皆さんはSDGsの各目標の現状について把握しているでしょうか?今回は、目標15についての概要説明と各国の達成状況、日本企業の取り組みについてグラフを用いながら紹介します。
SDGs目標15「緑の豊かさも守ろう」とは
目標の概要
SDGs目標15「緑の豊かさも守ろう」とは、陸域生態系の保護、回復、持続可能な利用の推進、持続可能な森林の経営、砂漠化への対処、並びに土地の劣化の阻止・回復及び生物多様性の損失を阻止する」ための目標をさします。
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SDGs目標15世界の現状とは
世界の森林が減少している
2015年時点で、世界の森林面積は約39.9億ヘクタールとなっています。これは全陸地面積の30.6%を占めています。しかし、世界の森林は減少傾向をたどっており、2010年から2015年までの間に平均330万ヘクタールが減少しています。
特に、南アフリカ、アフリカなどの熱帯の森林を中心に減少面積が大きくなってきています。しかし、アジアやヨーロッパを中心として森林面積が増加しているという国もあります。このように森林面積の増加と減少には、地域的に偏りがみられます。
世界の土壌が劣化している
土壌が劣化している原因は、異常気象による森林火災や農地開発の為に森林が失われています。
また、農業の為に過度な灌がいが行われたり、過度な放牧が行われたり、化学物質で汚染されたり、さまざまな理由が原因で土壌が劣化しています。
土壌が劣化すると、生態系が保てなくなったり、農業などが出来なくなります。このグラフは、世界の土地がどれくらいの割合で劣化しているのかを示しています。
生態系が破壊されている
森林減少は多種多様な生物に悪影響を与え、絶滅のスピードを加速させています。現在の生物の絶滅スピードは、1年間に40,000種類といわれています。
絶滅の恐れがある野生生物の種類を表す指標に、国際自然保護連合(IUCN)が作成するレッドリストがあります。
2020年12月時点で記載されている絶滅危惧種は、3万5,765種以上であり、これから先も増え続けると予想されています。特に哺乳類、鳥類、両生類の危機が顕著です。
生物多様性が失われると、生き物が作り出した環境のバランスが崩れてしまい、生態系が壊れます。ひとつの種の生き物が絶滅するだけでも、その種を利用して生きている種が絶滅に向かい負の連鎖が生じます。
多様性の崩壊は野生動物間だけでなく、人間にも影響します。生態系の崩壊は私たち人間の生活にも影響を及ぼします。
SDGs目標15の世界の取り組み
ワシントン条約による絶滅危惧種の保護
世界的に目標15に大きく関連しているのは、ワシントン条約です。
ワシントン条約は、1975年7月1日に絶滅が危惧される野生動植物保護を目的に発行されました。
2019年11月時点で183カ国・地域が締約国になっています。
ワシントン条約は、絶滅の恐れがあり、保護が必要と考えられる野生動植物を3つの分類に区分し、それぞれの必要性に応じて国際取引の規制をしています。
引用元:ワシントン条約について(条約全文、附属書、締約国など) (METI/経済産業省)
カルタヘナ議定書による生物保護活動
カルタヘナ議定書とは、生物の多様性の保全と持続可能な利用に及ぼす可能性のある悪影響を防止するために定められた国際的なルールです。
2004年4月に発効され、遺伝子組み換え生物を使用するあらゆる行為について、生物多様性への影響を防止するため、取るべき措置を定めています。
遺伝子組み換え生物の使用形態に応じて、「第一種使用等」と「第二種使用等」の2つに分けられています。使用者は、遺伝子組み換え生物が環境へ放出されないような措置を講じる必要があります。
森林破壊や温暖化を抑止するREDD+(レッドプラス)
REDD+(レッドプラス)とは(Reduction of Emission from Deforestation and forest Degradation)の略称で和訳では「途上国における森林減少と森林劣化からの排出削減並びに森林保全、持続可能な森林管理、森林炭素蓄積の増強」となります。
途上国に対して森林保全に経済的インセンティブを提供することで、森林を伐採するより残すことのほうが経済的に価値が高いものにする試みです。
REDD+が地域コミュニティ、先住民族の権利を保障する方法で実施されれば、単に気候変動の解決策となるだけでなく、生物多様性や地域の人たちへの生活に恩恵をもたらすことなどが期待されています。
REDD+を実施するためには、それぞれの途上国が実施枠組を定めることが重要です。それと同時に森林減少や劣化の原因を取り除く資金が必要であり、先進国には、資金提供が求められます。
引用:REDDプラス(REDD+)について |WWFジャパン
砂漠化を防ぐための国連砂漠化対処条約(UNCCD)
国連砂漠化対処条約(UNCCD)は持続可能な開発のための2030アジェンダと土地劣化問題をつなぐ唯一の国際条約です。
196条約加盟国(EUを含む)は健全な土地の保全を促進し「土地劣化の中立性」を目指すことで、2030アジェンダの達成を目指しています。
国連砂漠化対処条約は食料、水、エネルギーのもととなる土地を干ばつや劣化から守ることにより、気候変動の影響や事前資源をめぐる紛争を減らし、それぞれの国で活気にあふれるコミュニティーを築くことができる未来を目指しています。
引用:寄稿「砂漠化について考える。日常を非日常にしないために。」 ~6月17日は、砂漠化および干ばつと闘う国際デーです~ | 国連広報センター
SDGs目標15日本企業の取り組み5選
アート引越センター
アート引越センター株式会社、国内物流事業のアートバンライン株式会社では、二酸化炭素(CO2)、窒素酸化物(NOx)、粒子状物質(PM)の排出量を減少させ、環境性能に優れたグリーンディーゼル車の導入を進めています。
また、今までは見積書などは、手書きにしていましたが、すべて電子化することで紙資源の削減、ならびに煩雑であった仕事の効率化を実現しています。
引用元:アート引越センター
株式会社JALグランドサービス
JALグループは、エコ・ファースト企業に認定されています。
エコ・ファースト制度とは、環境の分野において「先進的、独自的でかつ業界をリードする事業活動」をしている企業を環境大臣が認定する制度です。JALグループの取り組みは、地球温暖化防止・環境社会活動・環境啓発活動です。
取り組み内容としては、2020年度までにCO2排出量を2005年度対比23%削減を目指すことや長期的な視点で環境保全貢献の為に次世代を担う子どもたちや社員の環境意識向上を目指しています。
引用元:エコ・ファーストの約束|サステナビリティ|JAL企業サイト
公益財団法人イオン環境財団
1991年からはじまったイオンの植樹活動は、イオンの基本理念を具現化する活動として位置づけられています。
現在は、「イオン環境財団による森づくり」「イオンふるさとの森づくり」「イオン東北復興ふるさとの森づくり」の3つの活動を、世界各地のボランティアとともに進めています。2021年2月現在、累計植樹は、1,222万6,872本となっています。
アースデイ東京
アースデイ東京では、実行委員長でありさまざまな環境活動を世界各地で行ったC.Wニコル氏が数々のイベントで活動紹介の展示やジビエ肉の販売、体験談を話すトークイベントなどを開催しています。
引用元:アースデイ東京は『SDGs(エスディージーズ)』すべてのゴールに取り組んでいます!
東京ガス株式会社
東京ガス株式会社は、2030年に向けて国内でのCO2削減貢献量1,000万トン達成を目標としています。
この目標に向けて、再生可能エネルギー由来の電力の供給・活用やカーボンフリー・カーボンニュートラルガス(水素・メタネーション等)の供給・活用などさまざまな取り組みをしています。
最後に
今回は、SDGs目標15について解説しました。このSDGs目標15「陸の豊さをを守ろう」を達成するために、世界だけではなく日本でもさまざまな取り組みが行われていることを理解していただけましたか。
今後、SDGs目標15達成ために目の前の小さなことから意識して取り組みを始めてみましょう。
SDGsとは
SDGsは「Sustainable Development Goals」の略称です。日本語では「持続可能な開発目標」と表されます。
2015年9月の国連サミットで採択されたSDGsは、2016年から2030年までの15年で達成すべき17のゴールと169のターゲットで構成されています。
SDGsでは経済や環境、社会の課題が幅広く取り上げられ、持続可能な社会を築き上げるために、国連が主導してさまざまな取り組みが広がっています。
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