の現状


この章では、今の日本の現状はどのようなものかを紹介します。

世界の再生可能エネルギー発電割合-日本は世界6位

引用:https://www.enecho.meti.go.jp/about/pamphlet/energy2021/007/

経済産業省の資源エネルギー庁のグラフによると、日本の発電導入容量は世界第6位のようです。また、日本では太陽光発電が多いということが分かります。

比較的高い日本の再生可能エネルギー導入コスト

導入コストとしてまず挙げられるものは2つあります。前述した通り物価の高さと人件費の高さにあります。物価の高さは、日本は物価が高いうえに発電に使用するパネル等の価格が、日本と同じ物価水準の国と比較しても高いという問題があります。
そのため、再生可能エネルギーを生産するための設備投資に多額の費用が必要となり、導入コストが上がってしまいます。
そして、人件費です。物価の高さに加え、人件費の高さによって、工事の施工費用が上がり、導入コストが上がることになります。しかし、人件費を削減して発電コストを削減することは、もちろん現実的ではありません。そのため、ワークフローの効率化と抜本的なコスト削減を実現する必要があります。

環境先進国デンマークの取り組み


この章では環境対策先進国として、産業や教育など様々な角度から環境問題に積極的に取り組んでいるデンマークについて紹介します。

風力発電をベースにした再エネ化の取り組み

デンマークは、2017年には消費電力の43,6%が風力発電で賄った国です。また、2030年までに CO2 排出量を 70%削減することを目標とし、再生可能エネルギーの開発を積極的に推進しています。
デンマークの風力発電率が高い第一の理由として考えられるのは、偏西風の影響です。三方を海に囲まれたデンマークの平坦な地形は、強い西風をもたらすため、デンマークの海岸に沿って強く安定した風が吹きます。こうした地形や気候条件が、デンマークで風力発電が発展した大きな理由です。
ヨーロッパでは古くから風車が稼働しており、風をエネルギーとして利用するノウハウが蓄積されています。 この効率的な風力エネルギー生成のノウハウと、コストを低く抑えるための高度な技術を備えた部品メーカーが揃いコストを抑えたことは、デンマークでの風力発電の成長の理由として挙げられています。

SDGs達成ランキングでも世界3位に

引用:https://naruhodosdgs.jp/world-sdgs-top3/

2021年に公開された『Sustainable Development Report 2021』ではデンマークは世界第3位でした。デンマーク等の北欧3ヵ国は2016年からほとんど上位3位を記録しています。

関連記事:SDGs達成状況2022|日本と世界の達成度とSDGs先進国の取り組み

まとめ

今回は、再生可能エネルギーのメリットデメリットについて紹介してきました。
様々な種類の再生可能エネルギーがあるため日本に合わせた発電方法等を模索しエネルギー自給率がさらに上がることを期待しています。
再生可能エネルギーは今後の世界における重要なものとなっているものなので、この記事で少しでも関心が高まればうれしいです。
また、デンマークなどSDGs達成ランキングで行われている取り組みを参考に出来ることから始めてみるのもよいかもしれません。

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