LGBTフレンドリーな企業の取り組み6選-業界別の取り組み事例も紹介

#LGBT#LGBTQ#SDGs#ジェンダー#ダイバーシティ 2023.02.20

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「LGBT」とは、レズビアン、ゲイ、バイセクシュアル、トランスジェンダーという性的マイノリティの頭文字をとった言葉です。

また、「LGBTフレンドリー」とは、LGBTを差別することなく、友好的な関係を築こうとする態度です。性のあり方は人それぞれであり、企業は誰もが安心して働ける環境を作ることが大切です。

では、職場でLGBT当事者はどのような悩みを抱えているのでしょうか。また、LGBTフレンドリーな企業はどのような取り組みを行っているのでしょうか。

この記事では、LGBTフレンドリーな企業の取り組みや事例について、分かりやすく紹介します。

【この記事で分かること】

LGBTフレンドリーとは|LGBT当事者を支援・受け入れる態度や政策  

LGBTQIA+
LGBTフレンドリーとは、LGBT当事者を支援・受け入れる態度や政策があることを指します。具体的には、LGBTコミュニティに対する差別や偏見がないことや、LGBTの権利を尊重し、サポートすることが含まれます。

LGBTフレンドリーな環境であれば、LGBT当事者は自分らしく生きることができるようになり、より包括的で公正な社会を作ることにつながります。

▼LGBTQについて詳しくはこちら

企業がLGBTフレンドリーな取り組みを行うべき3つの理由

タスク
ここまでLGBTフレンドリーとはどういうものなのかについて解説していきました。

続いて、企業がLGBTフレンドリーな取り組みを行うべき3つの理由について紹介していきます。

LGBT当事者が職場で働きづらさを感じているため

LGBT当事者が職場で差別や偏見を受けると、ストレスや不安を感じることがあります。例えば、「職場でプライベートの話をしづらい」「異性愛者として振る舞わなければならない」「相談先がない」などの困り事を抱えています。

そのため、LGBTフレンドリーな職場環境を整備することは、LGBT当事者が安心して働ける環境を作ることにつながります。

関連記事:LGBTが職場で困ること6選-就職活動での悩みや企業の対策事例も紹介

関連記事:LGBTの人が抱えている悩みとは?-お悩み例や相談先も網羅

SOGIハラスメントやアウティングを防ぐため

LGBT当事者は、性的指向や性自認に関連した差別的な嫌がらせである「SOGIハラスメント」や、本人の意に反して他人に自分の性的指向やジェンダー・アイデンティティを明かされる「アウティング」など、直面する問題があります。

SOGIハラスメントは、職場や学校で性的指向や性自認が理由で強制異動や解雇など不利な待遇を強いられ、差別を受けることにより不利益が生じることなどが挙げられます。

アウティングとは、勇気を出してカミングアウトしても、内容を勝手に言いふらされてしまうことで、カミングアウトした相手にだけ知ってほしかったことが周囲に知られてしまうことです。アウティングによって不快な思いをするLGBT当事者は少なくありません。

そこで、LGBTフレンドリーな職場環境を整備することで、このようなSOGIハラスメントやアウティングを防ぐことができます。

ダイバーシティ&インクルージョンの重要性が高まっているため

現代社会において、多様性を尊重し包括的な社会を実現することが、求められています。LGBTフレンドリーな取り組みを行うことは、企業がダイバーシティ&インクルージョン¹の観点からも、より包括的で公正な組織を目指すことができることを示しています。

¹ダイバーシティ&インクルージョン:様々な異なる属性を持つ個人が、組織や社会において平等に扱われることを促進するための概念や取り組み。

LGBTフレンドリーな企業の取り組み6選

rainbow
ここまで、企業がLGBTフレンドリーな取り組みを行うべき3つの理由について紹介していきました。

次に、LGBTフレンドリーな企業の取り組みについて6つ紹介していきます。

LGBTに関する方針を作り、周知・推進する

LGBTに関する方針は、企業や組織がLGBT当事者が職場で働きやすくなるように策定するものです。この方針はLGBTフレンドリーな職場環境の実現につながる重要な一歩になります。

例えば採用においては、性別や性的指向などの属性を考慮し、多様な人材の採用を促進する方針があります。面接やエントリーシートでのLGBTに関する質問の設定や、LGBT当事者であることを公表しない場合には回答を求めないことが挙げられます。

また、職場におけるハラスメントに対しては、厳格な取り締まりを行う方針があります。LGBT当事者が受けるハラスメントを防ぐために、明確な定義や報告手続きの設定、加害者への厳格な処分などが含まれます。

このように、企業や組織がLGBTに関する方針を作成し、ポスターや社員向けセミナーなどを用いて企業内で周知することで、LGBTフレンドリーな環境を整備することができます。

LGBTに配慮した職場環境の整備する

LGBTに配慮した職場環境を整備するためには、トイレや更衣室などの設備をLGBTに適したものに改修することや、既存の社内規定を見直すことが含まれます。

また、LGBT当事者が働きやすい環境を作るために、ポジティブな社内文化を醸成する必要があります。LGBTイベントの開催や、LGBT当事者が働きやすい職場環境を実現するための取り組みを積極的に行うことが大切です。

このような差別や偏見のない職場文化を作ることで、LGBT当事者がストレスを感じずに働けるようになります。

同性パートナーシップを対象とした福利厚生を充実させる

一般的に、企業が福利厚生を提供する場合、従業員が異性カップルであっても結婚していることが前提とされることが多く、同性カップルには適用されない場合があります。そのため、同性カップルは異性カップルに比べて、福利厚生の面で不利な状況に置かれることがあります。

しかし、最近では企業や社会全体でLGBTに対する理解と支援が高まっており、同性パートナーに対する福利厚生が提供される企業も増えてきています。このような取り組みにより、同性カップルを対象とした健康保険や社会保険などの福利厚生が整備されることで、LGBT当事者が家族と同等の保障を受けられるようになります。

LGBT当事者へのハラスメントを防止する

SOGIハラスメントやアウティングを防止するために、教育やトレーニングを行い、LGBT当事者が職場で差別や偏見に遭うことがないようにすることも重要です。

LGBTの関連イベントへの参加する

企業がLGBT関連イベントへの参加を積極的に行うことは、社員にLGBTに関する理解を深め、LGBT当事者が働きやすい職場環境を作り出すうえで重要です。

企業がLGBT関連イベントに参加する方法としては、例えば以下のようなものがあります。

  • セミナーやトークイベントに参加する

LGBTに関するセミナーやトークイベントに社員が参加することで、LGBTに関する知識や理解を深めることができます。

  • パレードやイベントに参加する

LGBT関連のパレードやイベントに企業が参加することで、社員がLGBT当事者や支援者と交流することができ、LGBT当事者が働きやすい職場環境を作り出すうえでの理解を深めることができます。

これらの取り組みを通じて、企業は社員や社会に対してLGBTに関する理解を深めることができ、LGBT当事者がストレスを感じずに働けるような職場環境を実現することができます。

LGBT当事者の相談窓口・体制を作る

LGBT当事者が安心して働ける環境を作るためには、相談窓口やLGBT当事者をサポートする人材を配置することが必要です。相談窓口では、LGBT当事者が多岐にわたる相談をすることができます。

例えば、自身のカミングアウトやジェンダーの自己認識に関する相談や、職場でのセクシュアルハラスメントや差別に対する相談、企業の福利厚生制度や制度改善に関する相談、パートナーとのバランスの取り方や出産・育児休業制度に関する相談、さらにはカウンセリングや専門家の紹介に関する相談があります。

このように、相談内容は人によって異なるため、相談窓口や担当者は豊富な知識と経験を持っていることが必要です。また、LGBT当事者に配慮した相談窓口では、相談者のプライバシーや個人情報を適切に保護することが重要です。

【業界別】LGBTフレンドリーな企業の取り組み事例7選|企業一覧

レインボーストライプ
ここまでは、LGBTフレンドリーな企業の取り組みについて6つ紹介してきました。

最後に、LGBTフレンドリーな企業の取り組み事例を7つ業界別に紹介します。

【ホテル】株式会社東急ホテルズ|多彩な取り組み

株式会社東急ホテルズでは、以下の取り組みなどを行っています。

  • 従業員教育の実施

LGBTについて正しく理解するための教育を全従業員に対して実施しています。具体的には、セクシュアル・マイノリティに関するトレーニングを実施し、LGBTのお客様への対応方法やアンチ・セクシャル・ハラスメント方針の周知などを行っています。

  • プライバシー保護

LGBTQの方々が、安心して宿泊するためには、プライバシーが保たれることが非常に重要です。そのため、部屋の入口にLGBTQ専用のプライバシーカードを設置し、スタッフにもその旨を周知しています。

  • LGBTフレンドリーな結婚式場の提供

LGBTカップルの結婚式やパーティー会場としても人気があります。そのため、LGBTカップルの方々が安心して利用できるよう、同性カップル向けのプランやメニューを提供するなど、LGBTカップルを応援する取り組みも行っています。

  • 多様なアメニティの提供

LGBTのお客様が快適に過ごせるよう、多様なアメニティを提供しています。例えば、浴衣のサイズ展開が豊富であるほか、バスアメニティには、男性用と女性用の区別がないものが用意されています。

引用:株式会社東急ホテルズ

【不動産】ハウスコム株式会社|ダイバーシティ

ハウスコム株式会社は、不動産仲介業者であり、LGBTフレンドリーな取り組みを行っています。具体的な事例をいくつか紹介します。

  • LGBTフレンドリーな物件の紹介

LGBTの方が安心して暮らせるように、LGBTフレンドリーな物件の紹介へ力を入れています。具体的には、オーナーの同意を得た上で、ペット可、ルームシェア可、カップル可などの条件を無くした物件を紹介しています。

  • LGBTフレンドリーな広告の掲載

掲載する物件広告においても、LGBTの方が安心して利用できるよう、LGBTフレンドリーな表現を用いるようにしています。また、LGBTに配慮した写真の掲載にも取り組んでいます。

  • 社員のLGBTに対する理解促進

LGBTに関する正しい理解を深めるためのトレーニングを実施しています。具体的には、社員に向けた研修や、外部の専門家による講演会を開催しています。

  • 社内のダイバーシティ推進

LGBTに限らず、様々な人種や性別、年齢、障がいの有無などに配慮した働き方改革を進めています。具体的には、フレックスタイム制度の導入や、テレワークの推進、育児休業制度の充実などを実施しています。

引用:ハウスコム株式会社

【カフェ】スターバックス コーヒー ジャパン 株式会社|包括的な環境

  • 職場環境の改善

2021年8月、スターバックス コーヒー ジャパン 株式会社は、店舗の従業員のドレスコード(服装規定)を改定しました。これにより、従業員が選択できる服装の色の範囲が広がり、デニムや一部の帽子を着用することができるようになりました。また、髪色についても自由化され、より自分の好みやスタイルを表現する幅が広がりました。

  • LGBTカップル向けのサービス

LGBTカップルにも向けた商品やサービスを提供しています。例えば、マーケティングキャンペーンには、LGBTカップルを取り上げたものもあります。また、提供するコーヒーや商品には、性的指向やジェンダーに関するプレッシャーがないようにするため、性別による区別をするような表現は避けています。

これらの取り組みにより、スターバックスコーヒー ジャパン 株式会社は、LGBTに対する理解を深め、より包括的な環境を提供する企業として、LGBTコミュニティからの支持を集めています。

引用:受け入れ合う社会へ。スターバックスから広がるNO FILTER

【病院】利根中央病院|ぐんまパートナーシップ宣誓制度

利根中央病院は、「無差別・平等の医療と福祉の実現」を目指し、すべての人が必要かつ十分な医療サービスを受けられることを信念としています。性的マイノリティの方でも安心して受診・治療が受けられるよう、群馬県の「ぐんまパートナーシップ宣誓制度」に参加しています。

また近年、性的志向や性自認に関わらず、不安を抱えずに治療を受けられるような取り組みが求められている中で、利根中央病院の理念と合致しています。

引用:利根中央病院のLGBTに対する取り組み

【大学】早稲田大学|積極的なサポート

早稲田大学は、LGBTの学生、教職員をサポートするために、以下のような取り組みを行っています。

  • キャンパス内での啓発活動

LGBTに関する啓発活動を積極的に行っています。例えば、学園祭でのブース展示や、LGBTに関するセミナー、講演会などが開催されています。また、LGBTに関する情報をまとめた冊子を作成し、学生や教職員に配布しています。

  • カウンセリングサービスの提供

LGBTに関する問題に直面している学生や教職員のために、カウンセリングサービスを提供しています。LGBTに関する悩みや問題を相談することができ、カウンセリングの専門家が個別に対応しています。

  • トイレや更衣室の改善

LGBTの学生がトイレや更衣室を利用しやすいよう、改善策を取り入れています。例えば、トイレには多様な性別や性自認の人が利用できるトイレを設置し、更衣室には個室を設けるなどの配慮がされています。

これらの取り組みにより、早稲田大学はLGBTの学生や教職員に対するサポートを積極的に行っていることがわかります。

引用:Support for LGBTQ+

【IT】アマゾンジャパン合同会社|多様な視点

アマゾンジャパン合同会社は、LGBTフレンドリーな取り組みを積極的に行っています。以下は、その一例です。

  • ダイバーシティ

LGBTコミュニティを含む、様々なバックグラウンドを持つ人々が多様性を尊重し、自己表現や尊厳を保ちながら働ける環境を目指しています。そのために、社員、パートナー企業、顧客に対して包含を推進する声明を掲げています。

  • 研修プログラムの提供

LGBTに関する研修プログラムを提供しています。この研修プログラムには、LGBTの社員や、LGBTをサポートする社員が参加し、LGBTに対する理解を深めることができます。

  • 同性パートナーの福利厚生

同性カップルのパートナーシップを認め、同性パートナーに対して同等の福利厚生を提供しています。例えば、健康保険や年次有給休暇、育児休業制度を含みます。

引用:インクルーシブな文化を築く

【飲食店】株式会社モスフードサービス|様々な取り組み

株式会社モスフードサービスは、LGBTフレンドリーな取り組みを積極的に行っています。取り組みについて以下で紹介します。

  • ダイバーシティ・アンド・インクルージョン推進室の設置

ダイバーシティ・アンド・インクルージョン推進室を設置し、LGBTなど多様な社員の支援を行っています。この推進室では、社員向けにLGBTについての啓発セミナーを実施したり、LGBTに関する相談に乗ったりしています。

  • 「モス プライド」の実施

毎年6月に実施される「Pride Month(プライドマンス)」に合わせて、「モス プライド」という企画を実施しています。この企画では、各店舗でレインボーカラーのエプロンを着用したり、LGBTに関する本を販売したりするなどの取り組みを行っています。

  • プライドウィークの参加

毎年10月に開催される「プライドウィーク」にも積極的に参加しています。例年、社員が参加するパレードに、モスフードサービス株式会社の社章が描かれた旗を持って参加するなどの取り組みを行っています。

引用:メンバーとともに

関連記事:企業のLGBT取り組み事例3選-双方のメリットやLGBTフレンドリー企業も紹介

まとめ 

レインボーハート
今回は、LGBTフレンドリーな取り組みを行うべき理由や企業の取り組みについて紹介してきました。

LGBTフレンドリーな企業が増えることにより、LGBT当事者にとって選択肢が広がり、働きやすくなります。これからも、LGBT当事者が働きやすい社会になるために、企業は対応を柔軟に行っていくことが大切です。

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